『感性創房』kansei-souboh

《修活》は脱TVによる読書を中心に、音楽・映画・SPEECH等動画、ラジオ、囲碁を少々:花雅美秀理 2020.4.7

・“才能”開花の予兆/九州大学の新入生歓迎公演

2014年04月24日 00時00分27秒 | ●演劇鑑賞

 

  昨晩、テレビで『舟を編む』を観ました。どうしても観たいと思っていた矢先、偶然、放映があることを知りました。今やほとんど「テレビドラマ」を観ることのない筆者にとって、優れた映画のテレビ放映はありがたいかぎりです。それにしても、想像以上に優れた映画でした。

 

 ◇2本の創作脚本

   22日夕、本ブログ「ブックマーク」レギュラーのセラビー氏とともに、「九州大学演劇部」の「新入生歓迎公演」を観に行きました。前日に同氏より強い誘いがあったものですが、氏との演劇鑑賞は今回で確か5回目でしょうか。いずれも九州大学の公演です。なおセラビー氏は『アドリブログ』の管理人として、「JAZZ&FUSION」を綴っています。

  さて今回は2作品。公演時間は両者ともに50分前後であり、『鷹の羽根には綾がある』及び『真桜(まことざくら)』でした。「2作」とも同大演劇部員の「脚本・演出」です。

         ☆   ☆   ☆

  作品[]は、『鷹の羽根には綾がある』(脚本・演出:木下智之氏)――。ペットボトル入り「飲料」という何でもない「アイテム」から、一つの芝居を創り上げたのは巧みであり、よくもここまで「物語」を膨らませることができるものだと感心しました。構想、ストーリーともに面白いと思います。役者は4人ですが、男2人、女1人の計3人が中心でした。

   素早い「場面」転換のため、緊迫感と緊張感が適度に保たれ、ストーリーの展開も軽快でリズミカルでした。走行車中という状況設定も、物語の進行に小気味良いスピード感をもたらしたようです。「役者」たちの台詞回しや動作も軽快であり、観客を退屈させない演出は高く評価されるでしょう。

   ただ残念なことは、《言わんとすることが今一つ伝わりにくかった》かもしれません。いわゆる「現代演劇」風のこうした作品は、少なくとも「90分」は欲しいものです。今後に期待したいと思います。

             ☆

   作品[]の『真桜』(脚本・演出:兼本峻平氏)は、いわば “演劇入門者用” ともいえる大変判りやすい舞台でした。テーマも “男女の永遠の愛” を扱い、しかもその男女が「前世」と「現世」を通じて愛し合い……、“伝説の桜の樹” が二人の愛の誓いを見つめるという……。誰にも受け入れられる物語でした。

   今回の公演が、新入生に対する入部促進のためであることを考慮するとき、この『真桜』は、「歓迎のプレゼンテーション」になったのではないでしょうか。一人でも多くの演劇部員の “入部” を、セラビ―氏とともに心から祈っています。

       

    ◇出演者全員が『蒲田行進曲』の役者

  ところで、今回の2作品に出演した役者は男優4人、女優3人の計7人。全員が『蒲田行進曲』の出演メンバーということを知って驚き、またいっそう興味深いものでした。

   『蒲田…』において主役の〈銀四郎〉を演じた「兼本峻平」氏([作品Bの脚本・演出])。ヒロイン〈小夏〉役の「若藤礼子」嬢。それに〈若山〉役で、今回[作品A]の脚本・演出を手掛けた木下智之氏。……については、そのとき触れていたと思います。

  〈新撰組を撮るための監督〉役の「石川悠眞」氏は、今回『真桜』において主役の〈優次〉役を演じました。今後の舞台に注目したいと思います。ここでは他の3人について述べてみましょう。

        ☆

  「小林佑」氏と「長野真結」嬢は、A・B両作品に出演しています。『蒲田…』ではいずれも〈大部屋の役者〉を演じたわけですが、〈猫助〉役の長野嬢の長い髪と小柄な身体つきが印象的でした。今回の[作品A]での〈緑〉役は、〈猫助〉役同様、“素顔” に近い自然体の演技であったような気がします。

   その意味では、[作品B]の「時代劇」感覚の〈サヨ〉役は、役者としての力量をはかるよい機会かもしれません。だが残念ながら、その真の技量をはかるには出演時間が短かったようです。次の「舞台」を待ちたいと思います。

  小林氏は『蒲田…』での〈岩崎〉役を演じたわけですが、新撰組の襲撃を告げる役だったように思います。今回の[作品A]の氏の好演が印象的でした。やはり役者の数が少ないことと、各役者の演じる時間が長いため、その能力が発揮されやすかったのでしょう。今後の活動に期待したいと思います。

   『蒲田…』では〈女性刑事〉役の「谷口陽菜実」嬢。同舞台ではあまり目立たない役でしたが、今回の『真桜』ではヒロインを演じました。“目ぢから” を感じさせる大きな瞳であるだけに、物を見たり、相手役を見つめる表情に、役者としての力量を感じました。素敵な視線です。あとは心の動きをどう演技に、そしてその視線に活かしていくかということでしょう。次回を楽しみにしています。

        ☆

  なお今回の「公演案内のチラシ」と「プログラム」は、とてもよくできていました。ともあれ、今回の「キャスト」及び「スタッフ」の今後に期待したいと思います。現在の部員が、新入部員とともに創り上げる「近い将来の公演」を楽しみにしています。彼らのポテンシャリティが、これからの精進によって大きく開花することを祈りながら……。(了)  

 


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2 コメント

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Unknown (セラビー)
2014-04-25 23:19:01
ご一緒に観劇でき,こうしてすぐに感想をお読みできてうれしく思います。
オリジナルが2本上演されましたが,その2本とも高いクオリティで揃えるのは難しいように感じました。1本が良ければもう1本はまあまあ。今回もそんな感じでしたね。
ただし年々レベルアップしていまして,当たり外れの少ない安定感が伝わってきました。
学生ゆえの制約があるなかでの良い意味での伝統がオリジナルには色濃いと思います。

一緒に見たのは5回目なんですね。まだまだ秀理さんのようには語れません。6回目が楽しみです。
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演劇部としてのチーム力の必要性 (shuri)
2014-04-25 23:52:08
 セラビー兄、ありがとうございます。

 しかし、貴兄の鑑賞力は回を追うごとに素晴らしく向上していますね。それだけ演劇の魅力に引き込まれている証拠でしょう。話をしていて、こちらも楽しくなります。

 次回は是非、西南学院大学の舞台をご一緒しましょう。そのあとはまた別の学校を……。

 おっしゃるように、常に総ての作品を、総ての面で満足いくようなクオリティに仕上げるのは至難の業です。

 やはり“当たり外れ”をなくすためには、演劇部全体としての「事業計画」を明確に立案し実践することであり、「舞台公演」に関する専門的な研究を積み重ねることでしょうか。

 それに月並みなことですが、演劇部員個々のたゆみない努力でしょう。具体的には、絶えず感性を磨き、創造的なイマジネーションを刺激するような訓練を続けることではないでしょうか。

 要は、「演劇部」としての「チーム力」であり、「総合力」というものでしょうか。
 

 
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