碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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この夏、「刑事・警察ドラマ」が同時多発

2010年07月13日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

『日刊ゲンダイ』に連載しているコラム「テレビとはナンだ!」。

今週の掲載分で、この夏、大量生産されている「警察ドラマ」について書いた。


見出し:

夏ドラマに刑事・警察ものが多いのはなぜなのか

コラム本文:

夏のドラマシーズンに突入した。

テレビ欄を眺めて気づくのは春クール以上に刑事ドラマ、いや警察ドラマが多いことだ。

TBS「うぬぼれ刑事」、「ハンチョウ~神南署安積班」。フジテレビ「ジョーカー 知られざる捜査官」。

そしてテレビ朝日は何と4本を投入する。

「新・警視庁捜査一課9係」、「科捜研の女」などのシリーズ物に加え、オダギリジョー「熱海の捜査官」や木村佳乃「警視庁継続捜査班」もある。

では、なぜこれほどの数の警察ドラマが投入されるのか。

もちろん視聴者にウケるからだが、そこには「太陽にほえろ!」など往年の刑事ドラマと比べて、いくつかの特徴がある。

まず、単なる犯人追跡やアクションだけではないこと。

追う側、追われる側、それぞれの人間ドラマになっている。

また、警察という組織や内部を描く職場ドラマでもある。

個性的なキャラクターと起伏に富んだストーリーのおかげで、大人の男も楽しめるのだ。

さらに、「太陽にほえろ!」や「西部警察」などとの細かな違いが3点。

現在の警察ドラマは「撃たない、吸わない、壊さない」のだ。

派手な銃撃戦がない。

刑事たちが煙草を吸わない。

カークラッシュや爆発といった大掛りな破壊シーンもない。

実は意外と地味なのだ。

様々な規制や経費削減にも負けず、今夜も刑事たちは難事件に挑む。
(日刊ゲンダイ 2010.07.12付)


それにしても、“お家芸”とはいえ、テレビ朝日の<警察ドラマじゅうたん爆撃作戦>はすごい(笑)。

不得意を是正するより、得意を伸ばす。

それでいいと思う。

テレ朝の4本の中では、30日スタートの「熱海の捜査官」に期待している私です。