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ジャン・アレチボルトの冒険

ジャンルを問わず、思いついたことを、書いてみます。

北朝鮮は崩壊しかけているのか

2009-04-10 05:51:52 | 政治
金正日政権は、崩壊しかけているのではないか。

最近のニュースを見ていると、そういう感を持たざるを得ない。

というのも、国内へのアピール以外には、何の意味もない大型軍事実験が多すぎる。

先日の「人工衛星ごっこ」にしても、肝心の弾頭が途中でなくなってしまったのでは、ミサイル技術の商業広告としても、大失敗である。

本当に人工衛星を軌道に載せて、将軍様の歌が全世界に流れれば、高度なミサイル技術をアピール出来たはずだ。

事実、イランは、今年の2月に、それに成功している。

だから、洒落にならない。アメリカが慌てるのも無理からぬ話である。

北朝鮮は、7月に予定されている韓国の人工衛星打ち上げに、先んじたかったのだろうが、世界に技術の未熟さをさらすくらいなら、やらない方がマシである。

韓国政府によると、打ち上げ費用は300億円ほどらしいが、それだけのお金を投入しても、各国の警戒感を強めただけで、政治的にも軍事的にも、北朝鮮にとって、何かプラスになる材料は、ほとんど見当たらない。

さらに、2006年の地下核実験も、多額の費用をかけて、何か核爆発のようなことが起こったらしい、という程度である。

高度な核技術を見せつけたわけでもないし、一度しか実験しないのであれば、そもそも核兵器を持つ意欲があるのかどうか、それさえ疑わしい。

しかし、逆に見れば、何百億円という金をかけて、馬鹿馬鹿しい軍事デモンストレーションを行わないと、国内の結束が図れないほどに、金正日政権の基盤が弱体化しているとも言える。

金正日総書記の健康状態が、ここまで悪化しているにもかかわらず、未だに後継者を指名出来ないことは、権力弱体化の一つの証拠である。

金正日氏にすれば、自分の寿命を考えると、出来るだけ早く後継者を指名して、権力の継承を行いたいところである。

実際、過去には何度か、そういう動きが表面化したこともあった。

しかし、金正日総書記がいくら後継者指名を望んでも、軍幹部が一致して賛成出来る候補者がいなければ、どうにもならない。

また、有力な軍幹部が、権力の世襲を嫌い、次は自分たちの中から最高権力者を出そうと密かに考えている可能性もある。

もし、彼の権力が盤石であれば、反対する連中を押さえつけて、着々とその人物の基盤固めを進めているはずだが、今回の最高人民会議を見ても、その兆候すらうかがえない。

喩えれば、源頼朝の息子で、鎌倉幕府第二代将軍の源頼家と、彼を取り巻く、北条氏を筆頭とする、関東武士団の関係である。

たとえが突飛すぎた。申し訳ない(笑)。

ただでさえ財政が厳しいのに、何百億円もかけて、無意味な軍事実験を繰り返す。

このお金は、金正日総書記にとって、軍部から、自分自身を守るための、安全保障費なのかもしれない。

自らの権力を固めるために、政権の軸足を、党ではなく、軍においた金正日総書記。その先軍政治の果てに、今度は、軍部から権力を脅かされ始めているのではないだろうか。

中国は、金正日政権が置かれている厳しい状況を、ある程度把握している可能性がある。

政権が崩壊して、無政府状態になれば、北朝鮮との国境に、大量の難民が押し寄せ、中国が大きな損害を被るのは間違いない。

国連安保理での新たな制裁決議に、中国が頑なに反対するのは、そのためかもしれない。

日本が備えるべきは、北朝鮮からの軍事攻撃というよりは、その崩壊による混乱の方ではないか。

最高人民会議。

代議員の前で拍手をする、げっそりと痩せた金正日氏。

その心中は、我々が思う以上に、苦しいのかもしれない。


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