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碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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栗山千明主演「晩酌の流儀」は、完璧な酒テロドラマ

2022年07月06日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

 

 

飯テロならぬ、酒テロドラマだ!

ドラマ25「晩酌の流儀」(テレビ東京系)

 

リモート勤務が多くなったとはいえ、1週間の区切りとなる週末の解放感は今も変わらない。

その金曜深夜に、新たなグルメドラマが登場した。ドラマ25「晩酌の流儀」(テレビ東京系)である。テーマは「家飲み」を極めることだ。

主人公は不動産会社に勤務する伊澤美幸(栗山千明)。一日の終わりに、おいしく酒を飲むことを至上の喜びとしている。しかも、そのためには努力を惜しまない。

定時退社したいので集中して仕事をする。次が最高の状態で酒と向き合うための準備だ。1日の初回はサウナだった。

さらにスーパーで安くて旨い食材を買う。モットーは「家飲みで一番大事なのは、最小のコストで最大のパフォーマンスを出すこと」。帰宅後の手早い料理で、しめさばカルパッチョや麻辣にら玉などが食卓に並ぶ。

最大の見せ場が、待望の1杯目だ。まるで恋人を見るような目で、ビールが注がれたグラスを見つめ、やがて静かに、しかし情熱的に黄金色の液体を喉に流し込む。

そして2杯目。美幸は「これが私の流儀だ!」と宣言し、別のグラスを冷蔵庫から取り出す。適度に冷えた状態のグラスで飲み続けたいからだ。

番組冒頭、美幸が「ドラマを見終わった後、あなたもきっと、お酒を飲み始める」と言っていたが、まさにその通り。飯テロならぬ、完璧な酒テロドラマである。

(日刊ゲンダイ「TV見るべきものは!!」2022.07.06)