オバマ大統領は、5日、プラハで行った演説の中で、「核軍縮」に取り組む姿勢を明確にした。
一方、「ミサイル防衛(MD)」に関しては、イラン(そして、恐らくは北朝鮮)によるミサイルや核の脅威がある限り、進めていくとした。
オバマ氏は、選挙期間中から、ミサイル防衛構想に慎重な姿勢を見せていたが、プラハ演説でも、核軍縮への断固たる決意に比べると、一歩引いた表現となった。
これは、現在のミサイル防衛システムが技術的に未完成で、費用に見合わないという理由からだけではない。
このシステムが、核軍縮の妨げとなり、却って、軍備拡張を助長する危険を認識しているからだ。
アメリカの進めるミサイル防衛構想は、ロシアや中国から見ると、大きな脅威である。
自国が撃った核ミサイルは、すべて撃墜され、一方、アメリカから飛んでくるミサイルは、防ぎようがない、そいう事態を怖れているからだ。
核兵器による、死のバランスが崩壊して、アメリカが圧倒的優位に立ってしまう。
この恐怖の下では、アメリカが核軍縮を主張しても、ロシアは交渉に応じるはずがない。
同等のミサイル防衛システムを開発しつつ、そのシステムをかいくぐるミサイルを研究して、当面は、核ミサイルの数的優位を目指すだろう。
これでは、軍事費は増大する一方で、冷戦時代と同じである。
北朝鮮のロケット打ち上げで、日本でも、ミサイル防衛システムによる迎撃体制が、注目を集めた。
日本は核を保有していないので、国民からすれば、MDシステムは、純粋に自衛のための兵器で、他国の脅威になるとは、微塵も思わないだろう。
しかし、日本が、アメリカの核の傘に入っているのは、厳然たる事実である。
日本のMDシステムが強化され、在日米軍基地やアメリカ本土が、核攻撃からフリーになればなるほど、ロシアや中国が、より一層、軍備増強に走る可能性がある。
今のところ、このシステムは技術的に不完全で、実用段階と言えるかどうかも疑わしい。そのため、核バランスを壊すところまでは行っていない。
だが、今後も、日本が、MDシステムに大金を払い続け、その開発・改良が進んでいくと、不安感が増大して、本格的な軍拡競争が勃発するかもしれない。
さらに、北朝鮮のノドンは、到達時間が短く、迎撃が難しいため、在韓・在日米軍の脅威でもあるが、ロシアや中国が、北朝鮮のノドン保有を、一種の抑止力として、黙認する危険もある。
それは、日本の安全にとってプラスなのだろうか?
ミサイル防衛システムへの積極的な参加が、何をもたらすのか、もう一度、真剣に考えるべきである。
核の脅威、テロの脅威、そして、北朝鮮の脅威。
政治家や官僚は、国民に、さまざまな脅威を見せつけて、巨額の税金を、防衛費として使ってきた。
これは、アメリカの兵器産業を筆頭とする、世界の軍事産業に、巨額のジャパンマネーが流れ込んでいることを意味する。
しかし、軍事費が増えれば増えるほど、世界が不安定になり、平和が遠のいていくのは、歴史が教えるところである。
本当に平和を目指すのなら、核軍縮や緊張緩和を実現して、軍事費を抑制し、戦争や兵器によって利益を得る連中を、地球からなくすことが、最善の方法だ。
そのために必要なことは、国家が煽る脅威に、簡単には乗らないという姿勢である。
今回、政府は、日本を素通りすることが分かっているロケットに対して、「迎撃不可能」を「迎撃可能」と言い張って、破壊措置命令を出した。
さらに、迎撃ミサイルそのものによる被害を考えると、到底撃てないはずのPAC3を、秋田の市街地に配備して、大々的にマスコミに報道させた。
こういった実効性ゼロの派手なパーフォーマンスを繰り出して、首相を先頭に、政府を挙げて大騒ぎする。
北朝鮮へ恐怖、不安、憤りを感じる国民。
そして、その後、何千億円という税金が、防衛費やMDシステムに流れ込む。
平和に向かっているとは、到底思えない光景だ。
一方、「ミサイル防衛(MD)」に関しては、イラン(そして、恐らくは北朝鮮)によるミサイルや核の脅威がある限り、進めていくとした。
オバマ氏は、選挙期間中から、ミサイル防衛構想に慎重な姿勢を見せていたが、プラハ演説でも、核軍縮への断固たる決意に比べると、一歩引いた表現となった。
これは、現在のミサイル防衛システムが技術的に未完成で、費用に見合わないという理由からだけではない。
このシステムが、核軍縮の妨げとなり、却って、軍備拡張を助長する危険を認識しているからだ。
アメリカの進めるミサイル防衛構想は、ロシアや中国から見ると、大きな脅威である。
自国が撃った核ミサイルは、すべて撃墜され、一方、アメリカから飛んでくるミサイルは、防ぎようがない、そいう事態を怖れているからだ。
核兵器による、死のバランスが崩壊して、アメリカが圧倒的優位に立ってしまう。
この恐怖の下では、アメリカが核軍縮を主張しても、ロシアは交渉に応じるはずがない。
同等のミサイル防衛システムを開発しつつ、そのシステムをかいくぐるミサイルを研究して、当面は、核ミサイルの数的優位を目指すだろう。
これでは、軍事費は増大する一方で、冷戦時代と同じである。
北朝鮮のロケット打ち上げで、日本でも、ミサイル防衛システムによる迎撃体制が、注目を集めた。
日本は核を保有していないので、国民からすれば、MDシステムは、純粋に自衛のための兵器で、他国の脅威になるとは、微塵も思わないだろう。
しかし、日本が、アメリカの核の傘に入っているのは、厳然たる事実である。
日本のMDシステムが強化され、在日米軍基地やアメリカ本土が、核攻撃からフリーになればなるほど、ロシアや中国が、より一層、軍備増強に走る可能性がある。
今のところ、このシステムは技術的に不完全で、実用段階と言えるかどうかも疑わしい。そのため、核バランスを壊すところまでは行っていない。
だが、今後も、日本が、MDシステムに大金を払い続け、その開発・改良が進んでいくと、不安感が増大して、本格的な軍拡競争が勃発するかもしれない。
さらに、北朝鮮のノドンは、到達時間が短く、迎撃が難しいため、在韓・在日米軍の脅威でもあるが、ロシアや中国が、北朝鮮のノドン保有を、一種の抑止力として、黙認する危険もある。
それは、日本の安全にとってプラスなのだろうか?
ミサイル防衛システムへの積極的な参加が、何をもたらすのか、もう一度、真剣に考えるべきである。
核の脅威、テロの脅威、そして、北朝鮮の脅威。
政治家や官僚は、国民に、さまざまな脅威を見せつけて、巨額の税金を、防衛費として使ってきた。
これは、アメリカの兵器産業を筆頭とする、世界の軍事産業に、巨額のジャパンマネーが流れ込んでいることを意味する。
しかし、軍事費が増えれば増えるほど、世界が不安定になり、平和が遠のいていくのは、歴史が教えるところである。
本当に平和を目指すのなら、核軍縮や緊張緩和を実現して、軍事費を抑制し、戦争や兵器によって利益を得る連中を、地球からなくすことが、最善の方法だ。
そのために必要なことは、国家が煽る脅威に、簡単には乗らないという姿勢である。
今回、政府は、日本を素通りすることが分かっているロケットに対して、「迎撃不可能」を「迎撃可能」と言い張って、破壊措置命令を出した。
さらに、迎撃ミサイルそのものによる被害を考えると、到底撃てないはずのPAC3を、秋田の市街地に配備して、大々的にマスコミに報道させた。
こういった実効性ゼロの派手なパーフォーマンスを繰り出して、首相を先頭に、政府を挙げて大騒ぎする。
北朝鮮へ恐怖、不安、憤りを感じる国民。
そして、その後、何千億円という税金が、防衛費やMDシステムに流れ込む。
平和に向かっているとは、到底思えない光景だ。