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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

GO AHEAD!!

2010-10-02 19:53:23 | 江口寿史
最近ときどき、馬関係のネタは、もう、また別ブログに、したほうがいいのかなとか考えることがあるんだけど。
それだと、私という人間が分裂しちゃう(?)みたいな気がして、ときに話が飛んぢゃうことがあっても、やっぱ「本ときどき馬」のいまのままでいこうと思ってる。

さてさて、えーと、話がどこ行っちゃったんだっけ、って感じだけど、とにかくおとといのマンガのつづきだ。

江口寿史 1981年 集英社ジャンプスーパーコミックス
「江口寿史傑作短編集Vol1」ってちっちゃく表紙に書いてあるけど、Vol2以降は知らない
まあ、そういうことで、江口の第一短編集ということになるだろうが。
こないだ採りあげた『ひのまる劇場』の主人公・名探偵(?)白智小五郎は、このなかにある『名探偵はいつもスランプ』で初登場する。
だから“ひのまる”が連載始まったとき、おお?これを(連載で)やるんだ!って期待したと思う。面白いんだもん、これ。
で、ここに集められた短編は、「恐るべき子どもたち」が江口寿史のデビュー作で、あとは週刊ジャンプの愛読者賞とかで年一回のペースで書かれたマンガってことになる。(連載でいっぱいなのに、ほかに短編かくわけないよね。)
どうでもいいけど、愛読者賞ってのは、当時のジャンプで毎年やってた企画で、たしか10号から20号くらいの間にやるんだけど、ファン投票上位10名の漫画家に読み切り一本ずつ描かせて1週ずつ載せて、掲載後にまた作品に対する人気投票をして優勝者を決めるというもの。
意外な作品が出てきたりして面白かったんだけど、そのうちマンガ家の選出にあたって、あだち充が1位になっちゃったりして、描けっこないんだ、そんなの、出版社の敷居とかあるんだから、企画そのものが無くなっちゃった。
それはいいとして、「名探偵はいつもスランプ」は、そこで優勝した作品。
翌年の「桜ノ花サイタ?」は、千葉県のヤクザの抗争と、地球にケンカを吹っ掛けようとする宇宙人の侵略作戦を絡めた、そんな話なんだけど、著者があとがきに「45ページを四日で描いた」とか語ってるように、少し絵が荒れ気味だったりする。そういうのがあるのが、またいいんだけどね、ファンとしては。
でも、私がいちばん好きなのは「GO AHEAD!!」(ゴーアヘッド)
高校生のロックバンド仲間がコンテストを目指してくうちに、ライバルの女子高生バンドと張りあったりとかって話なんだけど、ギャグも面白いし、少年マンガらしくていい。絵はところどころ甘いんだけどね。
冒頭に、主人公たちのバンドが、大音量でキャンディーズの「年下の男の子」をやる場面があるんだけど、これがすごく楽しそうなんで、ぜひロックっぽくアレンジしてこの曲をやってみたいと私はずっと思ってる。
どの作品も、絵は初期のパイレーツといっしょっぽい。時期同じだからあたりまえなんだけど。
「GO AHEAD!!」1980年
「桜ノ花サイタ?」1979年
「恐るべき子どもたち」1977年
「2100年宇宙ベースボール」1977年
「名探偵はいつもスランプ」1978年

で、これが、もう一冊あるんだ。

1995年 創美社発行・集英社発売 ジャンプスーパーエース
後年になって、大ぶりの版で出し直されたんで、またこんなことしてるよって思ったんだけど、こっちには単行本未収録の「P男」(カラー4ページ)が入ってる。
これについては、あとがきのさらに後に「新装版についての覚書」として、作者が、
営業上の理由から、昨年描いた4コママンガを巻頭に追加した
と書いてるんで、ファンとしては違うコンテンツがあるなら、やっぱ買わねば!と思ってしまった私なんかは、まんまとひっかかった形。いいんだけどね、べつに、それでも。わかって買ってることだし。
ただ、ほかにも重大な違いがあって、同じあとがきで作者はこう書いてる。
「自主規制」という、出版社の形式上のモラルにより作品(2100年宇宙ベースボール」)の中の、あるコトバが削られたこと
これは、2ページにわたる5箇所の「ドレイ」という言葉である。
こういう場合、多くは、セリフのなかの言葉を書き変えて、出版すると思う。(たとえば「バットは、いま“使用人”が持ってくる」とかね。)
ただし、ホネのある作者は、そういう出版社の勝手な意向をよしとしない。よって、江口寿史は、そこのセリフにそのまま「ピー」っという放送禁止のときにかぶせる音をイメージした語句を、これを変えろと言われましたが変えませんと、それとわかるように張り付けてある。
(たしか、村上春樹も「サイコパス」という単語を書き変えろと言われて、断って「***」か何かの伏せ字のままにすることで、その後の版は出していると思ったが。)
昔のマンガは、けっこう、これがある。「巨人の星」の「父ちゃんの野球××××(ピーッ)!」とか有名だし(あれはアニメだっけ?)、手塚作品なんかでも、けっこうセリフは雑誌掲載時から書き変えられてたりする例がある。
作者・作品の尊重とか、時代背景がどうとかって前に、「放送禁止歌」を読んだ私としては、そもそもその自主規制ってやつが、すごいあやしげだと思ってるんで、書き変えを見ると、なんだかなーと思ってしまう。

コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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Unknown (やっ)
2010-10-06 09:45:57
「GO AHEAD!!」懐かしいですね。

坂本龍一似の彼のギャグ『さもないとアンモナイト』が最高でした。
返信する
あの間(ま)が好きで (kanagawa_kun)
2010-10-06 21:07:36
やっさん、コメントありがとうございます。
私も好きです、「さもないと アンモナイト」
そのあと、シ~ンとする間が、またイイと思います。
彼(二宮)の出てくるギャグは独特の良さあって、
「むむむ(と悩んでるとみせて)マスターのつくるドライカレーはうまい」
とか、その後の
「金魚みたいに パクパク」
とかってトコ、何度読んでも笑います。
返信する

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