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碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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ストリートビューは”グーグル・アイ”か?

2008年11月10日 | 日々雑感
読売新聞から、「グーグル・ストリートビュー」について、コメントの依頼。

これ、確かに面白い。グーグルアースやマップの“俯瞰”もなかなかだったが、今度は“平面”。すごいものだと思う。

私も、たぶん他の人と同じで、真っ先にチェックしたのは自宅周辺だ。まあ、見える、見える。わざわざ最寄り駅からスタートして、自分の家まで行ってみた。

途中の見慣れた風景(当たり前だ)が、やけに新鮮に見える。ふと立ち止まって、「あ、ここのマンションの壁面て、こんなデザインだったのか」などと、仔細を観察したり。

で、我が家に到着ということになるのだが、家の前の駐車スペースに置いてあるクルマまで、しっかり見えている。車種もわかる。「ちゃんとあるねえ」と思いつつも、これが他人の目線であれば、「ふふーん、ここのウチは、こういうクルマを持ってるんだあ」などと観察されるんだよな、と気がついた(遅いけど)。

これって、どうなのか。クルマだけでなく、家そのものだって、個人のプライバシーではなかろうか。そりゃ、道路から見えるんだから、厳密な意味でのプライバシーではないかもしれないけれど。

しかし、日本の場合は、元来、道を歩きながら他人の家をじろじろ見ないという慣習というか、奥ゆかしさというか、一種のモラルというか、そういう文化がずっとあった。いや、今でもあるはずだ。たとえ、低い生垣であっても、それを超えて目線を奥には送らない、みたいな。

ところがですね、ストリートビューは、そんな文化などお構いなし。クリック一つで、どんなお屋敷もアパートも眺めることができる。グーグルマップとセットで使えば、「あの人の、この家」をチェックすることが可能だ。

もちろん、有効かつ有益な使われ方もされるのだろう。それは承知の上で、やはり「プライバシー問題」と「防犯問題」は気にかかる。

しかも、ネットを通じて、知らずに他人から見られている。それどころか、「見られて(覗かれて)いること」を知らないままの人がいる(デジタルデバイスね)。そのあたりを、どう納得させてくれるのか。

ちょっと前に見た映画「イーグル・アイ」を思い出す。イーグル・アイならぬ「グーグル・アイ」(笑)。

<いかにも監視社会>というのとは別の、<からめ手の監視社会>が現出しているような、落ち着かない気分です、と読売新聞さんにはお答えした。

監視社会
デイヴィッド ライアン
青土社

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えーと、今日の午後は、客員教授をしている北海道・千歳の大学で授業があり、夜は道内のテレビ関係の方たちとドラマの勉強会。

明日11日(火)は、午前と午後、いつものゲスト・コメンテーターとして生出演します。

■11月11日(火) 9時54分~
 『のりゆきのトークDE北海道』 北海道文化放送(フジテレビ系)
■11月11日(火) 15時45分~
 『イチオシ!』 北海道テレビ(テレビ朝日系)