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ジャン・アレチボルトの冒険

ジャンルを問わず、思いついたことを、書いてみます。

国連は役に立っている

2009-04-14 03:49:20 | 政治
北朝鮮のロケット発射は、国連安保理決議1718に違反(contravention)しているとする議長声明が、今日にも採択される見通しである。

日本政府は、麻生首相自らが発言したように、新たな安保理決議を目指していたが、中国とロシアの反対によって、議長声明という形に落ち着いた。

この決着に対して、「国連は役に立たない」という声が、石原慎太郎都知事など、一部の政治家から上がっている。

また、極端な意見ではあるが、自民党の坂本剛二組織本部長は、「国連脱退」すら口にしている。

国連は、本当に、日本の役には立っていないのだろうか?

もし、日本が、安保理という組織を使わず、単独の外交努力で、中国やロシアなどに働きかけたとして、今回のような圧力を、北朝鮮にかけることが出来ただろうか?

ニューヨークのビルの中に、すべての関係当事国の代表者が存在しているのとは、訳が違う。

日本がどんなに頑張っても、短期間で、何かの共同声明を出すのは、不可能に等しいはずである。

たとえ拘束力のない議長声明であっても、発射後一週間で、常任理事国を含む15の有力国が、一致して北朝鮮のミサイル開発に異議を唱え、今後、発射実験をしないよう迫るのは、金正日政権に対する、強力な外交圧力である。

国連や安保理という舞台があってこそ、初めて実現する成果である。

ブッシュ政権時代、フセイン政権の危険性を主張して、イラク戦争を始めたかったアメリカは、フランスやドイツの反対によって、安保理で、思うような決議が得られなかった。

その時、ブッシュ大統領は、「国連は役に立たない」と判断して、アメリカを中心とする有志連合で、イラク戦争に突入していった。

いわゆる、単独行動主義である。

しかし、その結果、イラクは泥沼の内戦状態に陥り、アフガン戦争も出口が見えず、イランは着々と核開発を進め、テロリストの疑いを掛けられた中東系男性への国際・国内法を無視した取り調べで、アメリカの威信は失墜してしまった。

結局、ブッシュ政権の終わりには、アメリカは、再び国連に戻ってきて、安保理を舞台にした外交に舵を切らざるを得なくなっていた。

唯一の超大国アメリカですら、国連を無視した、単独行動主義ではやっていけないのだ。

確かに、アメリカとソ連の冷戦時代、国連安保理は、両者の拒否権乱発で、全くの機能不全に陥っていた。

しかし、現在の国連は、その時代に比べて、今回の北朝鮮問題も含め、はるかに良く機能していると言うべきである。

そして、多くの国が、国連の力を評価しているからこそ、国連に加盟している。

それは北朝鮮自身にとっても、そうである。

だからこそ、彼らも、国連を脱退しないのだ。

国連の力を良く理解しているという点から見て、戦前の松岡洋右外相、石原都知事、自民の坂本本部長より、北朝鮮指導者の方が、国際情勢の分析力は上なのかもしれない。

日本人として、残念極まりない結論である(笑)。


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