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碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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【気まぐれ写真館】厚木

2023年11月08日 | 気まぐれ写真館

2023.11.08


「うちの弁護士は手がかかる」異能のパラリーガルを梃子に描かれる人間ドラマ

2023年11月08日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

 

 

「うちの弁護士は手がかかる」

(フジテレビ系)

異能のパラリーガルを梃子に

描かれる人間ドラマ

 

ムロツヨシが絶好調だ。

NHK大河ドラマ「どうする家康」の豊臣秀吉で主役を食う怪演、いや快演を見せたが、「うちの弁護士は手がかかる」(フジテレビ系)では、異能のパラリーガルを主役として演じている。

蔵前勉(ムロ)は芸能事務所の元敏腕マネジャー。突然解雇を言い渡され、法律事務所に拾われる。

組んだのが新人弁護士の天野杏(平手友梨奈)。18歳で司法試験合格の天才肌だが、かなり非常識で人とのコミュニケーションが苦手だ。

まったく異なるタイプの2人。その嚙み合わなさから生まれる、絶妙の掛け合いが笑える。

いかりや長介へのオマージュ「ダメだ、こりゃ。次、行ってみよう!」など、スイッチが入った瞬間のムロが繰り出す、どこまでが台本で、どこからがアドリブかも不明なセリフの連射が楽しい。

また、法廷ドラマとしても十分見応えがある。

先週も、女性シンガーソングライターの身代わりで強盗傷害の容疑者となった青年の心情を見抜き、裁判員裁判での逆転を引き寄せたのは蔵前だった。

今期も漫画原作のドラマが多いが、本作は完全オリジナルだ。「競争の番人」の神田優、「元彼の遺言状」の中園勇也などが、実際の事件も参考にしながら起伏に富んだストーリーを練り上げている。

バディ型のリーガルドラマであると同時に、パラリーガルを梃子にして描く人間ドラマだ。

(日刊ゲンダイ「TV見るべきものは!!」2023.11.07)