看護師不足と医療の国際化支援

2009-08-30 09:47:42 | Weblog
看護師さん不足「岐路に立つ看護師」(日経8/30)

「厳しい勤務条件から看護師確保に苦しみ、病床の休止に追い込まれる病院が後を絶たない。そんな中で働き方を弾力化し、離職看護師の復帰を促す取り組みなどが始まった。」
これは、日経新聞の記事ですが、医療業界への社会全体からの期待や需要が大きいにもかかわらず、核となる医師をはじめ、その重要なサポーター役であるべき看護師数も顕著に不足しています。
医療業界では、肝心のその陣容の面においても国民全般の大きな期待に応えることが日増しに難しくなりつつあることが明らかです。最重要の成長分野であるだけに世間からは大きな期待を寄せられていますが、それに応えられるだけの陣容を欠いて、もがき苦しんでいるのです。
もちろん、業界全般にわたって様々な解決策が模索されていますので、いつまでも今日の苦境が続くとも思えませんが、普段は医療に特別の関わりを持たない国民であっても、いつかはその分野のお世話にならなければならないことも自然の摂理ですから、医療業界の問題点に全く無関心というわけにはいきません。とりわけ私も医師の家族を抱えていますから、この問題への取り組みにはどうしても熱が入らざるを得ません。
通訳案内士の私にできることは、比較的得意な語学力等を生かして優秀な医療通訳士を育成し、側面から「医療の国際化」に協力することです。なぜ国際化が必要なのかについては、病院や医師の収入源を多様化し安定的な運営を実現するためです。ところが、その医療の国際化についても、その継続的な進展をみるためには、解決するべき課題が少なくはありません。
とりわけ、海外からの健診や治療目的での訪日客を確保するには、重病患者程に検査や治療等において相当な期間の日数を要する場合が多いため、入国に際して、長期滞在が可能ないわゆる「医療ビザ」の発給が法的に認められることが不可欠です。
一足先に医療の国際化が進んだタイランドやシンガポールに倣って、韓国では今年の5月から医療ビザ発給等も行われ、急速に国家政策としての医療の国際化が進展しています。
わが国でも医療ビザ発給制度への法的転換を確保するためには、様々な角度からの議論がなされなければなりませんが、現在、わが国でも中国大都市からの観光目的での個人や団体客には、既にビザ発給条件が緩和されています。そこで、この特例制度を援用し、可能な限りにおいて健診や治療目的での入国を正式に認める方向での扱いが為されることを望みます。
私は、今年の4月に医療ビザ発給制度の確立に向けての請願書を作成し公表してまいりました。今回の衆議院議員総選挙後の新政府や国会に対して、改めて請願書提出を行なう所存です。
どうか、多くの皆様のご理解とご支援をよろしくお願いします。
平成21年8月30日 日曜日
東京通訳アカデミー・事務局・岡村寛三郎
参考資料
国会・政党・医療等関係団体様
《 病気治療目的での入国ビザ発給に向けての請願書 》
Sunday, April 26, 2009
特定非営利活動法人日本通訳案内士連合
理事長・岡村寛三郎
皆様のご清栄とご健勝とをお慶び致します。
ところで、日々の新聞記事を見ていますと、最近の国家財政の逼迫により、医療費をめぐる国の政策にはなかなか厳しいものがあるようです。そこで、大方の勤務医さんは言うに及ばず、一部の開業医の皆さんの経営上のご苦労も並大抵ではないと推測されます。
しかも、今後は少子化による人口減少等の圧力は大きくなる一方ですから、長寿や高齢者の増大による一部の恩恵を帳消しにして、医療業界における内需全体の縮小化傾向を避けられないでしょう。
このような昨今の窮状を緩和し、次第に目立ち始めた内需の減少傾向に対応するための対策として、とりわけ外国人による治療目的での訪日・入国受け入れ態勢の開始と充実が強く望まれます。しかし、現在の我が国のいわゆる入国管理法では、病気や怪我の治療目的での入国希望者向けビザ発給が認められていません。
他方、タイランドでは、医療面や施設面での高い水準の割には治療費等が安いとうことが魅力となっているのでしょうが、年々、中東諸国などを始めとして多数の外国人患者が治療目的で入国していて、病院のみならず国家経済までもが外貨獲得で大きく潤っているとの報道に度々接するようになっています。
現在の日本の医療業界は、外国人患者の受け入れという面において、正に江戸時代の[鎖国状態]と何ら変わるところが無く、国際親善や国際間の相互扶助・国際協調推進の理想にほど遠いばかりか、日本の医療業界の技術水準の高さや行き届いた医療施設の恩恵を世界中の人たちにあまねく広めるという点において致命的な欠陥を内在させているといわざるを得ません。
フランス人医師からの発信において誕生しノーベル賞を与えられた『国境なき医師団』の活躍とそれによる世界中の人たちの大きな恩恵を思えば、この我が国の「医療鎖国」の現状は、とても恥ずかしく悲しいばかりです。
かくて、医療鎖国の現状打破(法律改正)によって、治療目的での入国・訪日のビザ発給を認めることは、単に国内の医療業界の(多くの外国人患者を獲得し治療を本格化できない)経済的損失を補い、国家の厚生医療財政の貧窮の[助け舟]となるばかりか、益々国際化が進んでいる国際社会における親善と医療面での我が国の大きな[人道的立ち遅れ]を取り返し、国際共同社会の発展に大きく貢献することになります。
そこで、入管法の改正に向けて運動を起こしたいのですが、政党各位や法務省・厚生労働省を始め、日本医師会の会員の皆さんなどその他関連の機関・団体の皆さんのご理解やご支援を戴くことは可能でしょうか?
日々ご多忙の中でお過ごしのところ誠に恐れ入りますが、上記の件に関しまして大所高所からのご意見ないしはアドバイスをいただければ誠に幸せです。
尚、ついでながら申し上げますと、海外での日本の病院のPRや日本の国内での医師と外国人患者との間での医療通訳、入院病棟内での患者さんのお世話や介護面での通訳、更には、回復後の保養や観光旅行などについても、幅広く且つ丁寧に国家資格者の「通訳案内士」や民間資格者の「医療通訳士」がご支援・ご協力させていただける見込みであることを申し添えさせていただきます。
以上、どうかご配慮のほどを何卒よろしくお願いします。

添付資料 「賛同者からの声」
岡村様へ、
本日付の国会・政府・各省庁や医療関係者宛の貴信を拝受、拝読致しました。
素晴らしい説得力に富んだ内容で心からの賛意と感謝の意を表明致します。
ご指摘の「医療鎖国状態」はあらゆる見地から早急にこれを打破し、開国・国際化を実現すべきだと思います。具体例として挙げられているタイ国の医療状況は全く貴殿ご指摘の通りであり、私自身3年前にバンコック滞在中に眼病に罹りましたが眼科の専門病院で手厚い診察、治療を受けた経験があります。バンコックの一流病院ではどこも外国人対象に受け入れ態勢を完備しており、人道的見地からも賞賛されていますが国家経済上も重要な貢献を果たしております。
日本のような先進医療国がその人材、医療機器等を国際的に十分に活用していないことは誠に憂えるべき事態でしょう。
そこで、貴殿が意図されるように該当法令の改正に向けて、全政党・関係各省庁などの諸機関・諸団体などに請願書を提出してその回答を請うと共に協力を求めたら如何でしょうか。
医師会とか関係業界等の幅広い支持獲得に向けての努力や成果を基に、国会や全政党・関係官庁等への請願をつつがなく果たされることをお祈りいたします。
平成21年4月26日 日曜日
(英語)通訳案内士・瀬口寿一郎より