自燈明

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七十九番 左京大夫顕輔

2014年09月28日 | 百人一首
秋風に たなびく雲の 絶え間より 漏れ出づる月の 影のさやけさ

秋風に吹かれて、たなびいている雲の切れ間から、月の光が漏れ出ている。その光の、なんと明るく、澄み切っていることだろう。

秋風に 「に」は、原因・理由を表す格助詞。
たなびく雲の絶え間より 「たなびく」は、横に長く伸びる。「絶え間」は、切れ間。「より」は、起点を表す格助詞。
もれ出づる月の 字余り。「もれ出づる」は、雲の隙間から、月光がこぼれ出るさまを描写している。「の」は、連体修飾格の格助詞。
影のさやけさ 「影」は、光。この場合は、月光。「の」は連体修飾格の格助詞。「さやけさ」は、ク活用の形容詞「さやけし」+接尾語「さ」で、名詞化したもの。はっきりしていることの意。体言止め。

さきょうのだいぶあきすけ (1090~1155)
藤原顕輔  平安後期の歌人。清輔の父。崇徳院の院宣による勅撰集『詞花和歌集』の撰者。
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七十八番 源兼昌

2014年09月26日 | 百人一首
淡路島 通ふ千鳥の 鳴く声に 幾夜寝覚めぬ 須磨の関守

淡路島との間を飛び交う千鳥の鳴く声のせいで、幾夜目を覚ましたことであろう、須磨の関守は。

淡路島 歌枕。淡路国、現在の兵庫県にある島。大阪湾及び明石海峡を隔てた須磨の対岸。
かよふ千鳥の鳴く声に 「かよふ」は、「行く」、「帰る」、「往来する」の三通りの解釈が可能であるが、ここでは、三説を総合して「飛び交う」とした。「千鳥」は、海岸などで群れをなして生息する小型の鳥。冬の風物として歌に詠まれる。「の」は、主格の格助詞。「に」は、原因・理由を表す格助詞。
いく夜寝覚めぬ須磨の関守 「いく夜」が、疑問詞「いく」+名詞「夜」という構成の名詞であるため、「ぬ」は、本来、連体形の「ぬる」であるべきところ、終止形となって名詞「須磨」に続いている。「須磨」は、歌枕。摂津国西部の海岸地域。現在は、兵庫県神戸市須磨区。「関守」は、関所の番人。四句と五句は倒置。体言止めを用いることで、辺境の寂寥感を強調している。

みなもとのかねまさ
生没年不詳。平安後期の歌人。父は俊輔。
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七十七番 崇徳院

2014年09月23日 | 百人一首
瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の われても末に あはむとぞ思ふ

川瀬の流れが速いので、岩にせき止められる急流が、一度は別れても再び合流するように、愛しいあの人と今は障害があって別れていても、行く末は必ず添い遂げようと思う。

瀬をはやみ 川底が浅く、流れの速いところ。「AをBみ」で原因・理由を表す。「AがBなので」の意。Aは名詞、Bは形容詞の語幹。「瀬をはやみ」で、川瀬の流れが速いのでの意。
岩にせかるる滝川の 「せか」は、カ行四段の動詞「せく」の未然形。「せかるる」で、せき止められるの意。「滝川」は、急流・激流。現代語の滝に相当する古語は、垂水(たるみ)。「の」は、比喩を表す格助詞。ここまでが、「われても」を導き出すための序詞。
われても末に 「われ」は、水の流れが岩に当たって分かれることと愛し合う二人が別れることを表す。「ても」は、接続助詞+強意の係助詞で、逆接の仮定条件を表す。「末」は、将来・行く末。
あはむとぞ思ふ 「ぞ」と「思ふ」は、係り結びの関係。「あは」は、水が合流することと別れた二人が再び結ばれることを表す。「ぞ」は、強意の係助詞。「思ふ」は、ハ行四段の動詞「思ふ」の連体形で、「ぞ」の結び。

すとくいん (1119~1164)
崇徳天皇 在位1123~1142 第75代天皇。名は顕仁(あきひと)。鳥羽天皇の第1皇子。5才で即位するも、22才の時、鳥羽上皇の命で異母弟の近衛天皇に譲位。近衛天皇崩御の後に即位した同母弟の後白河天皇と保元の乱で争い敗れて讃岐に配流され、同地で崩御。
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七十六番 法性寺入道前関白太政大臣

2014年09月20日 | 百人一首
わたの原 漕ぎ出でて見れば ひさかたの 雲居にまがふ 沖つ白波

大海原に漕ぎ出して見渡すと、雲かと見まがうばかりの沖の白波だ。

わたの原 大海原。
漕ぎ出でて見れば 「見れば」は、マ行上一段の動詞「見る」の已然形+接続助詞“ば”で、順接の確定条件を表し、見るとの意。
ひさかたの 「雲居」にかかる枕詞。
雲居にまがふ 「雲居」は、雲のいるところ、即ち、空または雲。「まがう」は、区別がつかなくなる。
沖つ白波 「つ」は、上代の格助詞で、“の”の意。

体言止め

『詞花集』の詞書によると、この歌は、崇徳天皇の御前で「海上遠望」を題に詠んだ歌であり、山部赤人の「田子の浦にうち出でてみれば白妙の富士の高嶺に雪はふりつつ」と小野篁の「わたの原八十島かけて漕ぎ出でぬと人には告げよ海人の釣舟」を折衷したような印象を与える歌である。ただし、歌の内容としては、流刑となる直前に詠まれた篁の悲哀に満ちた歌よりも、雄大な景色の中で、空に浮かび上がる“白”の美しさを基調とした赤人の堂々たる歌に近いと言える。しかし、皮肉なことに、忠通は、保元の乱で敗れた崇徳上皇を讃岐に流した。天皇の配流は、赤人より少し後の世代である淳仁天皇が淡路に流されて以来、約400年ぶりの出来事であった。


ほっしょうじにゅうどうさきのかんぱくだいじょうだいじん(1097~1164)
藤原忠通 (ふじわらのただみち)  平安後期の公卿・歌人。摂政関白藤原忠実の長男。慈円の父。藤原氏の氏長者として摂政・関白・太政大臣となる。一度は氏長者の地位を弟頼長に奪われたが、保元の乱で頼長を倒して回復した。書にも優れ、法性寺流を開いた。
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七十五番 藤原基俊

2014年09月15日 | 百人一首

契りおきし させもが露を 命にて あはれ今年の 秋もいぬめり

お約束くださいましたお言葉を、よもぎの葉に浮かんだ恵みの露のように、命と思って期待しておりましたのに、ああ、今年の秋もむなしくすぎていくようです。

契りおきし 字余り。「契りおき」は、約束しておく。「し」は、過去の助動詞「き」の連体形。千載集の詞書によると、この約束は、藤原基俊の息子の僧都光覚が、興福寺の維摩会の講師になれるよう藤原忠通(法性寺入道前太政大臣)に頼み、忠通が「私に頼りなさい」と返答したこと。
させもが露を命にて 「させも」は、さしも草で、よもぎのこと。「露」は、恵の露。「て」は、逆接を表す接続助詞。
あはれ今年の秋もいぬめり 「あはれ」は、慨嘆を表す感動詞。「も」は、強意の係助詞。「いぬ」は、「往ぬ」で過ぎるの意。「めり」は、婉曲を表す推量の助動詞。

維摩会の講師の任命権者は、藤原氏の氏の長者、忠通であった。たびたび息子の光覚が選に漏れるので、基俊が恨み言を言ったところ、忠通は、「なほ頼め しめじが原の させも草 わが世の中に あらむ限りは」という歌の「しめじが原」という語を用いて、善処を約束した。ところが、またしても光覚は選に漏れた。これは、その私怨を晴らすために贈られた歌。

ふじわらのもととし(1060~1142)
平安後期の歌人。藤原道長の曾孫で右大臣俊家の子。万葉集の次点(訓点)をつけた一人。藤原定家の父俊成に古今伝授を行った。保守派歌壇の代表的人物で、革新派の源俊頼と対立。人望がなかったため、学識・家柄の割に官位は上がらず、従五位上左衛門佐にとどまった。
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読破断念!「ブラウン神父の醜聞」チェスタトン

2014年09月14日 | Lettura
短編集だが、4話くらい読んで、読破を断念した。
翻訳が悪いというより、原作者の表現が回りくどくて疲れる。
形容詞節や副詞節が異様に長く、解りにくいのだ。
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七十四番 源俊頼朝臣

2014年09月09日 | 百人一首

憂かりける 人を初瀬の 山おろしよ 激しかれとは 祈らぬものを

私の愛に応えてくれず、つらく思ったあの人を振り向かせてくれるように初瀬の観音様に祈りはしたが。初瀬の山おろしよ、ひどくなれとは祈らなかったのに。

憂かりける人を 「憂かり」は、ク活用の形容詞「憂し」の連用形で。「憂し」は、思うようにならない、自分の愛に応えてくれないの意。
初瀬の山おろしよ 「初瀬」は、現在の奈良県桜井市の地名で、初瀬観音(長谷寺)がある。「山おろし」は、山から吹き下ろす激しい風。「よ」は呼びかけの間投助詞。山おろしを擬人化して呼びかけている。第三句は、字余り。
はげしかれとは祈らぬものを 「ぬ」は、打消の助動詞「ず」の連体形。「ものを」は、逆接の確定条件を表す接続助詞。

第二句には句割れがあり、「憂かりける人を」は、「祈らぬものを」にかかり、「初瀬の」は、「山おろしよ」にかかる。

みなもとのとしよりあそん(1055~1129)
源俊頼  平安後期の歌人。経信の三男。俊恵の父。白河法皇の院宣による勅撰集『金葉和歌集』の撰者。斬新な表現や技巧を凝らした作風で歌壇の革新的存在となり、保守派を代表する藤原基俊と対立した。
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恋するフォーチュンクッキー

2014年09月07日 | 動画
Penso che siano brave AKB48
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Yoyogi Park fumigated after three contract dengue fever

2014年09月03日 | L'inglese
Authorities on Thursday spread insecticide to kill mosquitoes in Tokyo's Yoyogi Park, where three people contracted dengue fever, marking the first domestic outbreak of the disease in nearly 70 years.

fumigate(動詞):燻蒸消毒する
contract(動詞):病気にかかる
insecticide(名詞):殺虫剤
outbreak(名詞):発生

◆ Authorities on Thursday spread insecticide to kill mosquitoes
= 蚊を駆除するため、当局は木曜日に殺虫剤を散布した

名詞「authority」は単数形では「権威」を表しますが、この文例のように複数形
になると「当局」を意味することが多いのでご注意。

動詞「spread(散布する)」は語形変化しない不規則動詞なので、文脈から
時制を判断します。ここでは既に終わったことを表すため過去形ですね。

◆ marking the first domestic outbreak of the disease in nearly 70 years.
= 国内でほぼ70年ぶりの感染確認を記録して

「outbreak」は「(病気・災害・戦争の)発生」という意味でよく使われる単語
です。

分詞構文の現在分詞「marking」の主語は直前の部分「three people contracted dengue fever(3人がデング熱にかかった)」を指しています。

「the disease」=「dengue fever」ですね。英語では同じ単語の繰り返しを避け、2度目は別の表現に言い換えるのが通常です。

横浜市は31日、1カ月以内に海外渡航歴がない神奈川県横須賀市の10代の女子高校生と横浜市港北区の20代の男子大学生が、デング熱に感染した疑いがあると発表した。
市によると、2人はそれぞれ8月16~18日に東京都の代々木公園周辺に出かけた。
その後、8月下旬に39度以上の発熱や吐き気を訴えて横浜市の医療機関を受診し、いずれも入院。
市衛生研究所で血液検査をしたところ、いずれもデング熱の陽性反応が出たという。
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七十三番 権中納言匡房

2014年09月02日 | 百人一首
高砂の 尾の上の桜 咲きにけり 外山の霞 立たずもあらなむ

遠くの山の峰の桜が咲いたことだ。人里近い山の霞よ、立たないでほしい。

高砂の尾の上の桜 「高砂」は、砂が高く盛り上がった場所。「尾の上」は、峰の上。ともに普通名詞であり、特定の場所を表す固有名詞ではない。播磨の高砂とする説もあるが、『後拾遺集』の詞書に「遥かに山の桜を詠める」とあること、及び、播磨の高砂は瀬戸内海沿岸部であり、松の名所であって桜の名所ではないことから、地形的に合致しない。
咲きにけり 「に」は、完了の助動詞「ぬ」の連用形。「けり」は、初めて気付いたことを表す詠嘆の助動詞。
外山の霞 「外山」は、深山(みやま)・奥山の対義語で、人里近い山。この場合、桜が咲いた遠くの高い山の手前にある低い山。「霞」は、空気中に浮かぶ小さな水滴やちりなどによって遠くのものが見えなくなる現象で、春に現れるものをいう(秋は霧)。
立たずもあらなむ 「ず」は、打消の助動詞「ず」の連用形。「も」は、強意の係助詞。「なむ」は、他者に対する願望を表す終助詞。
※ 三句切れ

ごんちゅうなごんまさふさ (1041~1111)
大江匡房(おおえのまさふさ)  平安後期の学者・歌人。匡衡・赤染衛門の曾孫。後三条天皇に登用され、摂関家にはばかることなく政治改革を推進した。
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