many books 参考文献

好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

運命のボタン

2019-02-16 18:11:10 | 読んだ本
リチャード・マシスン 尾之上浩司=編 伊藤典夫・尾之上浩司=訳 二〇一〇年 ハヤカワ文庫版
『激突!』を読みたいんだけど、見つけらんないんで、これ読んでみた、リチャード・マシスンの短編集。
冒頭の表題作を読んだら、ほー、そう来るぅ、っておもしろかったんで、あとも勢いでスッと読めた、全部で13篇。
SFかっていえば、そういう感じのもあるけど、そうともいえない。ホラー色もつよいけど、幻想小説っていうのかねえ。
「運命のボタン」Button,Button(1970)
ニューヨークのルイス夫妻のところへ、押しボタン装置のついた木箱が送られてきた。
夜八時になると、スチュワードという男が訪ねてきて、説明しますと言った。
「そちらでボタンをお押しになりますと、世界のどこかで、あなたがたのご存じない方が死ぬことになります。その見返りとして、あなたがたには五万ドルが支払われます」
夫のアーサーはタチの悪いいたずらだと相手にせず突っ返すが、妻のノーマは気になってしかたない。
「針」Needle in the Heart(1969)
大っきらいな姉だか妹だからしきテレーゼをやっつけようとする女性の告白のような日記。
憎き相手を抹殺する方法は、父の蔵書のなかから見つけたヴードゥーの秘術で、人形に針を刺すことだった。
「魔女戦線」Witch War(1951)
オーバーオール姿の七人の美少女はみんな16歳未満、〈PGセンター〉という建物のなかにいて無邪気におしゃべりしている。
外では戦争が行なわれていた、将校が敵を攻撃するように指示すると、「また、やんなきゃなんないの」なんて言って、彼女たちは精神集中を始めた。
「わらが匂う」Wet Straw(1953)
妻を亡くして数か月後、男は眠ると、風が吹き込んできて、濡れたワラの匂いがする幻影に悩まされはじめた。
妻といっしょに、急な雨におそわれたとき、納屋に入って、雨の音や濡れたワラの匂いがしたことを思い出した。
「チャンネル・ゼロ」Through Channels(1951)
刑事が少年に供述をもとめて録音しているというスタイルの話。
自宅で家族が悲劇にあったとき、テレビがついていて、いやな臭いがして、床がぬるぬるしてたと少年が記憶をたどる。
「戸口に立つ少女」Little Girl Knocking on My Door(1950頃書かれてお蔵入り、発表は2004)
夕食のしたくをしていると、黒く長い髪をして、白い絹のドレスを着た少女がドアをノックした。
「ねえ、おばちゃまの家の子と遊んでいいですか?」という、娘のアリスは二階にいるが、今日はもうだめだと答えた。
しかし、うっかり「明日、いらっしゃいな」と言ってしまったばっかりに、翌朝その少女はやってきた。
「ショック・ウェーヴ」Shock Wave(1963)
教会のオルガン奏者のミスター・モファットは、周囲が古いから処分しようと言い出してから、オルガンの調子が悪いという。
従兄のウェンドールに否定されても、老奏者はオルガンには意志があり、勝手に動くことがあるのだという。
「帰還」Return(1951)
時間転移機が完成し、ウェイド教授は妻の止めるのもおかまいなしに、五百年後の未来へ行く実験に乗り込む。
彼は2475年の世界に到着するが、そこの学者たちは、あなたはこの時代の存在となったのだから過去に戻ることはできないという。
「死の部屋のなかで」Dying Room Only(1953年)
砂漠地帯の道の途中で、ボブと妻のジーンは車をとめて、ぼろい喫茶店に入ったが、そこは冷たい水も出ないような店だった。
ジーンが洗面所からもどると夫のボブの姿がない、店のひとや他の客に訊いても知らないという。
「小犬」The Puppy(お蔵入りで発表は2004)
サラは6歳の息子をかわいがっているが、犬を飼いたいというのは神経質になる息子にはむりだろうと認めない。
ある日、うちに帰って息子が寝たあと、家の中に小犬がいたので、遠くまでいって放してきたのだが、翌朝同じ犬がウチに勝手に入ってきた。
「四角い墓場」Steel(1956)
ポールとケリーは時代遅れでガタがきてるB-2型の機械ボクサーを運んで試合会場へと向かう。
部品もオイルも手に入らないんで整備士のポールは無理だというが、ケリーはまだまだこいつは戦えると引っ込まない。
「声なき叫び」Mute(1962)
ニールセン家が火事になったあと、ただひとり生き残ったパール少年は保安官の家にひきとられたが、ひとことも口をきかなかった。
大学教授だったニールセン夫妻はパールを学校に行かせなかったが、保安官夫妻は地元の学校に入れた、そこへある日ドイツから事情をよく知る男が訪ねてきた。
「二万フィートの悪夢」Nightmare at 20,000 Feet(1961)
ロサンゼルス行きの夜の飛行機に乗ったビジネスマンのウィルスンは、ナーバスになっていて胃も痛く、とても眠れる状態ではなかった。
二万フィート上空で窓から外を見ると、翼の上に黒い人影が見えた。しかし、スチュワーデスを呼ぶと、機外にいたその何かは姿を消していた。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« あなたも落語家になれる 『... | トップ | コロンブスの卵 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

読んだ本」カテゴリの最新記事