迷建築「ノアの箱家」の迷建築ぶりを記録しておくため、10月19日付けの迷建築「ノアの箱家」物語⑰の続きを書いておこう。
合法的中古ISO規格海上輸送コンテナ住居としての「ノアの箱家」
市役所の建築士資格を持っている役人だけでなく、コンテナ製造会社の人間でさえ「コンテナは違法です」と私に言った。
だが、れっきとしてここに建築確認済証と中間検査済証と完了検査済証の三つがある。
この三つを眺めるたび、これまでの苦労を思い出して胸が一杯になる。無知というのは本当に恐ろしいものだ。私に正しい知識を教えてくれたイエンゴの設計士の方々やアトリエ・ノアの本庄正之さんとの出会いが無かったら、私は今頃望まない家に住み、魂の抜け殻状態、ただ息をしているだけの存在になっていただろう。設計士の方々には今さらながら感謝の気持ちで一杯になる。
「違法でもいいから、コンテナを置いてしまえ。置いたが勝ち。」
「まず木造の申し訳程度の小屋を建築確認申請を通して建てる。その後、コンテナを勝手に置く。役所は文句を言っても事実上の黙認だからそれでええ。」
色んなアドバイス(そそのかし?)をやってくれた周囲の人たち。一時はその気にもなった。が、これから自分がやろうとしている超ド派手なことや借金の信用に関わる問題を考えれば、躊躇せざるを得なかった。小市民なんだな、私は。模範的国民なんだな、私は。
正直で臆病な子羊ちゃんなんだ、私は。
国民栄誉賞を下さいな。
確信的違法建築の道を選択しなかった「ノアの箱家」は、珍しいコンテナハウスということになる。普通なら勝手にジャカジャカ加工して勝手に建てているような代物を正攻法で建築したコンテナハウスなんである。
しかも、使用している資材の大半はリサイクルである。拾ってきたもの・もらってきたものであるからして、まさしく私の「バラック浄土」なのだ、コレワ。しかし、誤解しないで欲しい。0円ハウスのホームレスさん達や白足袋の飼い主君の真似をしているわけではない。ま、時々仮名遣いぐらいは真似しちゃうけどさ、いいじゃないのさ、それぐらい。家の建て方・資材調達の発想そのものは独自だよ。いや、窮地に追い詰められて独自にそうなったんだけど。つまり、正真正銘バラック浄土独自ホームレスだな、私は。
で、ある人が言った。
「今も昔も同じだね、あなたは。」
防空壕時代のことを指して言うのだ。
我が家の青少年達も「お母さんは防空壕で暮らした経験があるから、きっとやっていけるよね。」
はあ、おそらくそうでしょう。
だって、ちっとも惨めだなんて思ってないもの。むしろ、ルンルン気分。何て楽しいんだろう!!
というわけで、本日の記事終了といこう。