ちわきの俳句の部屋

メカ音痴おばさんの一念発起のブログです。
人生の後半を俳句にどっぷりと浸かって、…今がある。

兼題は〝柿紅葉〟

2018年10月22日 | 俳句

 今日も午後から曇…今一つ快晴とはいきませんが、まあまあ寒くもないし、これぐらいならよしとしないと。夕方句会から戻るときは雲が一面空を覆って、これじゃ今夜は月が見れないかなと…

 昨日が十三夜なら今日は十四夜ということになります。そうすると明日が十五夜ですよね。でも満月ではなくて、月齢からいうと明日が十三夜の月ということになります。ナントもややこしい!

 今日の兼題は「柿紅葉」、晩秋の季語です。しかし、我家もですが、この辺りはまだ全く紅葉していません。それでイメージで作るからでしょうか、やっぱりありきたりの句になっていましたね。

  窯変に似たる彩あり柿紅葉   右城墓石

 この季語は結構難しいです。他の紅葉と違って一色になることはなく、あの微妙な色合いと葉の重量感が持ち味…それを生かして詠むというのは…ウ~ン、やっぱり難しい!墓石の句も季語を生かしたというより、紅葉した柿の葉を陶器などの焼き上がったとき出来る釉薬や素地の変色に見立てているもの。言われて見れば確かに…という感じはしますがね。

 句会でも、〈一枚を栞にせむと柿紅葉〉〈好きな詩の頁にはさむ柿紅葉〉〈書にはさみ仮の栞の柿紅葉〉といった具合に、発想が全く同じ句が出ました。これとても「柿紅葉」でなくても、「楓紅葉」でも「銀杏黄葉」でもいい…。

 こういう調子でしたので、今回は〝特選なし〟と言うと、みな笑っていました。いつもは特選1句に並選5句なんですが。その中でちょっと食指の動いた1句がこれ、〈村の黙ひらり舞ひたる柿紅葉

 作者が言うには、余りにも村が過疎になって全く人気が感じられない閑けさの中に、柿紅葉がひらりと舞い落ちた景ですと。確かにこの会場は、市街から離れた農村地帯ですので、そうかも知れません。静かでいいというより、人口が減少して年寄りばかりの村の先行きを不安に思う気持ちが強いと。モチーフはとてもいいと思いました。しかし、中七の〈ひらり舞ひたる〉が気になります。特に〈舞ひ〉という語が軽すぎるのです。そこで、〈村の黙破りてひらり柿紅葉〉としました。これでもまだ〈ひらり〉が軽いから、〈はらり〉の方がいいでしょう。こういう時のオノマトペはよくよく吟味することが大事。〈ぱらり〉〈ぽろり〉〈ばらり〉〈ぼろり〉など…わずかな違いですが、それぞれ持ち味が違います。句に当てはめて読んでみると分かると思いますが、こういう細かなところまで気を配って作句したいものですね。

 写真は〝ゴンズイの実〟。歳時記には〝ごんずい〟という春の魚では載っていましたが、これはありませんでした。実が朱いので山野でよく見掛けたのですが、今回調べて初めて名前を知りました。「権萃」と書き、ミツバウツギ科の落葉小高木。5月頃淡黄緑色の小さい花をつけ、蒴果は紅熟すると裂けて、黒紫色の種子を露出。その紅色との対比が美しいとありましたが、その通りですね。

  

コメント
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