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☆映画の旅の途中☆

色んな映画をどんどん観る旅

『夏の遊び』(1951)

2014年08月06日 | 西洋/中東/アジア/他(クラシック)
『夏の遊び』(1951)

【作品概要】
1951年/98分/スウェーデン/モノクロ/スタンダード/デジタル/モノラル
出演:マイ・ブリット・ニルソン、ビルイェル・マルムステーン/脚本:イングマール・ベルイマン、ヘルヴェット・グレヴェーニウス/撮影:グンナール・フィッシェル
ゴダールが、最も美しい映画と絶賛した初期の傑作。ベルイマンが学生時代に書いた小説「マリー」を自身で脚色、あるプリマ・バレリーナの過去の苦い恋を描く。後の『野いちご』を想わせるフラッシュバックを使用。初めてすべてを自分のものとして作ることが出来たという、ベルイマンお気に入りの作品である。(ユーロスペースHPより)

【感想レビュー】@theater
観ながらジワジワ…とくる作品でした
若者讃歌のくだりは、もう本当に眩しくて息もつけず、観入りました
でも結局は、良い時も悪い時もあって、まぁトータルで人生はこんなものだろうといった実は温かい視点が心地よい作品でした

バレリーナの四肢、背中、身体全体が作品に躍動感を与えていて、ピアノ曲を始めとする劇中のクラシック音楽はとてもしっくり馴染み、重要な要素になっています

ベルイマンの作品にはクラシック音楽が生活の一部になっているという描写が多いように思います。お屋敷の中にピアノ、プレイエルかな?が置いてあって、演奏するシーンがしばしば出てくるのですが、それは登場人物の階級や生活レベルを一瞬で物語るアイテムになっていて、ごく自然な使われ方が説得力があって好きです

今回の特集で『冬の光』も観たかったですけど、もう行けそうにありません
またそのうち特集がありますように…



『夏の夜は三たび微笑む』 (1955)

2014年08月02日 | 西洋/中東/アジア/他(クラシック)
『夏の夜は三たび微笑む』

【作品概要】
1955年/110分/スウェーデン/モノクロ/スタンダード/デジタル/モノラル
出演:グンナール・ビョルンストランド、ウーラ・ヤコブソン/撮影:グンナール・フィッシェル
舞台は20世紀初頭。北欧の白夜の中で展開される軽妙なタッチのコスチューム・プレイ。ベルイマンには珍しいエロティックな喜劇だが、緻密な構成、見事な構図、充実した俳優の演技など、その完成度は高く評価され、ベルイマンが世界に出ていくさきがけとなった。(ユーロスペースHPより)

【感想レビュー】@theater
面白くて、思わず仰け反って(!!)笑って観たりしました
ベルイマンでこんなに楽しい作品があるとは…
まず台詞が面白いし、粋だし、展開は薄々分かってはいても、細々と面白いシーンがあって、飽きさせません。

20世紀初頭の上流階級のお戯れ…。軍人を皮肉ったり、ちょっとブラッキーな感じも楽しい要素だったりします
着飾って澄まし、不倫も粋な恋愛のうちと言わんばかりな彼らと、召使い達ののびのびとした自由恋愛との対比が眩しいこと…!
その爆発するエネルギーは、新しい民衆の在り方を、また若者たちの愛の逃避は、新時代の到来を予感させる。

そしてやっぱり、石畳を歩くシーンは、素敵だなぁと思うのでした




『アシク・ケリブ』(1988)

2014年07月23日 | 西洋/中東/アジア/他(クラシック)
『アシク・ケリブ』(1988)

監督:セルゲイ・パラジャーノフ

【作品概要】
1988年/ 74分 デジタル・リマスター版
原作は世界的に知られるロシアの詩人レールモントフによる恋物語。主人公のアシク・ケリブは貧しいながらも心優しい吟遊詩人。大切な娘マグリとの結婚を、その父に認められるために修行の旅に出る。マグリには1 0 0 0 の昼と夜の後に戻ると約束して… 。
(ユーロスペースHPより)

【感想レビュー】@theater
昨年観た『火の馬』も、衝撃的でしたけど、今回もまた怒濤の世界観に打ち震えております

豊かな大地、鮮やかな民族衣裳、踊り、儀式、活劇風な動き。物語は段落ごとに見所をともなって進んでいきます。民族音楽がとにかく素敵です。かと思うと、ギターのトレモロの途中からサンサーンスのロンドカプリチォーソへなっていく編曲が数箇所あって、意表を突かれました

喜びも哀しみも怒りも、力強いのです。理不尽な境遇に遭った自己も投影されているのでしょうかね…。

差し込まれる画や装飾品の数々
劇中の赤と白の色の対比
とにかく鮮烈な印象を受けます。

パラジャーノフの力強いエネルギーが、そのイメージ世界が、怒濤のように流れ込んでくるといった印象でした

生涯で5作品という事で、今回の映画祭で他の作品も観たかったなぁ…



『水の中のナイフ』(1962)

2014年07月16日 | 西洋/中東/アジア/他(クラシック)
『水の中のナイフ』(1962)

監督:ロマン・ポランスキー
脚本:イエジー・スコリモフスキ
ロマン・ポランスキー
ヤクブ・ゴールドベルク(英語版)
出演者:レオン・ニェムチック
ヨランタ・ウメッカ
ジグムント・マラノウッツ
【作品概要】
ヨットという閉ざされた空間を舞台に、歪んだ男女の関係を大胆に描き出した、鬼才ロマン・ポランスキー監督初の長編作品。

【感想レビュー】
うわぁぁ
凄い映画を観てしまいました!

夫婦の関係性を描いた作品で、こんなにしっくりくる作品は初めてかもしれません。…なんか、そういうものだよなぁとジワジワきております

些細な些細なちょっとしたズレを、一つ一つ心の奥深くにしまって、鎮めて…表面を穏やかにする。まるで穴なんて無いかのように…。でもそこを掘り下げられてしまうような非日常が訪れたら…‼そんな空間に遭遇してしまったら…!!

恐ろしい…恐ろし過ぎる…

この作品は、幾度もやってくる週末を湖のヨットで過ごし非日常を楽しむ事にしている夫婦の、非日常のさらなる先を描いています。
日常と非日常の境目など、ほんの少しの揺らぎである…と言わんばかり。まるで、湖の穏やかな水面の揺らぎほどである…
知らない間に越えてしまうことだってあるかもしれない。

夫、妻、青年のたった3人の登場人物。見えない何かがその間に流れます。

あまりにドラマティックな展開、そして収束がとっても素晴らしかったです

観て良かったー!

『反撥』(1965)

2014年07月08日 | 西洋/中東/アジア/他(クラシック)
『反撥』(1965)

監督:ロマン・ポランスキー
カトリーヌ・ドヌーヴ
イヴォンヌ・フルノー

【作品概要】
ロンドンのアパートで姉ヘレンと暮らすキャロルは、姉が妻子持ちの男マイケルを毎晩のように部屋に泊めることに強い嫌悪感を抱いていた。神経質で潔癖性のキャロルは、男性恐怖症になると同時に男に犯される夢を見るようになり、徐々に精神的に壊れて行く。
第15回ベルリン国際映画祭において銀熊賞 (審査員グランプリ)を受賞した。(Wikipediaより)

【感想レビュー】
不気味っ!!!!
怖い…
でも、素晴らしく面白い作品でした!
(ネタバレに気を付けて書きます)

主人公キャロルを演じるドヌーヴの、冒頭の眼のアップからして、尋常ではありません

キャロルの精神は徐々に破壊してゆき、幻覚を見始めるのですが
それが幻覚なのか現実なのか、判別出来ない瞬間があります。
でもそのうち、頼む、もうむしろ幻覚であってくれ…と願いながらラストを待つことに…。しかしながら、最後の最後まで、どちらに転ぶのか分からないので、その緊張感たりや半端ないのです。
キャロルの心象風景は痛く、抑圧された強い怒りと憎しみを感じさせます。ジリジリとしながら観ました。

『ローズマリーの赤ちゃん』を、昨年の特集上映で観た時も衝撃的で、ラストのラストまで、どちらに転ぶのか分からない面白さがありましたデジタルリマスターだったので、鮮やかなカラーがとても印象に残っています。

『反撥』は、モノクロ映像だけれど、ロンドンの街並みやそこを歩くキャロルがスタイリッシュに映し出されます。音楽も格好良いです

それにしても、真に怖いというのはこういう事を言うのだなぁと思いました。
キャロルの部屋の窓からは、修道院の庭で群れる修道女達の姿が見え、楽しげな声が聴こえてきます。
本来、自由なはずのキャロルが心身ともに解放される事のない様子と実にに対照的なのです。

人の心に巣食う魔物。
それを人から無理矢理に受けてしまったとしたら…。
そして、それを抱えながら生きていかねばならなかったら…。

ホラー映画やサイコ・スリラーを描く事で、人間を描く事ができるというのが、何となく解ってきたように思いました…