人が走る姿を見ているのが好きです。
二ューイヤー駅伝は必ず見る。何々女子マラソンも見る、ただしテレビ中継ですが。
新刊「陸王」はそんな私の好きがいっぱい詰まっている。
埼玉県行田市の創業100年の老舗足袋や。
従業員は20人。右肩下がりの現状を打開する新しい事業に苦闘する4代目「こはぜ屋」社長宮沢。
今までの技術を生かし、究極のランニングシューズの開発に挑むのだ。
古い縫製工場の、重厚だが心地良いミシンの音が本の中から立ち上がってくる。
融資を拒む銀行関係者と社長宮沢のやり取りは身につまされる。
「銀行が評価するのはあくまでも実績で、将来ではない!」宮沢の火を噴くようなこの言葉の
意味は、双方に重い。
小さな物作りの会社を細々と切り盛りしている私は、宮沢を自分に重ね一気に読み上げた。
忘れてならないのは「人」
池井戸ワールド、個性豊かな登場人物が熱く宮沢社長の情熱に絡んでくる。
終盤「陸王」を履いたランナーは、様々な人たちの人生を背負い走る。結果は?
集英社 池井戸潤 「陸王」
明日第1回のオンエアー、楽しみです。