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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

「ドライブ・マイ・カー」などを読み返す(映画みたんで)

2022-09-20 18:38:23 | Weblog

こないだ、某BSで映画『ドライブ・マイ・カー』を放送してたんで、録画しといて観た。
なんか春ごろ話題になってたしな、と思ったんだが、でも私はアカデミー賞ってあんまり、なんつーか、信用してないんだけど。
それはともかく、そしたら長いんだ、これが、3時間くらいある、今日日3時間は長いよね、『日本誕生』とかの時代ぢゃないんだから。
まあ、とにかく観てみて、そこで、ふと思ったんだけど、原作の小説「ドライブ・マイ・カー」って短篇だったよね、こーんな長い話ぢゃなかったような。
でも、だいたいがどんな話だったかも忘れてしまってるし、そういうわけで読み返してみることにした。
探せばすぐ出てきたけど、単行本『女のいない男たち』は、2014年の出版かあ、遠い目になってしまった。
「ドライブ・マイ・カー」の主人公は俳優の家福(かふく)という男で、事故ったうえに眼に異常もみつかったんで、専属の運転手を雇って自分の車を運転させることにした。
そのドライバーはまだ若い女性なんだけど、アクセルもブレーキもシフトチェンジも、とにかく運転はうまかった、北海道の車がないと生活できないとこの出身なんで自然とうまくなったらしいが、余計なことしゃべったりしなくて、存在が気になんないし、理想的なドライバーといえた。
あるとき、彼女が車のなかで「どうして友だちとかつくらないんですか?」と訊いてきた。
それで家福は、最後に友だちらしいものつくったのは10年くらい前で、その年下の二枚目の俳優が、自分の亡くなった妻と寝ていたのを知っていて近づいたのだ、どういうわけで妻がそいつに惹かれたのかとか知りたくて、って話をする。
っつーだけの話だ、っつーだけってのは面白くないとかって意味ぢゃなく、3時間の映画にはならんだろよ、という長さのことで。
チェーホフの『ヴァーニャ伯父』の話は出てくる、家福が劇場で出演してたのが明治時代の日本に舞台を移して翻案したその公演だ、ってだけの話で、映画では多国籍言語で舞台を上演するなんてすごいことになってるけど。
(どうでもいいけど、映画には手話をつかう女性の俳優って演出があって、今年のアカデミー賞は聴覚障害者の家族の話が何か受賞したとかいうから、そういうのが今年のアカデミー賞では、なんつーか、やりたいことだったのかなという気もしたが。)
奥さんがベッドの中で実事の後に、物語を話す、やつめうなぎがどうしたとか、同級生の男の子の家に忍び入ったとか、そういう話をするってのは、同じ単行本の「シェエラザード」のほうでした。
ふーむ、ということで、短篇小説にインスパイアされて、あれもこれもって、映画脚本書いてったら3時間になっちゃったってことですか。
なんかめずらしい気がする、そういうの。
だいたい日本の映画って、長いんだけど、アメリカとかの何でも90分くらいで全部回収してまとめちゃうのとかと違って。
最近はねえ、マンガを原作にしてんのとか多いようだが、これがたいがい長いのよ、いや3時間とかにはしないんだけど、すぐ120分ものの前後編2部作とか、3部作とかにしちゃうから、トータルでは長い。
原作マンガの何がそんなに好きなのか知らないが、週刊1年とか2年連載したぶんとか、単行本10冊とか20冊とかを、そのまんま映画にしようとするから、削らないもんだから、そりゃ長くなる。
マンガのセリフをそのまま言わせるってのもね、いやあ、なんつーか、それならマンガ読むよ、って気にさせられる。
映画は映画用に脚本書いてよ(できたら短く、ギュッと濃くしたの)、と思うことが多い、それとも一つ看板で延々シリーズつくったほうが儲けやすいのかな。
で、まあ、短い小説を長い映画にした「ドライブ・マイ・カー」はめずらしい試みだな(私が知らないだけで、けっこう他にもあるのかな)と思ったわけで、それはそれでありかとも思ったが、やっぱあんまり何度も観るとは思えない(笑)
(気に入ったシーンのひとつは、一緒に食事に招かれた席で、女性ドライバーがやおらその家の犬を撫でるところ。なんでもセリフとして言葉に出して説明しないと気が済まない邦画関係者とは、ちょっとちがう気がした。)


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