J OKAYAMA ~岡山スポーツの桃源郷へ

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2018-02-05 00:00:01 | ファジアーノ岡山

 リスペクトコラムです。
 先日、ちょっとびっくりするニュースが流れました。地元J2岡山がベルギー1部のクラブと業務提携を行うと発表したのです。今までそういうイメージが無かったので、いわば寝耳に水という印象。まぁいい事です。J2でも山雅さんなどいくつか提携しているみたいですね。まずは、クラブ公式HPの発表と1日に山陽新聞の記事から。引用して紹介。
           
【ベルギーリーグ1部 シント=トロイデンVVとの業務提携】
「ベルギーリーグ1部のシント=トロイデンVVと2018年2月1日より業務提携をすることとなりましたので、お知らせいたします。
○目的
アカデミー年代を含めた国際経験の更なる充実は、クラブを取り巻く現状・選手の育成にとっても、重要な機会と考えており、これまでも海外チームとの積極的な交流の機会を検討・実施してきました。
このたび、海外に拠点となる提携クラブを持つことで、トップチームの選手を含めた弊クラブの選手育成における選択肢を広げることができるだけでなく、指導者や運営スタッフを含めた人材交流により、クラブ全体の総合力の向上につなげてまいりたいと考えています。
○提携内容 
 1.選手・指導者・ビジネススタッフの人的交流
 2.クラブ相互の国際交流
 3.双方の国内外におけるスカウト活動、およびビジネス関連における情報交換
 4.選手・指導者の受け入れ、研修への参加
 5.スタジアムテクノロジー、試合運営、マーチャンダイジング、ファンサービス等々のノウハウの提供」
引用:J2岡山公式HP該当ページ:http://www.fagiano-okayama.com/news/p1473053590.html

【ファジ 初の業務提携】
「選手、指導者の人的交流やスカウト活動の情報交換などを行い、クラブの総合力を高める狙い。」
「海外に拠点となる提携先を持つことで、下部組織を含めて選手育成の選択肢を広げる。試合運営やファンサービスのノウハウについても相互に提供する。」
引用:山陽新聞


 という内容でした。ベルギーといえば、フットパス社に代表される育成制度の充実。まず、ここが期待されます。そして、人的交流。総合力の向上につなげたいと書かれています。ベルギーリーグはヨーロッパの1部としては唯一、外国人枠が存在しないリーグ。全ての公式戦で試合メンバーに、少なくとも6人のベルギー国内で育成された選手が、登録されていなくてはならない制度となっているとか。あと、当ブログ的には国際交流など貢献事業も何か生まれたらいいなと思っています。では、提携先のシント=トロイデンはどういうクラブなのか、調べてみました。


【シント=トロイデンVV】
 '24年創設。ベルギーの1部と2部を行き来するエレベータークラブ。'15年に5度目の1部昇格。'17年、日本のDMMグループが経営権を取得。'18年1月、J2福岡から冨安健洋選手を獲得。国内タイトルはベルギー2部で4回優勝('86-87,'93-94,'08-09,'14-15)。過去に所属した日本人選手は、'17年1月まで在籍した小野裕二選手(現J1鳥栖)。昨季はレギュラーシーズン12位。今季はプレーオフ1圏内の6位。今月8日には、東京五輪世代で'17年U-20W杯代表の冨安健洋選手が、J2アビスパ福岡から3年半契約の完全移籍。J2では松本や横浜FCなどが海外クラブと業務提携。2017年11月に、DMMグループが経営権を取得。
クラブ公式HP:https://www.stvv.com/nl
日本語公式ツイッター:https://twitter.com/STVV_JP
日本語公式FBページ:https://www.facebook.com/STVVJP/

 いろいろとネット情報を探ると、なぜこの提携が生まれたのかという一面がジワっと見えてきました。キーワードは立石CEOです。前J1・FC東京GMがつい最近CEOに就任されています。その報道と、その記者会見内容を見てみましょう。

【シントトロイデンCEOに前東京GM立石敬之氏就任】
「ベルギー1部シントトロイデンの最高経営責任者(CEO)に前J1FC東京GMの立石敬之氏(48)が就任し、29日に本拠スタイエンで会見した。」
「『3年計画でプレーオフ1(上位6チーム)の常連にする』と宣言。下部組織の充実やスタジアム整備、強化責任者スポーツディレクター(人選中)のポスト新設も発表、「歴史を尊重しつつ新たなアイデアを加えていく」と調和を約束した。」
引用:日刊スポーツ

【シントトロイデン立石CEO「クラブは街のもの」】 
「最高経営責任者(CEO)に前J1、FC東京GMの立石敬之氏(48)が就任し、29日に本拠スタイエンで会見を開いた。」
「スポーツ・ダイレクター(強化責任者)のポスト新設も発表。」
「具体的なプランについては「5つの柱で考えている」と表明。<1>トップチーム強化<2>アカデミー充実<3>運営<4>ビジネス<5>スタジアムの技術革新、とした。」
「<2>は下部組織の充実だ。「ユース、アカデミーに関してはトップチームのメンバーを見ても分かる通り(昇格組は)現在1人だけです。1人でも多くトップチームのピッチに立たせられるよう、変えていきたい。」
「<3>に関しては「これも夢ですが、スタジアム(スタイエン=約1万4600人収容)を常に満員にしたい。だいたい今は平均4000人レベルの集客なので、まだまだ努力が必要。」
「<4><5>についても地元メディアらに、期待に胸を膨らませながら説明した。クラブを発展させた先には、日本人選手・指導者の育成、日本サッカー強化という理想がある。」
引用:日刊スポーツ

 という感じでしたが、普通に読むと、今回の提携話は元J1・FC東京出身の鈴木GMルートなのかなと思わせます。立石氏は、'07年からFC東京の強化部長代理から、'11年より鈴木氏の後任として強化部長に就任し、'15年からGMで普及・育成・強化の各分門を束ねていました。まあ、そういうコネクション的な動きはどこでも普通にある事であり、結果を生めば結果オーライになります。
 気になるのが立石CEOの会見内容。まず、強化責任者の新設って、今までGM職や強化責任者がいなかったの?と思いました。話の中にも「トップチームの強化」があります。という事は今回のJ2岡山との提携は、選手強化を期待されているのではないかと。ベルギーで力を伸ばしてくれる期待の若手ならいいですが、主力が引き抜かれる事がありませんように。
 下部組織の充実については、おやっと思いました。昇格組が現在1人だけというのは、J1の普通のチームよりも全然少ないです。つまり育成型に達していないクラブという事です。これで育成部門強化の期待はちょっと薄れましたね。<3>については逆に、岡山から吸収できる事を期待されているのではないでしょうか。<4><5>については、別にベルギーでなくてもいい話になってきます。そして、昨年11月に、主要スポンサーだったDMMグループが完全に買収しました。DMMについて、ちょっと調べてみました。、まずはクラブの日本人の村中会長のインタビューを抜粋して紹介。

【あのDMMがなぜ!?日本企業がベルギーのクラブを買収したワケ】
「――先ほど「立て直しが得意」と話されていましたが、現在シントトロイデンにはどういった問題があり、それを変えていく計画がすでにあるのでしょうか?
『ありますよ。ピッチ内の面に関していえば、これまでは凄く小さい規模でやっていたので、ホペイロのような人はいるんですがトレーナーなどは専属の人がいません。選手のためにどうするのが一番良いか。まずはそういった部分をしっかりと整えていかなければいけないと思っています。
 それから、トップチームからユースにかけての組織面にも手を加える必要があります。トップチームとセカンドチームは同じ組織なのですが、ユースから下の下部組織は別のNPOが運営していて、両組織間の連係が今まではまったくなかったんです。トップがユースを資金面では援助している形なんですが、トップとユースでそれぞれ別々のスカウトがいて、お互いのコミュニケーションも現状希薄です。ユースのために獲ってきた選手は、何のために獲ってきたんだと。ユースで行われることを本当に何も知らない、誰が教えているかもわからない状態でした。下部組織はU–6からあって、全体で500人くらいいるのに、です。そんな状況でなぜ連携しないのか。』」
「ユースの子どもたちが、トップチームを目指したい、そう思えるクラブであり街にしていかなければならないのですが、現実にはそうなり切れていません。事実、観客動員数が芳しくないんです。平均5000~7000人くらいでしょうか。下部組織には子どもたちが500人くらいいるんです。親御さんも合わせれば3倍の1500人くらいになりますし、その親戚を含めたら、それだけでももっと入場者数が増えていておかしくないはず。原因はやっぱり、(上と下の)交流がないからじゃないかと。」
「『いつかトップチームで』という気持ちがないのは寂しいなぁと思って。ですから、狭い街でバラバラにやっているという状況は改善していきたい。ユースの指導者にしても、自分のところから『トップチームに上がる選手を増やしたい』という気持ちはあるんですよ。でも、アマチュアのコーチが教えているという現実がある。そうした部分をどこまで変えていけるか。変えていかないとレベルも上がりませんからね。」
「日本人選手を獲るとは思います。若い選手に限るとは言いませんが、できれば若い選手がチャレンジできるようなリーグであり、チームでないといけないなと思っていますので、若い選手にチャンスを与えられたらいいなと思っています。」
「それから、指導者ももっと世界に進出した方が良いと思っています。昨年、霜田(正浩/元日本サッカー協会技術委員)さんがコーチとしてシントトロイデンで指導を行いました。彼はセカンドチームのコーチだったんですが、現地のスタッフから凄く受け入れられていて、練習を主導していました。アイディアの部分で選手からも『飽きない』『楽しい』と評判が良かったんです。その話を聞いて、比べるわけではないですが創意工夫は日本人の得意なところなのかもしれない、日本人の指導者は通用するはずだと感じたんです。」
引用:footballista


 これらの情報を読み通してみると、J2岡山にとっての今回の提携メリットは、若手選手の腕試しの場の提供が一番多いのかなという印象です。育成型クラブ化についての支援は、そこまではという事でしょうか。そう書いていたら、大分さんもシント=トロイデンと同様の業務提携を発表されました。これからもどんどん提携クラブが増えていくのかもしれません。増えれば増えるほど岡山の部分は薄れていき、本体期待したメリットを享受できなくなる懸念が出てきます。
 最後にシント=トロイデンの親企業であるDMM.comグループをググってみて、企業の成り立ちを知りました。今はデジタルコンテンツの企業ですが、企業成長期にあるキーワードがよく出てきました。気にするか気にしないかはその本人次第でしょうが、女性のファン・サポーターが気にしなければいいがと、個人的にちょっと思いました。過去ではなく、未来を期待しましょう。いい提携になり、最大限にメリットを享受できる事を期待して開幕に備えたいと思います。

コメント
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