論文「日本の若者に、なぜ英語教育が必要なのか?」その真の理由

2013-01-14 11:39:56 | Weblog
若者にとって、「英語学習」がなぜ重要なのか? その真の理由は?

「どの科目も重要であるに変わりは無いはずなのに、なぜ、外国語の『英語』が、数学や国語と並んで重要三科目の一つにされているのだろうか?」
小生は、30年余りも、(当塾で)専ら、数学と私立中学進学用の算数の教師をしていたせいもあって、こんな疑問を絶えず持ち続けてきました。
もちろん、多くの人たちが、その理由らしきことを言ってきました。

➊最近の文化人や経済界のリーダーたちなら、さしずめ「経済的・政治的・軍事的分野などで、現実に世界のトップの座を占める英米の人たちや国々との間で、円滑に交流や相互理解を促進し、市場開拓・貿易促進等のために不可欠・・・さらには、少子化が進行し内需が減少する最近では、急速に経済的発展をしつつあるアジアの国々への我が国企業の進出と現地の人たちとの間での交流推進手段として極めて重要だから・・・」という理由を挙げるでしょうか。

❷しかし、学校教育の中で、「英語」は、既に、明治時代の昔から、国家近代化の必要のための富国強兵政策の旗印の下、「欧米諸国の圧倒的に優れた文明・技術を吸収するため」という理由で、重要科目に指定されていたように思われます。

❸一方、英米人は、こんな風に言っています。「日本語は、古来、〔多様に解釈できる〕曖昧さと情緒性とをもって誇りとしているが、英語は、単数・複数の区別をするだけではなく、時制も多様であり,言語数も極めて多く、精密な論理的思考を進めるのに適した言語なので、外交交渉を通じて取り決められた締結内容を厳格に記述するのに適した文書の作成面でも科学的論証や論理性を大事にする論文作成にも向いていて、次第に世界中で広く採用され続け、従って、ノーベル賞も圧倒的に獲得しやすい、世界中で最も秀でた言語である・・・」と。

しかし、実際に英語を深く勉強し続けていけば、英米人が主張するこの理由が必ずしも当たらないことが分かります。なぜなら、すべての文法規則や原則に対して、合理的な説明の出来ない多数の例外があり、またさらにその例外もあるなど、風に吹かれる雲の動きに似て、安定性や一貫性に著しく欠けているといわざるを得ないからです。

ただ、そのため、文法上の大原則や規則に厳しく縛られること無く、随時、個々・時々の状況や場合に応じたよりきめ細かい多様な表現も可能であり、更には、国際政治や文化面などにおける時代の大きな流れや環境の激変をも反映しながら、極めて柔軟に変化し続けて生きながらえてきた英語の長所でありメリットでもあると言うのでしょうか。〔→注をご参照ください。〕

確かに、歴史的にヨーロッパ大陸の諸国や文明との間で、絶えず大きな摩擦を繰り返してこざるを得なかった英国や英語のたどった道から推察すれば、文法上の原則に対する尊重・固守は、事実上不可能であったし、極めて柔軟に変化し続けていくことこそが、むしろ必要不可欠だったのでしょう。
しかし、もともと、どの言語も、大なり小なりそんなものでしょう。

だからこそ、多くの種類の言語が、各地・各国で、2千年、3千年・・・いや、時には数千年以上に及ぶ国際環境や思想の変遷にも耐え抜いて、なおかつ使われ続けているのではないでしょうか。(→「注」参照)
それにしても、「遊牧・牧畜国家」と言われてきた西洋諸国とは異なり、東洋の果ての小さな島国・稲作農業国で、長年の間、鎖国を通して単一民族性と平和を維持できた日本では、異質な文明や国々同士間での交流や大きな衝突を体験せず、言語表現上の含みや曖昧さも単一民族性からくる「阿吽の呼吸」での理解し合いに任せることが可能であったために、文法上の「一貫性」や「原則」を尊重・固守し、「異質」や「例外」を厭い嫌う習慣と思念とが、極めて強く養成されて来たのかもしれません。

かくて、単一民族性が強いために、一般的に何事にも柔軟性に乏しいこの国民性こそが、日本人全体のことを、欧米人から、しばしば”homogeneous〔均質的〕”であると揶揄されても、なかなか”monolithic〔一枚岩的〕”であることを変えられなかったと原因であったと言えるでしょう。

そこで、米国の歴史家「S・ハッチントン」が、日本をもって、エジプト文明や中国文明・ギリシャ文明などと並立する世界で7~8個の独立した文明のうちの一つとして識別している理由が理解できるでしょう(彼によれば、日本文明は、2世紀から5世紀において中華文明から派生して成立した文明圏であり、日本一国のみで成立する孤立文明とされている)。

こういった英語の世界と日本語の世界との根本的な文明の由来と性質との違いをしっかりと認識しておかないと、日本語上のルールに慣れきった日本人は、英語の大きな異質性に戸惑うばかりでしょう。
即ち、西洋文明と言語の核は、ギリシャ文明の思想的基盤であった、「自由と個性と多様性の尊重」であって、決して、「秩序・全体性・均質性の尊重」に頑なにこだわり続けることではないことを、改めて認識するべきでしょう。

ですから、日本の大方の学校における伝統的な英語教育が、固定的な文法原則中心で行われ、それでいて(そのため?)効果が極めて小さく、英語を使う能力の点では、世界の特別の後進国に位置して久しいのも、単に、学校での学習時間数が極めて少ないということだけが理由なのではなく、他にも理由のあることなのです。

➍私は、その英語学習が重要とされる理由について、多くの人たちが説明するような経済上・交易促進上の直接の実益・実用性ばかりを狙った理由とは異なる、真の答えが他にあったのではないか、あるいは、今も存在し続けているのではないかと、最近強く思い始めました。
(後述しますが、実は、この思いこそが、理数科を直接に英語で学ぶ民間教育機関[= “Science in English School”=SES]の立ち上げへと繋がりました。)

「英語学習が重要とされる真の理由」について、その答えはズバリ言って、「英語を学ぶということは、単に、経済・交易促進の必要上から「実用英会話を体得」するということを意味しているのではなく、根源に遡って、人類・世界の文化と歴史、そして進んだ「科学」の重要な部分を「情報交換を通じて」学ぶという意味と効果とを併せ有しているが故に、重要不可欠な学習科目となっているのではないでしょうか・・・
私に、このような考えが芽生えた最大の理由は、次の通りです。

                    記

(1)先ず、習得する英単語数が、1万語(英検1級レベル)を越えて増え続けるに従い、いくつかの単語のグループ毎に、それぞれ顕著な共通特性があることに気づき始めたのです。
即ち、多くの漢字が,多種類の冠や辺、それにつくり等で構成されているのと類似の原理です。英語では、それらは、接頭辞・語幹・接尾辞と呼ばれています。

(2)次に、その三要素のうちで、最も根幹をなす大切な「語幹」が、実は、フランス語であったり、ギリシャ語・ラテン語であったりすることが、極めて多いのです。時に、アラビア語であったりします。(→添付「資料No.1」をご覧ください。)

即ち、英国の歴史を反映して、(a)最初に、紀元前50年頃のローマ帝国軍・シーザーによる征服や、紀元後601年以降のキリスト教文化の植え付けによって、ラテン語が大量に流入し、(b)ついで、5世紀のゲルマン人(北ドイツ)による移住・征服で、ドイツ語、(c)そして、3番目に、1066年のノルマン人〔北フランス〕の征服以降300年間に渡るフランス語の〔強制的〕公用語化・・・という言語それ自体の激変の歴史が、外来語を極めて多くすると同時に、文法規則の例外を多くしている原因となっていると推測されます。
フランス語系は、今日でも、50万語前後を数える総英単語数の25%以上に及んでいる様子ですし、今日の電子辞書〔ジーニアス英和大辞典〕で参照する限り、ラテン語(及びギリシャ語)となれば、その割合は、その2~3倍に達しているのではないかとさえ思われます。(→添付「資料No.2」をご覧ください。)

(3)かくて、習得単語数が、2~3万語あたりに達して、例えば、日本で毎日発行されている「ザ・ジャパン・タイムズ」に掲載されている、各国の批評家・学者の手になる「政治・経済・文化・社会に関する論説記事」をスムースに読解し、かつ、世界史とりわけギリシャ哲学の真髄を、英語を通して学べるレベルに達した時、それは、英語の学習というよりは、もはや、今日の欧米文化の2大潮流となっているギリシャ文化(ヘレニズム文化)と、キリスト教文化(ヘブライズム)との融合した世界を遊泳しているのとなんら変わらなくなってきます。

しかも、それは、「自由と合理的精神」とを根源とするギリシャ人の世界と、「正義と愛」とを原理とするキリスト教の世界の双方の、奥深くにまで立ち入っていることを意味しますから、人類の歴史と文化の主要部分を習得しつつあることをも意味します。

従って、母国語である日本語を通じての中国文明や仏教・儒教等の精神の習得は、日本人なら、誰でも容易に出来ますが、英語を介して、ヨーロッパ文明、とりわけギリシャ文明等を理解するには、そのためのかなりの努力の継続が不可欠となります。

しかし、わが国の歴史と文化をしっかりと捉える傍らで、広く西洋世界の源流と潮流をも併せて把握した上で行動するという、バランスの取れた態度は、今後、世界を舞台に活躍したいと願っている日本の若者については、一人でも多く、是非とも期待したい所です。

しかも、英米語に精通するということは、単に人類や世界の歴史や文明の根源に触れ、ヒューマニズム・人間主義を学ぶと言うだけではなく、実は、主には米国とヨーロッパが先頭に立って研究を続け発展させてきた多くの「生物・化学・物理等の先端科学分野、とりわけ宇宙航空・医療分野」にも精通可能な環境と条件を与えるという、現代人にとって不可欠と言える重要な分野についての幅広くかつ奥深い知識や思考力を与え、創造的でかつ精緻な生産・技術力を生み出す刺激的でかつ強力な原動力を生み出すことになるのです。
先述の通り、このような思いこそが、実は、科学(理数科)を直接に英語で学ぶ民間教育機関[= “Science in English School”=SES]の立ち上げへと繋がったのです。

我が国は、戦後の長い間、世界第2位の経済大国として発展してきましたが、その原動力が様々なモノづくり・生産技術分野、あるいはアニメのCool Japan分野や顧客接遇のサービス産業での精緻で優れた知恵と技にあったことを十分に評価しますが、世界はまだまだ広いというか奥が深く、我が国が注目していない、あるいは取り組んでいても成果を挙げてはいない、到達していないという科学分野が無限にあります。
例えば、航空・宇宙や原子力、下記の遺伝子研究分野など・・・

こういった世界各国(米欧諸国の先進的で優れた諸研究)の研究成果を、直接、易しく分かりやすい英語で学んで、私たちの明日への活動や研究へのエネルギーとしませんか?
生徒・学生たちの年齢や学年、英語力に応じてのテーマ選びや指導の的確さなどを通じて、「英語で理数科と異文化」を教える学習塾“Science in English School”=SESでは、最大限の学習効果を上げるように、講師が懸命の工夫と努力をします。

≪参考資料≫
山中伸弥先生がアメリカ時代に教わった研究に重要な2つのこと ...
shinozw.com/archives/4219835.html - キャッシュ
著者: Yusuke Shinozawa - 180 人の Google+ フォロワー
2012年10月8日 – iPS細胞の山中伸弥先生、ノーベル医学・生理学賞の受賞おめでとうございます! ... 山中伸弥先生はかつて柔道をやって10回以上骨折し、 神戸大学 ... そんななかアメリカのグラッドストーン研究所に行って遺伝子治療やES細胞の研究に着手した。



わが国は、今、軍事・経済強国となった中国との関係維持で苦慮し、東南アジアなどの諸国の協力や支持を取り付けることに奔走していますが、そのために気前よく該当の諸国に、各種の援助金を拠出する一方で、日米間の条約に基づき国際紛争の地に自衛隊を派遣するといった協力ができるというだけで、世界のリーダーの一角を占めることになる資格や能力が備わることにはならないのです。

人事や情報の交流と貿易面での世界的な広がりと人類全体の歴史の深まりを踏まえて、哲学・政治思想(自由と民主主義)・宗教社会観(個人の独立性尊重と国家の繁栄)など、できるかぎり多くの分野にまたがる深い知識と人類愛とを基礎にしての決断と行動こそが、真に世界のリーダーの一角を占めたいと願う我が国に求められています。
こう言った姿勢を確立していく重要手段としての「英語学習」が、我が国の公私の学校教育において長年にわたり「重要科目」とされ続けてきた、そして、今後もされ続けるべき「真の理由」ではないでしょうか。

平成25年1月14日 月曜日
医療通訳士の学校「東京通訳アカデミー」理事長
「英語で理数科と異文化」を教える学習塾“Science in English School”=SES




≪資料≫
注1. ソクラテス・プラトン、特に、アリストテレスに代表されるギリシャ哲学に関する膨大な量の「ラテン語で書かれた著作集」は、ラテン語に通じていたはずの
ローマ帝国の学者たちが研究して書いたものではないのです。
実は、バグダッドに首都を置き、アラブ文化の最盛期を現出させたバグダッドに首都を置いた、イスラム教帝国のアッバス朝(AD 750~1258)時代に、地理的条件で、ギリシャ語とラテン語の双方に通じていたイスラムの学者たちが、まず、ギリシャ時代の哲学・科学を研究して作り上げた「アラブ語での著作物」を、次いで、12世紀末までに、彼ら自身が「ラテン語に翻訳」したものなのです。
そして、これらの翻訳本が、後にやってくる〔主に、14~16世紀〕北イタリアの富裕な諸都市から始まったルネッサンスにおいての、ヘレニズム文化〔ギリシャ文化〕再発見の学問的土台になったということは、容易に推測されます。
   →「添付資料」の中段部分を、ご参照ください。

注2. 英語における次の言葉は、アラビア語起源です。zero, (de)cipher, almanac, algebra, alchemy・・・→「添付資料」の下段

注3.更に、「数の計算」は、インド人の発明を発展させて、アラビア人が、現代の簡単な計算方式を編み出しました。→「添付資料」の上段
    
注4.商業に関する言葉も、今に使われ続けています。→「添付資料」の下段
(例)英語のtariff, magazine、フランス語のdounae
収支計算の出納帳も、アラビア人の創作によります。→「添付資料」の下段
The Arab merchants taught Christians how to keep accounts.

注5.数えられない名詞や抽象的な意味の名詞など、いわゆる不可算名詞も、例外的に(原則的に?)、形容詞・形容詞句などでその性質や状況が特定されていくと、〔具体的・具象的〕な事物へと転換すると考えられて、可算名詞化するとされています。
しかし、元来、ほとんど全部の名詞が、形容詞で修飾されなくとも、それ自体で、既に、抽象的・無形的な意味で使用されるのか、具体的・特定的な意味で使用されるのかの違いによって、不可算名詞として扱われもすれば、可算名詞としても扱われるという性質があります。
ですから、「形容詞・形容詞句などで特定化/具体化される場合」と断る必要もありませんし、逆に、形容詞で特定されても、頑として、不可算名詞として扱われ続ける”weather”などもあります。ところがそのweatherにも、「れっきとした例外がある!」と聞けば、もう、流石の貴方も、すっかりlabyrinthに迷い込んだ気分でしょう・・・
また、何が単数で、何が複数なのかの定義についても、うっかり「2個以上が複数!」などと単純な定義をしていると、2と1との間の小数や、1と0との間の小数が、すべて単数になってしまって、多くの複数表現に出会って吃驚してしまいますよ。ここでも原則と例外とが入り混じっての戦争に要注意です。
また、0はどちららに属しますか・・・例:zero times, zero degrees, zero hours,

大原則/不可算名詞、例外にまた例外あり
   (a) weather
He remained a good friend in all weathers.
・ ・・運の良いときにも、悪いときにも, 英国では、「どんな天気でも」
✰ただし、adviceの場合は、against all advice
(b) fish, fruit・・・特に、「種類」をあらわすときは、複数可fruits
 ・・・魚屋さん・八百屋さん・水族館などでの多種類の魚・果物の販売・展示
(c) damage・・・「損害額」を意味するときは、damages
work・・・「作品」を意味・・・works可
  paper・・・「書類document・文書・記録・資料・証明書」を意味するときは、papers
identification papers「身分証明書」
confidential papers「機密書類」
(d) sky・・・「空模様・天候/気候、風土」を意味するときは・・・skies
「[天国・heaven]を意味するときは、 the skies

注6-1.単複の区別は、完全ではない例、その1
as follows・・・「次の通りで(に)」・・・主語の時制や単数・複数の区別無く
           The results are as follows : ・・・

注6-2.単複の区別は、完全ではない例、その2・・・ここでは、「彼ら」が、一塊で捉えられている。
     Probably their minds were not focused on people at all. They were a blur of anger and hatred against something much bigger –society, organized life,” Western values, ” meaning any kind of advanced or industrialized society.
( The Japan Times on July 14,2005; an article written by David Howell: a former British Cabinet minister)
注6-3.単複の区別は、完全ではない例、その2・・・ここでも、複数個の主語が、補語では、一塊で捕らえられている。
     Alfred’s innovations were a creative effort of government unique in Europe.

注6-4.単複の区別は、完全ではない例、その3・・・此処では、複数主語にもかかわらず、堂々と、三単現のsがつけられている。理由は、読者の耳に響きの良い強弱のリズム感を創出するためか?
    With the decision to create an advance directive comes concerns about legal issues, particularly for those who travel frequently. 
   (The Washington Post)

注7.needの用法・・・文法書や辞書によれば、「助動詞的に、疑問文か否定文中で使われる。ただし、米国では、本動詞としても使われる。」とされています。しかし、次のような使用例もあります。
    Twelfth-century Mongolia is as far back as a search for their origins need go.
    ( p.377 of ”The Penguin History of The World ” authored by J.M.ROBERTS)
〔肯定文中で、助動詞的に使用されている〕

注8.多様な例外事例、その(1)
[目的格の関係代名詞]に限らず、「主格の関係代名詞」もまた、[数種類]の場合で、省略されることがあります。
    一例:Though they(=the ‘Franks’) were to abandon Constantinople and the ( Byzantine) emperors would be restored in 1261 the Franks wouldn’t again be cleared from the old Byzantine territories until a new conqueror came along, the Ottoman Turk. ( p.361 of ”The Penguin History of The World ” authored by J.M.ROBERTS)
※ 上記の2行目末尾は、通常は、“・・・the Franks which・・・”とされるところです。

一例:Taiwan looks down the ever-enlarging barrel of the People’s Republic of China, which stubbornly refuses to forswear the use of force against the proud island entity it frets is trending toward formal independence. (UCLA professor Tom Plate)
※ 上記の3行目は、通常は、“・・・entity which, it frets,・・・”とされるところです。

    一例:There was no take-off into sustained growth such as the flowering of commerce and the emergence of moneyed men outside the ruling and military hierarchies might have seemed to promise.
( p.372 of ”The Penguin History of The World ” authored by J.M.ROBERTS)
※ 上記の3行目は、通常は、“・・・hierarchies that might ・・・”とされるところです。
    
注9.多様な例外事例、その(2)
「倒置」・・・数多くの場合と形態があり、それぞれ文法的にも重要ですが、
特に、(1)hardly, never, rarely, not only, onlyなどの否定の意味の副詞が、文頭で先行したときは、その後の文章は、「疑問文」の形式〔語順〕を取ることが普通です。
しかし、(2)特に「場所」(や「時」)を表す副詞句が文の先頭に来たときの「倒置」は、通常は、述語動詞だけが、主語に先行しますが、❶助動詞+本動詞・➋完了形(have+P.P.)・➌受身形(be+P.P.)であれば、これらがセットで、主語(主部)に先行します。ところが、その副詞や副詞句が、後に続く文章との間でコンマで区切られれば、倒置は起こりません。
例文: On them were built towns whose sites are still inhabited today.
( p.409 of ”The Penguin History of The World ” authored by J.M.ROBERTS)

注10.多様な例外事例、その(3)・・・時制の一致と例外
    これも、どちらが原則で例外なのか、迷うほどです。「例外」に埋め込まれている共通法則による縛りが緩いため、歴史的な大事件の場合はともかくも、日常の出来事においても、どんどん例外が登場します。 

注11.多様な例外事例、その(4)・・・仮定法
これは、英語の特有性であって、欠点ではないのですが、「仮定法」の時制や型についても、助動詞、とりわけwould, should, could, might など助動詞の過去形が、「現在・未来の推量」を表すことも多いため、一見すれば、「if節の現在時制」と「帰結節の過去時制」とが混在し、日本の学生たちをしばしば混乱させています。

注12.多様な例外事例、その(5)・・・「to不定詞」の”to”が省略される場合
The one thing women don’t do in South Africa, however, is tell their husbands to use condoms. (Ilene Wong, a physician at Stanford University Hospital and Clinics; “Safety net for poor women” The Japan Times on July 21,2005 )

注13.実際、私は,英語の文法に関して、英語研究の専門家である友人(2004年度・通訳ガイド試験合格)から次のような手紙をもらっています。
その要点は、英国の伝統では、「文法規則よりも、実際的適合性pragmatismこそ」が優先されるというものです。
I have attended the class of British culture once a week in Osaka.
I remember that according to the lecture featuring English grammar,
"Something which has helped the language in its adaptations has been
a tradition of pragmatism, which has meant that there is no English Academy
to legislate on questions of correctness. There is no big grammar book lays down the law. Actually, there is the Comprehensive Grammar of the English
Language written by Quirk, Greenbaum, Leech and Svartvic, but this book
describes how the language is used, not how it should be used.
In addition, although software makers such as Microsoft include grammar checkers in their word processing packages, most British people quite rightly ignore them, because they think the checkers are still fairly primitive. And British people fear of those grammar book and checkers becoming the grammar police." So the conclusion is that basic rules of grammar is necessary but people should put importance on pragmatism, I guess.
Thank you. See you.
Wednesday, July 06, 2005
Akihiro Kasagi

注14.その仮定法では、特に、各助動詞の意味する「可能性・実現度」の差に、注意を払う必要があります。
➊絶対的な実現可能性  [ must → will→ would ](可能性100%~90%)
❷かなり信頼できる可能性 [ ought to → should → can ](80%)
❸可能性は低い[ may → might → could ]〔50%以下〕
最新の「ジーニアス英和辞典」によれば、この9段階の順で、実現可能性が減少していくとされています。
この点は、英語の言語としての「論理性・科学性」主張の一つの根拠とされています。

注15.ラテン語・ギリシャ語系の一例
(a)philanthropy慈善事業, philharmonic音楽(好き)の, xenophilia 外国人好き、Philadelphiaフィラデルフィア・米国の都市名(兄弟愛) pedophilia小児愛, philosophy哲学,
(b)evangelist福音伝道者、apostle指導者、
(c) ’tain’ (保持する)を語幹とする重要語群・・・maintain, retain, detain, contain, sustain, entertain, obtain, captain
(d) star星, asterisk星印, astronaut宇宙飛行士
(e)’ten’(ピンと伸ばす)を語源とする重要語群・・・antenna, tend, tension, attend, attention, extend, extension, intend, intension, pretend, pretension, contend, contention,
(f)’cap’(頭)を語源とする重要語群・・・captain, capital, capitalize, capitalism, cape, caption, decapitate, decapitation,
(g)’di-’(二つに分かれる)を語源とする重要語群・・・dividend, diploma, diplomat, dividers, divide and rule, division, devisor, dialog, dioxide, diatomic, diverge, (h)’-cide’(殺す)を語源とする重要語群・・・suicidal, suicide pilot, pesticide, autocide, regicide, matricide, insecticide, homicide, parricide, herbicide, fungicide
(i) ‘geo’(地球・土地)を語源 geometry, geology, geopolitics
                                        以上