自燈明

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八十六番 西行法師

2014年11月04日 | 百人一首
嘆けとて 月やは物を 思はする かこち顔なる わが涙かな

嘆けといって月が私に物思いをさせるのだろうか。いや、そんなことはない。にもかかわらず、まるで月のせいであるかのように、こぼれ落ちる私の涙であるよ。

嘆けとて 「と」は、内容を示す格助詞。「嘆けとて」で、嘆けと言っての意。月を擬人化した表現。
月やは物を思はする 「やは」と「する」は、係り結びの関係。「やは」は、反語の係助詞。「する」は、使役の助動詞「す」の連体形で、「やは」の結び。「月やは物を思はする」で、月は(私に)物思いさせるだろうかの意。三句切れ。
かこち顔なる 「かこち顔」は、恨みに思う顔つき。「かこち顔なる」で、「(月に)恨みを持つかのような」の意を表す形容動詞。
わが涙かな 「かな」は、詠嘆の終助詞。

さいぎょうほうし (1118~1190)
西行。俗名は、佐藤義清(さとうのりきよ)  平安後期の歌人。北面の武士として鳥羽院に仕えた後に出家。日本各地を行脚しながら歌を詠んだ。新古今集には最多の94首が入撰。家集『山家集』。
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