碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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2008年「全国広報コンクール」審査結果発表

2008年05月22日 | テレビ・ラジオ・メディア
昨日(21日)、日本広報協会から、今年の「全国広報コンクール」の審査結果が発表された。このコンクールは全国の地方自治体が行っている様々な広報活動を、広報誌、WEBサイト、写真などの各ジャンルごとに審査し、表彰するものだ。

まず、それぞれの都道府県でコンクールが行われ、そこでトップとなった作品が最終審査の場に登場する。

ずっと審査委員をさせていただいている「映像部門」では、各地の「広報番組」を40本以上見ることになる。さすが都道府県の審査を勝ち抜いてきているだけあって、かなり力のある作品が並ぶ。

で、2008年「映像部門」の入選作は、以下の通りだ。


<特選>
北九州市(福岡県) あしたも笑顔北九州「認知症~この青空を忘れない」

<1席>
品川区(東京都) しながわのチカラ「ファインダーが見つめるしながわ」

<2席>
都城市(宮崎県) 住めば都んじょ「人形師は12歳!~伝統を継ぐ子どもたち」

<3席>
長岡市(新潟県) 特例市移行記念長岡市広報特別番組「長岡どっちどっち」

<4席>
駒ヶ根市(長野県) こまがね市役所だより「平和への願い」

<5席>
丸亀市(香川県) 広報まるがめ「島を元気に!幻の唐辛子復活」

<6席>  
砺波市(富山県) 「庄川と暮らす~庄川と流木の歴史」


特選となった北九州市「認知症~この青空を忘れない~」は、広報番組『あしたも笑顔北九州』で放送された1本。今回、映像部門の特選と同時に、総務省から贈られる「総務大臣賞」と読売新聞が決める「読売新聞社賞」にも選ばれ、なんとトリプル受賞となった。

この作品に関しては、次のような選評を書かせていただいた。

『北九州市では5人に1人が高齢者であり、その中の10人に1人が認知症を発症
していると推定されている。そんな現状を踏まえた「人間ドキュメント」である。
認知症の89歳の母と暮らす68歳の娘。その淡々とした日常生活と、静かに通い合
う情愛が感動的で、見る者に「こんな風に一緒に生きられたら」と思わせる。
また、カメラの存在を感じさせない自然な映像は「取材者と被取材者との信頼
関係」の成果に他ならない。』

広報番組というと、どうしても堅い・重い・暗い・つまらないといったイメージがある。確かに、今でも「お役所からのお知らせ」という内容に終始するものは多いが、各地で意欲的な作りの番組も登場しているのだ。

そんな、何らかのトライをしている広報番組とそれに携わっている方々にとって、少しでも応援になればという思いで、毎年審査をさせていただいている。全国の、それぞれの地域でしか見られないこれらの番組。どこかで”一挙公開”できるような機会があればいいのになあ、と思う。まあ、それは今後の課題として、まずは、入選の皆さんに拍手!なのだ。

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