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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

ユリイカ 特集*立川談志

2012-03-05 18:03:03 | 読んだ本
ユリイカ2012年2月号 青土社
談志家元が亡くなって、まあ追悼の名目でいろんなものが出てくんだろうなとは思ってたんだが。
特にいまさら何を買って、記憶にとどめようとは思ってなかった。人間、死んだら終わりだから。
私は、たとえば志ん生とか文楽とか知らないわけで。音源・ビデオとかそれほどないみたいだし、知りようもない。
それに比べたら、談志の映像なんかはいっぱい残されてるから、この後の時代のひともその落語を見ることができるんだろう。
時代が違ったら、どう評価されるかわかんないけど。私は、不滅だと信じてるが。
で、この「ユリイカ」は、書店でたまたま出たとこを見つけて、たまたま買った。
やっぱお弟子さんたちの話がおもしろいねえ。
特集部分のコンテンツは以下のとおり。
「江戸の風」の羽ばたき、あるいは立川談志の成り行き 立川志らくインタビュー
モノを書かざるは立川流に非ず 立川談四楼
参議院議員 立川談志 立川談之助
親切だけが人を説得する 立川談幸
猛獣はメディアの檻に収まらない 立川談笑
肉声 立川談吉
ワカリタイ 立川志ら乃
初代と七代目 池内紀
談志の志は志道軒の志 矢内賢二
落語は業の肯定か 業の自覚から見える世界 釈徹宗
落語は、このままでは『笑点』のようになってしまう 小谷野敦
人生は博奕と覚えたり 落語の賭け金をめぐって 月亭可朝インタビュー
談志師匠と精神分析 岸田秀
家元の事、及び 福田和也
元日の正夢 南博
狂的なる噺家 平井玄
立川談志・落語的目ン玉 長谷川踏太
談志さんのこと 雲田はるこ
師弟の継ぎ目 落語という宇宙の始原 柳家花緑インタビュー
立川談志 大阪における点景 戸田学
Too late to die! 雑賀恵子
源平のあとに盛衰するもの、語り 串田純一
パフォーマンスの逆説 「短命」の枕から 三浦俊彦
現代落語という矛盾 落語的な「弱い生」をめぐって 長谷正人
落語の「語」 中田健太郎
『立川談志 最後のラジオ』全放送記録
立川談志略年譜


どうでもいいんだけど、家元の得意とされていた「芝浜」について、ちょっと。
最後、女房がすべてを話すとこ。
真相を話し終えて、さああとはおまえさんの好きにしてもいいよってとこ。
普通は、たとえば、
「話はここまで。長年つれそう女房に、おまえさん、ウソをつかれていたんだ。
くやしいと思う。くやしかったら、おまえさんになら、
あたしはぶたれたってしょうがない。」
とかやります。
いいとこですね、油断すると泣いちゃいます。
で、晩年の談志家元は、そこんとこ、
「話はこれだけ。…話はこれだけ。
…勝っつぁん、…勝手だけど、お願い!
…わかれないで。わかれないで!
 あたし、おまえさん好きなの! わかれないで!」
って感じでやってました。
鬼気迫る場面なんだけど、これ、なんか違和感を私は感じちゃって、入りこめませんでした。
芝浜の時代設定がいつごろなのか正確には知りませんが、江戸時代の人間って、「好きなの!」とか愛してるとか、言わないような気がするんですよね。
ほら、二葉亭四迷だっけ、アイラヴユーを「私は死んでもいい」って訳したとか、要は明治のころまで、そういう言葉が日本語にはなかった。
でも、まあ、そこが家元の言ってた「伝統を現代に」なのか、現代の客にはこの話こういうふうな表現つかったほうが通じるという思いなんだろうけど。

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