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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

マンガ原稿料はなぜ安いのか?

2020-10-17 17:54:09 | 読んだ本

竹熊健太郎 2004年 イースト・プレス
これは、ことしの夏に、ふと見つけて(ほかのもの探してたんだけどね)ふらっと買ってみた古本。
著者は「サルまん」のあのひとだよねえ、と思って。
開いてみたら、全編が原稿料の話ってわけぢゃなくて、ふつうにマンガ評論もありました、それでよかったんだけど。
冒頭の章がマンガ原稿料の話題にあてられていて、まずは一発ヒット飛ばせば豪邸が建つとか、そんなイメージ先行はよろしくないという話から。
そもそもマンガの原稿料が安いのかどうかすら私は知らないのだが、けして世間に思われるほど高くないとか。
で、どうしてということだが、雑誌連載でマンガは発展してきたが、雑誌と単行本はべつもので、むかしは雑誌売れてれば商売成り立っていたが。
読者層の変化による売れ行き減と、オイルショックによる紙不足によるページ数減という時期に、単価値上げという選択肢をとらず、連載ものを単行本にして売ってまかなうという道を大手出版社がとったと。
定価を据え置いてたくさん売るという方法を確立したおかげで、つくりてのマンガ家の原稿料も据え置かれて、でも単行本の印税入ってたから問題表面化せず、現在に至る、だから物価なんかに比べて安いんだと。ふーむ。
そこから、マンガが異常に売れた時代が去って、出版不況のご時世になっても、意外とマンガ業界がもってるのは、原稿料が安いまんまだったからって喜んでいいのかどうなのかって考察もある。
で、いたずらに原稿料を上げろーって話になるんぢゃなくて、マンガ業界今後どうあるべきかって話になるのがいい、そうそう世界に誇る日本文化だからねえ。
雑誌連載って方法だけぢゃなくて、描き下ろしマンガというスタイルの発展に可能性があるんぢゃないかという、長編小説と同じように、期待のというか待望のというか単行本がいきなり刊行されて売れる世界。
賛成。雑誌連載しかもアンケートの人気が指標でムリクリつくってダラダラ続くより、そういうほうがいいもの出来る場合もあると思う。
(で、そういう作品が、内容だけでちゃんと評価されて、賞を受賞するとか、そんなジャンルとして確立されてほしい。)
私なんかは諸星大二郎ファンだからねえ、仮にしばらく沈黙の後とかでも、短編集なり長編が単行本として出たら、まちがいなく買って読む自信はある。
んー、でも江口寿史はどうかなー、締め切りあっても描けないからなー、締め切りない描き下ろしが完成するとは思えない、心配だ(笑) (読みたいなー、エリカとかパパリンコ。)
コンテンツは以下のとおり。(んー、やっぱ「サルまん」が読みたくなってきてしまった。)
はじめに マンガ・景気のいいハナシ
Part 1 マンガ業界のハナシ
 マンガ原稿料の秘密
 描き下しマンガの可能性
 1+1=3 ~「原作論」の確立に向けての提言~
 マンガ幼年期の終わり?
 マンガ研究の現在
 マンガ 世界 戦略
 マンガと文学
 映画とマンガの新しい関係
 マンガと著作権
 トキワ荘、完全消滅
Part 2 マンガ本のハナシ
 作家のすべては処女作にあり!『魔少年ビーティー』荒木飛呂彦
 ♪どんどん増える星の数、末は社長か会長か?『島耕作』シリーズ弘兼憲史
 消えたマンガ家の幸福なその後『ドリーム仮面』中本繁
 甘美なる終末『方舟』しりあがり寿
 彩雪に舞う……『彩雪に舞う…』楠勝平
 巨匠・幻の遺作『南回帰船』作・中上健次/画・たなか亜希夫
 竹中労と『黒旗水滸伝』『黒旗水滸伝』作・竹中労/画・かわぐちかいじ
 マジメな芸術家の描いたマジメなマンガ『漂流教師』パルコキノシタ
 無邪気な邪気『シンデラーラちゃん』水野純子
 もうひとつの「メカと美少女」『ニナライカ』作・川崎ぶら/画・秋重学
 天然まんが家『天然まんが家』本宮ひろ志
 もはや〈パロディ〉ではない!『神罰』田中圭一
Part 3 マンガ作家のハナシ
 宮崎駿という奇跡
 赤塚不二夫を語る
 ママがこわい~楳図マンガの「求心力」について~
 新海誠論あなたは『ほしのこえ』を見たか?
Part 4 サルまんのハナシ
 『サルまん』はこうして生まれた
 【特別付録】幻の第一回サルまん・ボツネーム 作・竹熊健太郎/画・相原コージ
おわりに

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