goo blog サービス終了のお知らせ 

『感性創房』kansei-souboh

《修活》は脱TVによる読書を中心に、音楽・映画・SPEECH等動画、ラジオ、囲碁を少々:花雅美秀理 2020.4.7

・12歳の少女セヴァン・スズキの伝説のSpeech【後編】/グレタ・トゥーンベリ嬢への道のり

2020年05月08日 20時47分05秒 | ●脱TV❶:Speech動画

 今回、私が12歳の少女のSpeech」を採り上げた理由は、次の(A)(B)(C)3点です。

(A)前回までの『世界で一番貧しい大統領の言葉/ホセ・ムヒカ(ウルグアイ)』におけるSpeech(演説)と、今回の「セヴァン嬢のSpeech」とは、共に地球サミット(世界環境会議)」(※注①)の場でなされたもの

 前者は、リオ・デジャネイロでの「第3回:リオ+20」(2012.6)であり、後者は、同じリオでの「第1回」の会議(1992.6)でした。

(B)「ムヒカ大統領」と「セヴァン嬢」の共通点は、「環境問題の内容云々」よりも、それら「問題解決」へ向けた「実際的な行動力の無さ」を厳しく問い糺すものであること。

 この「実際的な行動力の無さ」について、当時76歳のムヒカ大統領政治力」と言う言葉を使って強調し、Speechの中でその言葉を少なくとも3回使っています(※注②)。つまりは、国連加盟国による「国際的解決力のやる気の無さ」を上品に糺したのであり、言外に「国際政治力学上の障害」を示唆したといえるでしょう。

 いま私は〝障害〟と言う言葉を使いましたが、それは一国の大統領という立場に配慮し、〝国際的儀礼〟として多少抑えたつもりです。しかし、当時のムヒカ大統領の〝本音〟は、〝悪弊〟というレベルのニュアンスではなかったでしょうか。その今日的な「悪弊」の一例として、私は中国による「一帯一路」を挙げています。

 それに対して、当時12歳のセヴァン嬢は、実に端的かつシンプルに「大人たちの行動のやる気の無さ」を鋭く衝いたのです。〝憤懣やるかたない〟といった彼女流の〝心の声〟を代弁すれば、

『私達子供の未来を、満足に解決もできない各国の偉いお年寄りが、自分達には関係のないはるかに先の未来へと問題を先送りしながら、もっともらしい理屈をこねまわして、あれやこれやと議論のポーズだけはしている』

 と言った感じでしょうか。(前回の「日本語字幕」の整理編集稿を参照ください。「青太字」部分がそれを物語る指摘部分です)

 そしてこのセヴァン嬢の〝心の声〟を引き継いだとも言えるのが、前回【中編】の最後に触れたスウェーデンのグレタ・トゥーンベリ嬢でした。すなわち――、

(C)1992年6月のセ゚ヴァン嬢のSpeechから、2019年11月「国連」でのグレタ嬢の指摘(紹介peechの動画)までの27年間「世界の指導者達」の「実際的行動のやる気の無さ」は、少しも変わらないということ。

 わずか4分30秒ほどのこの「動画」において、グレタ嬢は〝大人達に期待することを諦めた〟といえるほど〝痛罵に満ちた強い言葉〟を絞り出したのです。

 そのSpeechの際の表情や言葉が、〝嫌悪感〟と〝攻撃性〟と〝絶望感〟に満ちているため、発表当初から今日まで、賛否両極端の評価を受けたことは周知のとおりです。

           * * * * * * *

 

 セ゚ヴァン➜グレタ  という〝道のり〟の意味

 この【後編】を含めた今回の3回シリーズにおいて、私がグレタ嬢よりセヴァン嬢に重きを置くのは、1992年6月のリオデジャネイロでの【あのセ゚ヴァン嬢のSpeech】があってこそのグレタ嬢の活動という厳然たる事実を、読者に再確認して欲しいと思ったからに他なりません。

 そのことは、今回アップした「グレタ嬢の2本のSpeech動画(「その1」&「その2」)」をご覧になれば理解できると思います。あくまでも「1992年6月のセ゚ヴァン嬢のSpeech」こそが、カウンターメモリの「ゼロ地点」であり、それすなわち〝カウントダウンの始まりであるということです。といっても、もちろん私が個人的にそう位置付けたにすぎませんが。

 では、それはいったい何の「カウントダウン」の「始まり」なのでしょうか? 

 もうお判りでしょう。それは「セ゚ヴァン嬢のSpeech」から今日までの28年間、地球環境上の改善改革は、未だにまともな行動に結びつかないまま、あれこれ理屈をこねまわすだけのものでしかないということでしょう。すなわち――、

常にいつの時点においてもやる気が無く、「これではいけないね」という「再認識のカウントダウン」だけが、また始まる

……ということでしょうか。要するに〝何も進んではいない〟のであり、もちろんこれからも進むことはないでしょう……と言うのが、限りなく「正解に近い」のかもしれません。

 ……ということで、これから先は読者各位において自由に考えていただきましょう。私は正直言って、これを綴ることに少々疲れたというのが本音です。あとは「グレタ嬢の2本の動画」をじっくりご覧ください。4分35秒+11分12秒=2本併せてもたったの15分47秒 ❢    それでは、これにて……。(了)

 


*上記「本文」の「※注釈」
※注①:「地球サミット」として、これまでに以下「3つの会議」が行われています。
1.第1回地球サミット=「環境と開発に関する国際連合会議(国連環境開発会議)」(1992年にブラジルのリオ・デ・ジャネイロで開催)
 まさにこのとき、12歳の少女セヴァーン・スズキの伝説のSpeechが行われたのです。
2.第2回地球サミット=「持続可能な開発に関する世界首脳会議(リオ+10)」(2002年にヨハネスブルグで開催)
3.「国連持続可能な開発会議(リオ+20)(2012年にリオ・デ・ジャネイロで開催)
 当時のウルグアイ大統領ムヒカ氏のSpeechは、この時の演説でしたね。実はこの会議において、1992年に12歳でSpeechしたセヴァーン・スズキ少女は、20年後のこの会議に参加していたのです。
※注②:4/6の【前編】の中で「青太文字」が(a)(b)(c)と3ヵ所あります


 

👇 参考「動画」クリック!

 ◆動画:洞爺湖からのメッセージ/セヴァン・スズキ(4:37) 

 この「動画」は、2008年7月に北海道の洞爺湖で開かれたG8による「洞爺湖サミット」の際に来日した27歳のセ゚ヴァン・スズキさんが、洞爺湖の畔で語ったものです。彼女はこの中で、15年前に12歳でブラジル・リオデジャネイロでの「第1回地球サミット」において〝あの伝説のSpeech〟をするに至った経緯を語っています。とても興味深い回想です。なおこの動画は、「アースキャラバン実行委員会。特別協賛:パナソニック・キッズスクール」の提供です。 

👇 「記事」クリック! 

◆セヴァン・カリス=スズキ(Wikipedia)

◆デヴィッド・スズキ(Wikipedia)

 デヴィッド・スズキ氏は、セヴァン・スズキ嬢の実父。生物学、動物学、遺伝学、環境問題を研究テーマとする学者。


 

👇「動画:その1」クリック!

◆動画:グレタさん国連・気候行動サミット演説(4:35)

 このSpreechは、2019年9月23日に米国・ニューヨークの国連本部において開かれた「気候変動サミット」での演説(ノーカット版)です。

 ■下記は、上記「動画」の日本語訳全文■ ※「動画」の字幕と多少異なっていると思います。

 私から皆さんへのメッセージ、それは「私たちはあなたたちを見ている」、ということです。私は今、この壇上にいるべきではありません。私は海の向こうで学校に行っているべきです。それなのに、あなたたちは私に希望を求めてここにきたのですか?よくそんなことができますね!
 
 あなたたちは空っぽの言葉で、私の夢そして子供時代を奪いました。それでも私はまだ恵まれている方です。
多くの人たちが苦しんでいます。多くの人たちが死んでいます。全ての生態系が破壊されています。私たちは大量絶滅の始まりにいます。
 それなのにあなたたちが話しているのは、お金のことと、経済発展がいつまでも続くというおとぎ話ばかり。恥ずかしくないんでしょうか!

 30年以上にわたって、科学ははっきりと示してきました。それに目をそむけて、ここにやって来て、自分たちはやるべきことをやっていると、どうして言えるのでしょうか。必要とされている政治や解決策はどこにも見当たりません。
 あなたたちは私たちに“耳を傾けている”、そして緊急性を理解していると言います。しかしどれだけ私が怒り悲しんでいようとも、私はそれを信じたくありません。
 なぜなら、もしあなたたちが状況を理解していながら行動を起こしていないのであれば、それはあなたたちが邪悪な人間ということになるからです。私はそれを信じたくありません。

 二酸化炭素排出量を10年で半分に減らしたとしても、地球の平均気温を1.5℃以下に抑えるという目標を達成する可能性は50%しかありません。そしてそれによる取り戻しのつかない連鎖反応を埋め合わせることは、制御不能になります。
 あなた方は50%でいいと思っているのかも知れません。しかしその数字には、ティッピング・ポイント(小さな変化が集まって、大きな変化を起こす分岐点)やフィードバックループ(フィードバックを繰り返して改善していくこと)、空気汚染に隠されたさらなる温暖化、そして環境正義や平等性などの要素は含まれていません。
 そして、私たちや私たちの子供の世代に任せっきりで、何千億トンもの二酸化炭素を吸っている。私たちは50%のリスクを受け入れられません。私たちは、結果とともに生きなければいけないのです。

 「気候変動に関する政府間パネル」が発表した、地球の温度上昇を1.5℃以下に抑える可能性を67%にするために残っている二酸化炭素の量は、2018年1月の時点で420ギガトンでした。今日、その数字はすでに350ギガトンにまで減っている。
 なぜこれまでと同じやり方で、そしていくつかの技術的な解決策があれば、この問題が解決できるかのように振舞っていられるのでしょうか。現在の排出量レベルを続ければ、残っているカーボンバジェット(温室効果ガス累積排出量の上限)は、8年半以内に使い切ってしまいます。

 しかしこの現状に沿った解決策や計画は作られないでしょう。なぜならこの数字は、とても居心地が悪いから。そしてあなたたちは、それを私たちにはっきりと言えるほど十分に成熟していない。
 あなたたちは、私たちを失望させている。しかし、若い世代はあなたたちの裏切りに気づき始めています。未来の世代の目は、あなたたちに向けられている。

 もしあなたたちが裏切ることを選ぶのであれば、私たちは決して許しません。
私たちはこのまま、あなたたちを見逃すわけにはいかない。
今この場所、この時点で一線を引きます。世界は目覚め始めています。変化が訪れようとしています。
あなたたちが望もうが望むまいが。(了)


👇参考「動画:その2」クリック!

◆動画:環境活動家グレタ ・トゥーンベリ:「TEDxStockholm」プレゼンテーション(11:12)
 
👉「記事」クリック! ◆グレタ・トゥーンベリ(Wikipedia)

 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ・12歳の少女セヴァーン・ス... | トップ | ・長電話の向こうの女たち(上) »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

●脱TV❶:Speech動画 」カテゴリの最新記事