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小便自利=しょうべんじり 小便が自然によく出ること。尿量の多いもの。

2023-05-19 10:22:57 | 日記

昌栄薬品

小便自利=しょうべんじり

小便が自然によく出ること。尿量の多いもの。

《傷寒論太陽病中》

「太陽病、六七日、表證仍あり、脈微にして沈、反って結胸せず、その人狂を発する者は、熱下焦にあるを以て小腹まさにに鞕滿すべし。小便自利する者は、血を下せば乃ち癒ゆ、(然る所以の者は、太陽の經に隨い、瘀熱、裏に在るを以ての故なり)抵當湯之を主る。」漢方用語大辞典

 

傷寒論 太陽病 中 方術説話より

第百一條 94 一二四

太陽病六七日、表證仍在、脈微而沈、反不結胸。其人發狂者、以熱在下焦、少腹當鞕滿、小便自利者、下血乃愈。所以然者、以太陽隨經、瘀熱在裏故也。抵當湯主之。

 

 太陽病、六七日、表證仍ほ在り、脈微にして沈、反って、結胸せず、其の人、狂を發する者は、熱、下焦に在るを以て、少腹當に鞕滿すべし、小便自利する者は、血を下せば、乃ち愈ゆ、然る所以の者は、太陽の經に隨ひ、瘀熱、裏に在るを以ての故なり、抵當湯、之れを主どる。

 

○表へうおもて、そとがは。 ○隨ずゐしたがふ、つく。 ○瘀を とどこほる、病的に滯るの義。 ○低ていおす、ふれる。 ○當たうあてる、あたる。 ○表證は外側に在る病證。 ○結胸は病熱が胸中にむすぼれること。 ○下焦は下腹部に在り、主として膀胱を謂ふ。 ○瘀熱は病的に滯って居る熱。 ○太陽は太陽病。○經は太陽膀胱經の經脈のこと。 ○瘀熱は病的に一箇所に滯って居る熱のこと。 ○裏はからだの内側。

 

 ○太陽病六七日 太陽病になってから六日か七日目になって。 ○表證仍在 頭痛とか惡寒とか發熱とかの始めから有る病證がとりきれない。 ○脈微而沈 脈がかすかであってそして沈んで居る。 ○反不結胸 脈が微で沈んで居るのに結胸もせず。 ○其人發狂者 病人の動作や言語がおかしくなった者は。 ○以熱在下焦 熱が下焦則ち膀胱に在るので。 ○少腹當鞕滿 下腹が堅く張る筈である。 ○小便自利者 小便がひとりでによく出る者は。 ○下血乃愈 血を下してやればそれに依って愈ゆる。 ○所以然者 それは。 ○以太陽隨經、瘀熱在裏故也 太陽の病が太陽の經脈に從って中に及ぼし瘀熱が躯の内側に在るからである。 ○抵當湯主之 上記の理由に依って上記のやうな證候を現して居る者は抵當湯が之れを主治するものである。

 表證仍在とは病證が變化を來し居りつつも仍其の中に前からの證が殘り雜って居ること、太陽は表を主どる故に前から有る證は皆表證と看て差支へ無からむ、反不結胸とは病が太陽に在って而も脈が沈となれば病熱は胸中に入りて結胸すべきが當り前なり然るに茲では脈は沈となりても結胸せず故に反不結胸と反の字を加ふるものとす、其人發狂とは病状が斯ふなって來てそして狂を發すると云ふこと、其人の二字は而してと云ふやうな意を持つ、狂は動作奇怪にして言語常識を外れること、下焦は少腹の内に在り故に少腹當鞕滿と云ふ、鞕滿とは板か石の類でも當がはれて居るやうに堅くはってること、

 然る所以の者は以下の句は熱在下焦の義の因る所を明かにしたるものにして併せて全章の脈證の生ずる所と治を爲すの本とを説きたるものとす。

 病既に裏に及ぶと雖も仍ほ太陽を離れず故に表證失せざるなり、氣表に在りて表に專ならず又裏に在りて之れ亦裏に獨ならず氣外内に散滿して力なし故に脈微となる沈は裏證表に勝つの徴となす、表熱裏に入る場合は胸中に入り易し胸は陽の位に在るを以てなり胸中に入れば結胸を爲す、之れは熱下位に赴きて胸中に入らず故に熱裏に入るに拘らず反って結胸せず、其人發狂者は恐らく血心に迫り致す所なるべし則ち熱下焦に在れば血茲に聚る血聚れば少陰の脈實す少陰は太陽と表裏して相聯(つらね)るを以て斯く言ふ又少陰の脈は上りて心を絡ふ則ち心血熱を被りて度を失へば因て狂を發するに至るものと見えたり、小便自利者は之れ血より水を分つなり、凡そ血熱を被りて水を分かてば外に於ては汗を爲し内に於ては小便を爲す、今熱下焦に在りて小便自利する者は下焦の血熱を被るとなす、血熱を被りて乾く時は熱愈愈盛にして解せず故に血を下して熱の依り處を除けば内熱外に向ふを得て乃ち愈ゆ故に小便自利者下血乃愈と謂ふ、而して之れ太陽に在るの邪が其の經則ち太陽膀胱經を傳ひて裏に入り茲にからみたる者なるを以て所以然者、以太陽隨經、瘀熱在裏故也と謂ひ、抵當湯は專ら血を治する方にして而も茲に適當するものなるを以て抵當湯主之と謂ふなり。

 抵當湯の低の字に擠(せい)(おす)、犯、當、擲(てき)(なげうつ)、諱(き)(いみな)、などの義あり然も本湯の場合には擠犯等の義に取る所のもの多きには非ざるか、擠はおしのくる、おとしいれるの義にて犯はおかす、さからふの義なり、本證の際に血を下すは法に逆ふのことにて又氣を陷し入れるの恐れあり然るに本湯はそれを無理に行ひて然も理に當るものなれば此の湯を抵當湯と謂ふのではないでせうか。

 本章は太陽病六七日の時に於て病半表半裏の位に入らず表證仍在り乍ら其の經を傳ひて熱裏に入り血證を起したる者の證候と治方とを論じたるものなり。

 

抵當湯方 ていとうとうのほう。

水蛭三十個熬 蝱蟲三十個熬去翅足 桃仁二十個去皮尖 大黄三兩酒浸

右四味、爲末、以水五升、煮取三升、去滓、温服一升、不下再服。

 

 右の四味を、末と爲、水五升を以て、煮て三升を取り、滓を去り、温かきを、一升服す、下らざれば、再び服す。

 

水蛭すいしつ ひる、味鹹平

蝱蟲ぼうちゅう うまさしあぶ、味苦微寒。

不下再服の不下とは血の下らざることを云う。

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