「官民共同での医療の国際化の意義と内容」を考察

2009-08-07 23:26:18 | Weblog
「官民共同での医療の国際化の意義と内容ー考察」

平成21年8月7日 金曜日
JGC&TIA事務局・岡村寛三郎

() 既報の通り、東京大学名誉教授・国際医療福祉大学大学院長・開原成允先生による理論的指導の下に、がんセンター・東京大学付属病院・慶應義塾大学付属病院など都内の約10の病院がコンソーシアムを組み、通産省が後援する国際医療サービス支援センターが、今秋にも設置される予定です。(日本経済新聞・7月31日記事)

()「東京通訳アカデミー」が、上記のコンソーシアムの一員に加えさせていただけるように、今日(8月7日)は、午後に経済産業省サービス産業課を訪問しました。
そこで、医療の国際化の現状を踏まえて、「東京通訳アカデミー」が医療通訳士や司法通訳士等の育成について、どのように計画を立てているかなどについて詳細に説明してきました。

() 上記の事業やコンソーシアム結成の唱道者である開原成允先生にも、同様の趣旨で、先日「東京通訳アカデミー」の計画をお手紙で説明させていただいています。
それに対しては早速に丁重なお返事をいただいています。

★そもそも医療の国際化の必要性は、単に今後のわが国の経済的成長の原動力とするべきであるという側面からだけではなく、それによって医療水準や内容の一層の高度化を期し、国民生活の健康と福祉の総合的な向上を実現するために不可欠な国民的課題として捉えられるべきものです。
しかし、わが国における近年の医療需要への高まりに対する医師数の不足は深刻であり、とりわけ外科・産科・小児科・救急医療分野での危機的医師数不足は、もはやそれらの分野における医療の崩壊を導きかねないとの叫び声が発せられています。
読売新聞8月7日付の論点「深刻な医師数不足・外科医療の崩壊防げ」(高久史麿・日本医学会会長)は、その様な叫び声を余す所なく伝えています。
そのような危機的医師数不足の中で、なおも医療の国際化を唱えなければならない真の理由は何か?ということを慎重に考えなければなりません。
それは、医師数不足や医療の荒廃に繋がりかねない病院や医師の収入や報酬の少なさに起因していると解されます。
わが国の医療費一般や手術における医師への報酬は、欧米の水準と比較して極端な安さが度々指摘されています。日本人医師の技能水準が劣るからでは決してありません。逆に、手術などの水準や医療設備やサービス等の充実振りなどは、世界最高レベルのものと言っても間違いではないでしょう。ですから、医師への報酬の少なさは、国家の政策として極端に低い額に押さえ込まれているからだと考えられます。
このような理由から、病院収入や手術の報酬額等の増額を目指して、医師数不足にもかかわらず、外国人の診察や治療をも追加的に行っていかなければ、長期的な国内人口の減少傾向を前にして、医療業界の生き残る道が益々狭められていくという絶対絶命的な危機感に立っているのだという事実を明らかにしなければなりません。
その様な窮状を理解できるが故に、医療の国際化という場面においても、様々な対応策が考えられ、かつ勇敢に推進されなければなりません。
その一助として医師の過酷な任務を幾分でも緩和するために、医療現場での支援者の数を増やしあるいは支援活動の範囲を広げる目的で、外国人と医師との間の言語の壁を取り除く役割を果たす医療通訳士の育成や医師の仕事のうちの記録簿作成のごとき類の仕事を引き受ける医療クラーク等の養成が急務でしょう。
それら「医療通訳士」と「医療クラーク」の職務は、彼らが診察室内で医師や患者と一体となって仕事を遂行する以上、十分に兼務が可能でしょう。
こうした観点に立って、医療通訳士が医療クラークの仕事をも内包する大きな領域を担った活躍を出来るならば、国際化の場面において医師の負担を相当程度に緩和できることが予測されます。
以上のようなわけで、「東京通訳アカデミー」の医療通訳士養成講座の目的や内容が相当程度に具体的に予測されるでしょう。
今後私ども「東京通訳アカデミー」が、国際医療サービス支援センターの一員に加えてもらえれば、このような点についての議論も深めさせていただきたいと考えています。
どうか皆様方のご理解とご支援をよろしくお願いします。


千葉・亀田病院訪問記

2009-08-07 07:07:16 | Weblog
亀田病院訪問記

                              2009年8月7日
                        JGC&TIA事務局・岡村寛三郎

皆様のご清栄をお慶び致します。
さて、31の診療科と約1000ものベッド数を有する民間経営では日本最大レベルの規模で、しかも医療技術や受け入れサービスの良さなどでも、常時全国のベスト1を競い合っているとの評判の千葉県鴨川市の「亀田病院」の事務局トップの方にお会いしてきました。
東京駅からは、JR特急わかしお号で2時間でした。病院本館である亀田タワービルは,太平洋に面したとても景色の良い浜辺に向かい合わせていて、13階レストランからの眺めは、少し大げさですがメキシコのアカプルコの海の眺めに似て、あたかもリゾート海浜のような贅沢で落ち着いた雰囲気を感じさせる絶景です。
私どもJGCの副理事長・田村氏のご縁作りの努力のお陰での訪問でした。
ここの病院の先代理事長さんは、知識と技能の両面において格別に優れたお医者さんを、参拝九拝の大変な苦労されながらも全国から数多く招聘されるなど、医療内容や患者へのサービスの品質の高さを貫くことに強くこだわってこられたそうです。
のみならず、欧米の病院治療のレベルに追いつき追い越したいとの大きな志を持たれて、世界中を駆けめぐられて自ら実際に受診や使用体験をされつつ、日本で一番早くドイツ・シーメンス社製の世界最高の医療機器を購入されるなど、施設や医療機器の整備や充実にも全力を捧げてこられたそうです。
それらの大きく群を抜いた努力のお陰で、看護師養成学校などの職員教育・確保の体制も調い、押しも押されもしない最高レベル評価の病院経営に成功されました。
3機も駐機できる大型のヘリポートも病院前に作られていて、関東各地からの日本人・外国人・民間人・軍人を問わずあらゆるタイプの救急医療要請に応えておられます。
また、国の内外からの施設や技術の見学や調査・交流目的の訪問者もひっきりなしの様子です。
百聞は一見にしかずと言いますが、正にその通りで私のこの報告文を読まれた後は、あなた自身が亀田病院のホームページを見られるなり、実際に訪問されるなどの体験をしてみてください。全く一点の非の打ち所も無い素晴らしい病院運営がなされていると強く感じられるでしょう。
問題は、どんな企業や施設・団体などにおいても発展成長を続ける際に付きまとう悩みでしょうが、亀田病院の場合も、とりわけ看護師など病院運営上のスタッフへの需要が極めて旺盛であるにもかかわらず、まだまだ供給が足りないという点です。
全国的に、医師や看護師の不足は明らかであり、その重い労働負担がしばしば新聞紙上でも報道されています。そこで、漸く近年になって厚生労働省も国家の医療費向け予算削減の行き過ぎに気付き、医師や看護師の養成増加に向けて軌道修正が始まりかけています。
しかし、その効果が現れるには10年前後の相当長期の期間を要しますし、国家の発展や国民生活の向上に向けての医療の重要性が議論されるたびに、医療関係の仕事に従事するスタッフ増員の必要性が叫ばれています。
そこで、亀田病院が、医療を通して、国の内外を問わず今後も益々社会への貢献度を高めていかれる上で、医師の活動を支えるスタッフの必要性・需要の高さには極めて大きいものがあります。
そして、この問題解決の一助として、今後益々増える傾向の明らかな外国人と病院・医師との間を取りもつ橋渡し役の優秀な「医療通訳士」への依存の必要性が大きくクローズアップされてきています。亀田病院の場合、海外からの健康診断受診希望者や患者は、アジア人に限りません。その医療サービスの質の高さについての評判を聞き、従来から強い政治的経済的関係で結ばれている米国各地からの治療希望者も様々なレベルに亘り、亀田病院には専任の外国人医師さえおられます。
以上の様な事情に付き、私どもJGCや「東京通訳アカデミー」の幹部の病院訪問は大変歓迎されました。次回の訪問時には、病院等の経営全般に亘る医療法人の理事長さんにお会いさせていただけるとのことです。
いずれにしても、病院側の私たちへの期待は極めて大きく、私たちもしっかりと勉強して
病院運営への支援役をきちんと果たせるように全力を尽くしたいものです。
その意味で、「東京通訳アカデミー」が大きな期待を寄せていただいたことに深く感謝しますと共に、責任の大きさを痛感した次第です。
以上、簡単ながら報告いたします。今後の皆様からの厚いご支援をよろしくお願いします。