では「何回でも観たくなる映画」とは、どのようなものを言うのでしょうか。そこでご参考までに、私が好きな作品のご紹介を(※註:1)。
確実に「3回以上」観た作品は――、
まず『ベンハー』(迫力あるスペクタクル)、それに『十戒』(ご存じあの「紅海」を、モーゼが真っ二つに分けるシーンは迫力があります)、『シェ―ン』(「シェ―ン!」という声がいつまでも耳に)、『エデンの東』(ジェームス・ディーン主演。どこにもぶつけようのない青春の悲哀と絶望と捉えどころのない希望……)があります。それにオーソン・ウェルズによる製作、脚本、監督、主演の『市民ケーン』でしょうか。
それにしても、『ベンハー』と『十戒』の主演はいずれもチャールトン・ヘストンです。個人的には大好きな男優であり、筆者の歴代男優ベスト10にも入っています。なおこの二つの映画に共通しているキーワードは「聖書」です。
また、『道』(作中人物「ジェル・ソミーナ」の名前のテーマ曲が何とも言えない哀愁を。アンソニークーンとジュリエッタ・マシーナの演技が見事でした)、『死刑台のエレベーター』(マイルス・デーヴィスが奏でる即興的なトランペットのテーマ曲。堕ちていく男女の底のないアンニュイ感が見事に漂っています。それにしても、ジャンヌ・モローの誰も寄せ付けないシニカルな美しさが際立っていました)でしょうか。
さらに、『タクシードライバー』(ロバート・デニーロの出世作。13歳でデビューしたジョディ・フォスターが、12歳の娼婦役を熱演、アカデミー助演女優賞にノミネート……)、『ウエストサイド物語』(ミュージカル調)、『禁じられた遊び』(ギターの主題曲が有名)です。
そして、アルフレッド・ヒッチコック監督の『裏窓』(演劇舞台のようなカメラワークの切り取り方が秀逸)、『めまい』、『北北西に進路をとれ』、さらには『ドクトル・ジバゴ』(ロシア革命を舞台にした作品。オーマシャリフ主演。「ラーラ」のテーマに、雄大さの中にある人間の営みの小ささとその悲哀が。それでいて貴さと美しさとひたむきさとが……)、『羊たちの沈黙』(この作品において、ジョディ・フォスターという女優の素晴らしさを再認識)、『戦場のピアニスト』(ロマン・ポランスキー監督)など。
「邦画」としては、『雨月物語』(溝口健二)、黒沢監督の『用心棒』、『椿三十郎』、『羅生門』、『生きる』などであり、松本清張原作の『鬼畜』、『ゼロの焦点』、『砂の器』。さらには、『幸せの黄色いハンカチ』(山田)、宮崎駿作品の『となりのトトロ』、『魔女の宅急便』、『紅の豚』などがあります。
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「5回以上10回まで」のものとしては、『太陽がいっぱい』(このテーマ曲も大ヒット。若かりし頃のアラン・ドロンの魅力がこれほど出ていた映画はなかったのかも)、『街の灯』(製作・監督・脚本・音楽・作曲・編集のチャップリン。盲目の花売り少女との……)、『アラビアのロレンス』(デビッド・リーン監督、ピーター・オトゥール主演)、『欲望と言う名の電車』(元々は舞台演劇。ヴィヴィアン・リーとマーロン・ブランドの熱演)、『シンドラーのリスト』(自身ユダヤ人でもあるスティーヴン・スピルバーグ監督による反ホロコースト)。
「邦画」は、『二十四の瞳』(高峰秀子主演)、それに松本清張原作の『張込み』や『点と線』など。
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「10回以上20回まで」の作品は、『第三の男』(オーソン・ウェルズ)と『カサブランカ』(テーマ曲のAs time goes by[時の過ぎゆくままに]はあまりにも有名)の2作品です。「邦画」は、黒沢監督の『七人の侍』と『東京物語』(小津安二郎監督、原節子主演)。
『20回以上』となると、今のところは『ローマの休日』(オードリー・ヘップバーンのデビュー作)だけです。この作品は1週間前も観ました( 『第三の男』『カサブランカ』そして『ローマの休日』の3作品については、「DVD」を持っているため容易に観ることができます)。
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※註1:「観た回数」とは、「映画、テレビ放映、ビデオ、DVD」等総てを含んでいます。またその「回数」は確実な回数として控え目なものです。