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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

チコの探偵物語

2014-12-27 19:59:14 | 読んだ本
ウォーレン・マーフィー/田村義進訳 1989年 ハヤカワ・ミステリ文庫版
探偵小説つながりで、読み返してるトレース・シリーズの第6作。
私はここまでしか持ってなくて、このあとどうなったのか知らないんだけど。
原題は「TOO OLD A CAT」。
主人公トレースのルームメイト、チコことミチコ・マンジーニ(父はイタリア人、母は日本人?)が、別れ話を持ち出すという衝撃的な展開。
>わたしはもう愛想がつきたの。あなたに愛想がつきたの。
>自分の生き方にあまりにも無頓着すぎる。毎日おなじことの繰りかえしばかり。無為、無気力、無味乾燥。もうたくさん。
>あなたはなにもマジに考えようとしない。
>あなたがくれたのは、悲しみと、いらだちと、逃避願望だけよ
と、ケチョンケチョンである。
どうにもならないと思ってると、元巡査部長でいまは仕事のろくにない私立探偵事務所をやってる、トレースの父のアドバイスに従って、最終提案をしたら、あっさり別れ話はお預けになる。
その提案とは、いっしょに親父の探偵事務所を手伝えば、拳銃が持てるぞというもの。これにチコは、付帯条件なしで、あっさり同意する。
かくして二人は、船旅に出てしまった親父の留守を埋めるために、ニューヨークへ出向く。
引き継いだ仕事は、新興宗教に入れ込んぢゃって家を出たままの妻の素行調査だったんだけど、例によって、そこに殺人事件が絡んでくる。
で、地元ニューヨーク市警の刑事、エドワード・ラゾーニとウィリアム・ジャクソンっていうコンビが出てくる、これがおもしろい。この二人だけで、十分スピンオフというか新しいシリーズが成立しそうな勢いがある。
登場キャラが多すぎて、なんかゴチャゴチャやってるうちに、事件は解決してしまうのだけれど。
いつもは、トレースがあちこち走り回って集めてきた情報をテープに記録して、そのテープを聞いて真相に至る推理をしてしまう、影の名探偵がチコ、という感じの役割なんだが、今回はチコにはそれほどの冴えがない。
報酬のために引き受けた保険調査に行っても、思うようにいかないチコへの、トレースのアドバイスは冗談にみえて本質をついている。
>(略)パイプの灰の分析は、シャーロック・ホームズにまかせておけばいい。おれたちの知ったことじゃない。要は、なるだけ多くの人間から、なるだけ長い時間、なるだけ頻繁に話をきくこと。そうすれば、話の矛盾点がしだいに透けて見えてくる。それで謎は解ける。

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