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碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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今年は、植草甚一生誕100年だった

2008年11月02日 | 日々雑感
どうして気づかなかったんだろう。昨日、シネコンの階下にある本屋さんで、『植草甚一 ぼくたちの大好きなおじさん―J・J100th Anniversary Book』(晶文社)を見つけた。

買ってきて奥付を見ると、2008年8月8日(植草さんの誕生日だ)になっている。3ヶ月前、棚に並んだのを見落としたのか。なんだか悔しい。

今年は植草さんが生まれて100年。つまり、生きておられたら100歳ってことだ。

見たかったなあ、100歳の植草さん。70年代に、当時60代だった植草さんのことを、マスコミは「ファンキーおじさん」などと紹介していた。ならば100歳の植草さんは「ファンキーじいさん」か。

本の中身としては、植草さん語録、インタビュー、フォトアルバム、萩原朔美さんの「植草さんと天井桟敷」をはじめとするたくさんのエッセイ、などなど。

びっくりしたのは、「植草さんの声が聞けるCD」という涙モノの付録だ。75年、76年に行われたインタビュー3本が収録されている。その中の一つは鍵谷幸信さんによるものだ。

当時、鍵谷さんはジャズファンの間ではよく知られたジャズ評論家だったが、私たちにとっては大学の英文学の先生であり、西脇順三郎の弟子で、詩人だった。

学生たちは「鍵谷先生」ではなく、「コーシン」もしくは「コーシンさん」と呼んでいた。授業でジャズのレコード(CDじゃない)をかけたりしていた名物教授(私たちの頃はまだ助教授だったかも)だった。そのコーシン先生も、89年に亡くなっている。まだ58歳の若さだった。

こういう“植草本”のページをめくっていると、やはり植草さんの著書そのものが読みたくなる。それもスクラップブック全40巻ではなく、オリジナルの単行本のほうだ。

どれにしようか、と迷って選んだのは、大学1年のときに出た『映画だけしか頭になかった』。もちろん晶文社。大判。和田誠さんのイラストの表紙が好きだった一冊だ。

植草甚一ぼくたちの大好きなおじさん―J・J100th Anniversary Book

晶文社

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