渡辺武著 わかりやすい漢方薬
第二章 漢方薬はどう診断するか
5 肝腎の解毒と利尿作用
文明は利器にあらず
現代文明というのは、人間の健康に一番大切な、食物とか調理に対して、大変に残酷です。
いまの食品は、食べる人の犠牲のもとに、作る人、運ぶ人、調理する人、売る人の手間を省くために、便利さのために、儲けのために食品が作られているともいえます。
食べる人間はどこかへ追いやられているのです。
食品が液体だったらビンに入れなければなりません。
個体だったら箱につめるのは当たり前です。
たとえば、バターの場合、牛乳から作ったバターは動物性で常温では固形ですし、純植物性というマーガリンも固形です。
しかし、物性ということから動物性、植物性をみると、動物性は個体で結合した脂肪酸をいい、植物性というのは遊離した脂肪酸で、かつ液体であることです。
マーガリンは植物性の遊離の脂肪、つまりバラバラなものを。わざわざ水素を添加して個体に動物脂肪化しているのです。
純植物性というマーガリンは、物理的にも化学的にも動物性にされているのです。
何のためかといえば、運ぶため、売るため、便利さのためです。
食べる人間のためではありません。
日本人は、このマーガリンを純植物性と信じて、トーストの上で溶かして食べていますが、元植物性で動物性脂肪と同じく、肝臓に取り入れるためにはもう一度分解しなければ吸収できないのです。
人間にとって植物性脂肪は吸収されやすい状態なのに、わざわざ、吸収されにくい固体にしているのですから、肝臓も動物性脂肪と同じく、負担がかかるわけです。
植物性脂肪を動物性脂肪の個体にして、さらに肝臓でもう一度植物性脂肪にして吸収しているのです。
現代文明の便利さというのは、一億人の日本人の腸や肝臓の犠牲の上に成り立っているというわけです。
ベニバナ油などの植物油に多量に含まれる遊離脂肪酸・リノール酸は、固形脂肪やコレステロールを溶かし、肝機能を助け、動脈硬化を予防し、脂肪太りを解消するので、近年ビタミンFと呼ばれ、医薬にも健康食品にも賞用されています。
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