北朝鮮のロケットが、5日午前11時30分に発射された。
防衛省は、アメリカの早期警戒情報から、発射後1分で、その事実を確認した。さらに、イージス艦や地上レーダーによって、ロケットの軌道を追尾することに成功した。
ミサイルの発射や弾道など、少なくとも、情報収集の面では、ミサイル防衛システムが、上手く機能したように見える。
しかし、果たしてそうだろうか?
このロケット打ち上げは、北朝鮮のムスダンリから、4日から8日までの天気の良い日で、午前11時から午後4時に実行されることが、あらかじめ分かっていた。
加えて、その飛行コースも、北朝鮮が国際機関に事前通告していたので、大体の見当はついている。
だからこそ、「不測の事態」に備えて、PAC3を、秋田市や岩手県滝沢村に配備していた。
つまり、今回の情報収集は、例えて言えば、種子島宇宙センターから打ち上げられるH2Aロケットについて、自衛隊と米軍が、宇宙開発機構と連絡を取らない状態で、その発射を1分以内に確認して、弾道を追尾したのと、さほど変わらない。
1兆円に迫る値段のシステムである。
これだけの事前情報があって、探知出来なかったとすれば、それはお話にならない。
そして、現実をよく見ると、問題点の方が多い。
4日には、高性能レーダーに映った未確認飛行物体を、北朝鮮のロケットと信じ込んだ上に、規則に定められている確認手順を怠って、「発射」の誤情報を発信してしまった。
また、ロケットが日本上空を通過する際、部品などが落下していたとしても、軌道から考えて、それはPAC3の射程圏外で、結局、撃墜は不可能だったことも判明した。
このように、ある程度、発射日時や飛行ルートがあらかじめ分かっていても、それを正確に探知して、有効な迎撃態勢を取るのは難しい。
もし本当に、北朝鮮が日本に向けてノドンミサイルを発射するならば、何日も前から、屋外に発射台を設置したりはしない。
闇夜に紛れて、移動式の発射台、あるいは、地下基地から撃つだろう。
しかも、同時に複数撃つ可能性が高い。
当たり前だが、ミサイルの飛行ルートも教えてくれない(笑)。
その場合、早期警戒衛星の赤外線データから、発射位置やミサイル総数などを特定し、さらに、レーダーを使って、すべてのミサイルを捕捉して、軌道や着弾場所を割り出すのに、どのくらい時間が掛かるだろうか?
あるいは、何発までなら、対応可能だろうか?
タイムリミットは7分である。
また、それらが上手く行ったとしても、イージス艦のSM-3やPAC-3によって迎撃出来るかどうかは、まったく別の問題だ。
そして、こちらも見通しは悲観的である。
SM-3は、事前情報がないケースでの迎撃実験には、成功していない。PAC-3の射程は20km程度で、守れる範囲がとても狭い。
日本は、アメリカの進めるミサイル防衛構想に、どっぷり追随する唯一の国であるが、実効性に疑問符がつく、この超高額システムを、今後も購入し続けるべきかどうか、十分に検証する必要がある。
昨日行われた、北朝鮮のミサイル発射実験は、日米のMDシステムにとって、人工衛星搭載ロケットが、事前の予告どおり、日本上空を通過した以上の意味は持っていない。
おまけに、問題なのは、二百発の実戦配備が噂されている、準中距離弾道ミサイルのノドンである。こんなに射程の長いテポドンではない。
従って、この数日間の出来事は、MDシステムの実効性を考える上で、何の参考にもならないが、どういうわけか、与党から、その強化を求める声が出ているらしい。
不思議な話である。
「迎撃出来ない」と「迎撃しない」を混同しているのかもしれない。
防衛省は、アメリカの早期警戒情報から、発射後1分で、その事実を確認した。さらに、イージス艦や地上レーダーによって、ロケットの軌道を追尾することに成功した。
ミサイルの発射や弾道など、少なくとも、情報収集の面では、ミサイル防衛システムが、上手く機能したように見える。
しかし、果たしてそうだろうか?
このロケット打ち上げは、北朝鮮のムスダンリから、4日から8日までの天気の良い日で、午前11時から午後4時に実行されることが、あらかじめ分かっていた。
加えて、その飛行コースも、北朝鮮が国際機関に事前通告していたので、大体の見当はついている。
だからこそ、「不測の事態」に備えて、PAC3を、秋田市や岩手県滝沢村に配備していた。
つまり、今回の情報収集は、例えて言えば、種子島宇宙センターから打ち上げられるH2Aロケットについて、自衛隊と米軍が、宇宙開発機構と連絡を取らない状態で、その発射を1分以内に確認して、弾道を追尾したのと、さほど変わらない。
1兆円に迫る値段のシステムである。
これだけの事前情報があって、探知出来なかったとすれば、それはお話にならない。
そして、現実をよく見ると、問題点の方が多い。
4日には、高性能レーダーに映った未確認飛行物体を、北朝鮮のロケットと信じ込んだ上に、規則に定められている確認手順を怠って、「発射」の誤情報を発信してしまった。
また、ロケットが日本上空を通過する際、部品などが落下していたとしても、軌道から考えて、それはPAC3の射程圏外で、結局、撃墜は不可能だったことも判明した。
このように、ある程度、発射日時や飛行ルートがあらかじめ分かっていても、それを正確に探知して、有効な迎撃態勢を取るのは難しい。
もし本当に、北朝鮮が日本に向けてノドンミサイルを発射するならば、何日も前から、屋外に発射台を設置したりはしない。
闇夜に紛れて、移動式の発射台、あるいは、地下基地から撃つだろう。
しかも、同時に複数撃つ可能性が高い。
当たり前だが、ミサイルの飛行ルートも教えてくれない(笑)。
その場合、早期警戒衛星の赤外線データから、発射位置やミサイル総数などを特定し、さらに、レーダーを使って、すべてのミサイルを捕捉して、軌道や着弾場所を割り出すのに、どのくらい時間が掛かるだろうか?
あるいは、何発までなら、対応可能だろうか?
タイムリミットは7分である。
また、それらが上手く行ったとしても、イージス艦のSM-3やPAC-3によって迎撃出来るかどうかは、まったく別の問題だ。
そして、こちらも見通しは悲観的である。
SM-3は、事前情報がないケースでの迎撃実験には、成功していない。PAC-3の射程は20km程度で、守れる範囲がとても狭い。
日本は、アメリカの進めるミサイル防衛構想に、どっぷり追随する唯一の国であるが、実効性に疑問符がつく、この超高額システムを、今後も購入し続けるべきかどうか、十分に検証する必要がある。
昨日行われた、北朝鮮のミサイル発射実験は、日米のMDシステムにとって、人工衛星搭載ロケットが、事前の予告どおり、日本上空を通過した以上の意味は持っていない。
おまけに、問題なのは、二百発の実戦配備が噂されている、準中距離弾道ミサイルのノドンである。こんなに射程の長いテポドンではない。
従って、この数日間の出来事は、MDシステムの実効性を考える上で、何の参考にもならないが、どういうわけか、与党から、その強化を求める声が出ているらしい。
不思議な話である。
「迎撃出来ない」と「迎撃しない」を混同しているのかもしれない。