リスペクトコラムです。
当ブログの昨季の七不思議の一つが、大分さんの躍進(9位)でした。J2から昇格した1位の山雅さんは1年で降格したのに、どうして2位の大分さんが9位でフィニッシュできたのか、本当にわからなかったです。特にそれに関するコラムもなく、悶々としていたところにFOOT×BRAINでやってくれました。何となくわかった気がします。やっぱJ3からJ1まで引き上げるというのは名将だからなのですね。
【2020シーズンで番組が注目するのは大分トリニータ】
J1復帰で9位と健闘したが、なぜ大分なのか。その理由は片野坂監督。その注目される理由は、地味なのに実はスゴいサッカー哲学。監督としてもJリーグでただ1人、2年連続優秀監督賞を受賞。
現役時代はJリーグ通算217試合出場。SBとして活躍し、'94年にJ1広島で前季優勝。'03年に大分で現役引退。その後スタッフとして大分に所属。'06年にS級ライセンスを取得。'16年に大分の監督に就任したが、チームを取り巻く環境は厳しかった。前年にJ3に降格し、経営破綻でクラブ存亡の危機に陥った。なぜ火中の栗を拾う大分の監督を引き受けたのか。
「選手時代に試合に出て貢献する事が出来なかったから、残念な思いを持っていて、恩返しがしたかった」と本人。J3からJ1へ3年で2段階昇格させたJリーグ史上初の監督。
〔片野坂監督 就任後の順位〕
2016年:J3優勝、J2昇格(19勝4分7敗)
2017年:J2 9位
2018年:J2 2位、J1昇格(二桁得点選手4人:後藤10、藤本12、三平10、馬場12)
2019年:J1 9位
〔片野坂監督がサポートした名将たち〕※参考にした点
・西野朗(G大阪):2007年:ナビスコカップ優勝、2008年ACL、天皇杯優勝
※「見る」というところ、選手・スタッフみんなをしっかりと見てマネジメントするところ。
・ペトロビッチ(広島):2010年Jリーグ杯準優勝
※サッカーの戦術のところでGKからボールをつないで攻撃を構築するところ。
・森保一(広島):2012~13年J1リーグ優勝
※コミュニケーションのところで、選手・スタッフ含めて自分が話すべき時に話したり、気を遣うところ。
・長谷川健太(G大阪):2014年天皇杯、ナビスコカップ、J1リーグ=三冠、2015年天皇杯優勝
※戦術の落とし込みが上手く、選手に話す時でも映像を良く使われて納得させる、勝負に徹するところ。
大分をどん底から救った片野坂。その陰にはコーチ時代に仕えた4人の名将達の存在があった。9年間で10回の優勝を経験。自分が監督になった時にここは使えるな、こういう風な監督になるのが良いなというのを感じながらやっていた。
4人の名将の教えが片野坂監督のスタイル「カタノサッカー」を生んだ。ただ、片野坂監督1人では判断せず、コーチングスタッフに「どう思う」と聞いて、ベストな判断というところではやる事は今も変わっていない。
マネジメント力の秘密を示すデータとして、2018年度チーム人件費を見ると、1位神戸(44.8億円)、2位鹿島(31.6億円)、3位浦和(31.1億円)に対して、31位の大分は4.8億円と約9倍。この逆境が片野坂監督の手腕を輝かせた。大物外国人は魅力だが、予算の少ない大分は今年のルヴァン杯のスタメンも全員日本人。片野坂監督がチャレンジしているサッカーというのが非常に戦術が難しい部分もあって、なかなか合う外国人選手がいないし、結果を出す外国人選手は高いので、中途半端に外国人を入れるより、コミュニケーションを取れてしっかりと理解して、組織的にできる選手という事で、日本人選手を主に中心にするような形にしている。大分は昇格年ながら一時は4位まで上昇。
〔疑似カウンター〕
相手ゴール前に守備が多い場合、バックパスしてひたすらボールを回し、相手選手を自陣深くまで誘い出す。相手がしびれを切らしてボールに食い付いてきた時に、一気に前線へボールを運んでいき、ゴールを狙う。カウンターができない状況でも後ろでボールを回してスペースを作らせる。個ではなく組織の戦い方。
成功のカギはGKのパス回し参加、相手を誘い出すボールポゼッション、ボールキープから隙を見てのカウンター発動が挙げられる。
〔愛され監督 片野坂〕
チームが片野坂監督お面を作り、来場者1万人に配布。お面を作られるのはファーガソン監督やクロップ監督(リバプール)くらい。監督は試合が始まると、ピッチを縦横無尽に動いて指示を出す。その激しさから、しばしば声がつぶれる。これがきっかけで浅田飴がスポンサー契約成立とコラボ商品を開発。監督が飴で有名になるのはクライフ監督(チュッパチャップス)以来。選手とも距離が近い。
〔チームを1つにするために大切にしていること〕
勝ち点などの数字で、選手に目標を立ててやっていこうとは話して、今はそれをクリアしながらやれているので、具体的な目標を立てるのは大事だと思う。就任4年、掲げた目標を必ず実現し続けている。
2016年目標「J2復帰」 → J3優勝(昇格)
2017年目標「J2残留」 → J2 9位
2018年目標「プレーオフ圏内」 → 2位(昇格)
2019年目標「J1残留」 → J1 9位
2020年目標「勝ち点55、6位以内」 → ?
という内容でした。なるほど、4人の監督のいいところを吸収し、万全を期して監督に就任し、見事花を開いた訳ですね。ちなみに片野坂さんといえば、その前に1995年から1999年まで柏に所属しており、はっきり覚えています。西野監督時代の1999年ナビスコ杯優勝時にも所属しており、あの時の黄金時代の選手の一人という記憶が少し残っています。広島さんと柏、選手時代のつながりが指導者時代のつながりに発展し、成長していった訳ですね。
「疑似カウンター」いいですね。まぁ今季はマークされるでしょうが、それを振り切って勝ち切って欲しいものです。大分さんといえば、溝畑社長時代はシャムスカ監督で躍進し、今は片野坂監督で躍進ですか。大分さんはそういう人材に恵まれてうらやましいですね。これからも頑張って欲しいと思います。
J1大分関連⑮:https://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20191214
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〃 ⑬:https://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20181123
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