碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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映画『NEXT』と小説『ファイアー・フライ』のヒロイン2人

2008年05月21日 | 映画・ビデオ・映像
映画『NEXT』が面白い。公開当初から見たかったが、ようやく見ることができた。期待していた以上で嬉しい。2分先が見える。そんな期間限定の予知能力を持つのがニコラス・ケイジだ。ふだんはラスベガスで売れないマジシャンみたいな仕事をしている。ところが、その能力にFBIが目をつけた。なぜなら、ロシアからアメリカ本土に核が持ち込まれたから。その核によるテロを阻止するのにニコラス・ケイジの力を借りようというわけだ。そこから物語もアクションも一気に加速していく。

ニコラス・ケイジの逃避行につき合うことになるヒロインはジェシカ・ビール。『ブレイド3』や『ステルス』で見ている女優さんだが、今回が一番魅力的かも。何しろタフで純情ってところがいいよね。それに瀬戸朝香みたいな唇もいい。そうそう、ちょい役というか、印象的な脇役で「刑事コロンボ」のピーター・フォークも登場していたっけ。懐かしい。

ニコラス・ケイジとジェシカ・ビール。一見冴えない中年男と若い女性の<逃避行>というのが、シチュエーションはまったく違うのに、高嶋哲夫さんの書き下ろし新作『ファイアー・フライ』(文藝春秋)を思い出させた。

この『ファイアー・フライ』も、最近読んだエンタメ小説の中では出色の面白さだ。地味な中年研究員が突然誘拐されてしまう。しかも、この誘拐が億万長者である社長との「人違い誘拐」なのだ。おいおい、黒澤明監督『天国と地獄』かい?とか、途中では映画『太陽を盗んだ男』(大好き)かい?などと思っていると、全然違った展開となっていく。先が読めないことを味わいつつ、途中で「もしや、こうかな?」と思うこともまた楽しい。読後感もすこぶるよかった。

この作品の中にも、愛すべきヒロインが登場する。ジェシカ・ビールならぬ「良子」という、あまりに普通の名前なんだけど、この娘もいい。会ってみたくなる。中年研究員の「私」と「良子」との関わりは本書を読んでのお楽しみということで、とにかく『NEXT』も『ファイアー・フライ』も、なかなかの見ごたえ、読みごたえなのであります。


ところで、ふと気がつけば、このblogも開設からちょうど1ヶ月となった。予想は三日坊主のはずが、何やら楽しく続いている。記録と記憶。でも、まあ、今後もあまり気張らずに、のんびりやっていこうと思う。ささやかに、祝!1ヶ月。

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