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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

王様は裸だと言った子供はその後どうなったか

2022-04-23 18:24:27 | 読んだ本

森達也 二〇〇七年 集英社新書
これは、ほこりかぶった箱のなかにしまってあったのを、最近再発見して読み返してみたもののひとつ。
たぶん当時の私は著者の『放送禁止歌』とかおもしろがってたので読んでみたのではないかと。
太宰治の『お伽草紙』に触発(?)されて、古くからの誰もが知る物語をパロディ調に仕立てて、現代社会の問題点をとりあげてみようみたいな企画もの。
バカには見えないって服を着てるつもりの王様を指して、裸だと正直に言いだした子供はどうなったか。
死刑にされるんぢゃないかという父親の心配をよそに、町民たちはこの国がよくなるかもしれないと褒めにくるし、王様の親衛隊の指揮官すら、この子が革命を起こして将来の指導者だと激励しにきたり、ということになるとか。
桃太郎の話はおもしろくて、桃から生まれた桃太郎は成長してジャーナリストになる。
それで鬼が島に取材に行く、鬼の悪事を暴いて世間に伝えるという崇高な意識に支えられて。
なんで鬼たちは退治されなきゃならないのか、
>理由は明らかだ。悪いことをしたからではなく、存在自体が悪なのだ。ジャーナリストはこれを放置しない。過去の悪行を忘れるなどもってのほかだ。被害者の遺族たちは大勢いる。許せない。(p.30)
という調子の正義感にもえて突き進む様子がおかしい。
無関心な近隣住民に、「彼らはテロを画策しているといううわさがありますが」みたいにインタビューして、「不安だ」という回答を得たところの映像と音声だけ採用して放送に流す、「悪いことしてないよ」みたいな答えのところはボツという編集をする、みたいな。
コンテンツは以下のとおり。
第一話 王様は裸だと言った子供はその後どうなったか(仮)
第二話 桃太郎
第三話 仮面ライダー ピラザウルスの復讐
第四話 赤ずきんちゃん
第五話 ミダス王
第六話 瓜子姫
第七話 コウモリ
第八話 美女と野獣
第九話 蜘蛛の糸
第十話 みにくいあひるのこ
第十一話 ふるやのもり
第十二話 幸福の王子
第十三話 ねこのすず
第十四話 ドン・キホーテ
第十五話 泣いた赤鬼


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