わが袖は 潮干に見えぬ 沖の石の 人こそ知らね かわく間もなし
私の袖は、干潮の時にも海に没して見えない沖の石のように、人は知らないが、涙に濡れて乾く間もない。
わが袖は 「が」は、連体修飾格の格助詞。「袖」を「沖の石」にたとえている。
潮干に見えぬ沖の石の 「潮干」は、引き潮。「に」は、時を表す格助詞。「見え」は、ヤ行下二段の動詞「見ゆ」の未然形。「ぬ」は、打消の助動詞「ず」の連体形。「石の」の「の」は、比喩の格助詞。
人こそ知らね 「こそ」と「ね」は、係り結びの関係。「人」は、世間の人。「こそ」は、強意の係助詞。「ね」は、打消の助動詞「ず」の已然形で、「こそ」の結び。「こそ…已然形」で、逆接を表す。
かわく間もなし 「も」は、強意の係助詞。
にじょういんのさぬき (1141?~1217?)
平安末期・鎌倉初期の歌人。源頼政の娘。二条天皇、後鳥羽天皇中宮任子に仕えた。