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碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

東京工科大での最後の授業

2010年07月16日 | 大学

今日は、ひときわ暑かった。

まさに炎天下。

陽炎の道を、クルマで東京工科大・八王子キャンパスへ。

「メディア産業論」の最終回であり、同時に、東京工科大学メディア学部での最後の授業だった。



前任校から赴任してきたのが2008年春。

この4月に上智大へ移ってからも、この授業のために、週1度通い続けてきた。

それも、今日で終了である。

最終回では「ゲーム産業」を取り上げたが、ここはメディア学部の学生たちにとって、かなり興味・関心のあるジャンルだ。

中でも、オンラインゲーム市場は過去4年間で214パーセントの拡大を記録しており、マーケットとして非常に大きな成長を遂げている。

一方、授業では、ゲームを取り巻く議論として、「ゲーム悪玉論」についても触れた。

この産業に入っていくなら、ネガティブ評価のあることも認識しておく必要があるからだ。

新たに普及するメディアは、いつも「有害メディア」と言われる(笑)、といった話もしておいた。

いつものように「挨拶」をして、授業終了。

そして記念写真。



1年生のフレッシャーズゼミで、私の担当だった学生たちも今や3年生だが、教壇に集まってきてくれた。

で、また記念写真(笑)。



卒業まで面倒を見られなくて、すまん。

でも、きっと、またどこかで会えるだろう。

とにかく、元気で!




この夏の「警察ドラマ」について、『読売新聞』でコメント

2010年07月16日 | メディアでのコメント・論評

先日、この夏の「警察ドラマ」について、『読売新聞』から取材を受けた。

昨日の夕刊に、その記事が掲載された。

警察を舞台にしたドラマが7本並ぶというのは、やはり、それなりの理由があるのだ。


見出し:

「警察ドラマ」夏も好調 設定が明確で一話完結

記事本文:

ドラマ不振と言われる中、警察ドラマが好調だ。春に続き、夏の連続ドラマでも複数の作品が放送され、順調な滑り出しを見せている。人気の背景を探った。(片山一弘)

今クールの連続ドラマで、警察を舞台にした作品は7作。「科捜研の女」(テレビ朝日系)は初回が16・4%と好スタートを切った。

深夜枠を含めて計6作が放送された前クールでは「新参者」(TBS系)が初回21・0%の高視聴率、「臨場」(テレビ朝日系)も16~18%台と安定した人気だった。

テレビ朝日は、警察ドラマに最も力を入れている局。「相棒」などの人気シリーズを抱え、常に複数の作品を放送する。先月まで同局のテレビドラマ制作を統括していた桑田潔・前制作2部長(現・映画センター長)は、人気の理由として次の4点を挙げる。

 〈1〉人の生死に直面する職業で、ドラマ性が高い
 〈2〉主人公の行動が視聴者に了解されている
 〈3〉一話完結が今の視聴者のニーズに合っている
 〈4〉魅力的なキャラクターを造形できる

「例えば主人公がサラリーマンなら、彼がなぜそう行動するのかを説明しなければいけませんが、警察官が主役だと『謎を解いて事件を解決する』という目標設定が明確。だから、特異な人物を登場させても、ストーリーが混乱することがない」

理解されやすいことが最大のポイント。つまり、今の視聴者に毎週ドラマを見てもらうことの難しさが、各局が警察ドラマに力を入れる遠因でもあるようだ。

警察ドラマが最も盛んだったのは、「太陽にほえろ!」(日本テレビ系)、「Gメン?」(TBS系)、「西部警察」「特捜最前線」(テレビ朝日系)などの長寿番組が並んだ1970年代後半だろう。当時に比べると、ドラマの内容は変化した。

智大の碓井広義教授(メディア論)は、今の警察ドラマの特徴として「銃を撃たない」「たばこを吸わない」「物を壊さない」の3点を指摘する。

「『西部警察』では1時間に数百発の弾丸を撃ちまくったが、今は銃撃戦やカーチェイス、爆発・炎上シーンが少ない。制作費の都合や、社会的影響への配慮が主な理由でしょう」。

その一方で、ドラマとしての水準は上がったと見る。

「昔の刑事ドラマは粗っぽさも目立った。最近は、優れた警察小説を原作にしたものが増えたこともあり、人間ドラマとして成熟してきた。97年の『踊る大捜査線』(フジ系)が、職場ドラマとしての可能性を示したことも転機になった」


警察ドラマが扱う事件は社会を映す鏡だが、警察ドラマ自体の変遷も、世の中の流れを反映している。
(読売新聞夕刊 2010.07.15付)


・・・・「撃たない・吸わない・壊さない」警察ドラマ(笑)。

いずれにせよ、大人の男が見るドラマがあるのは、結構なことです。