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ジャン・アレチボルトの冒険

ジャンルを問わず、思いついたことを、書いてみます。

発売週「ルックアップ」が示す2014年大組閣の爪痕、乃木坂はなぜファン層崩壊を防げたのか [29Nov16]

2016-11-29 01:30:00 | 芸能

乃木坂46が参加する、注目の番組とイベント

日テレの年末大型音楽祭に登場!
11月29日(火) 19 : 00 〜 23 : 00 [地デ] 日本テレビ『ベストアーティスト2016』(会場 : 幕張メッセ)に、乃木坂と欅坂が出演

12月01日(木) 24 : 25 〜 [地デ] UHB北海道文化放送『乃木坂46橋本奈々未の恋する文学‐夏の旅‐』

12月03日(土) 22 : 00 〜[Web] AbemaTV『突撃出張占い!濱口兄弟』に、秋元真夏、相楽伊織、鈴木絢音、渡辺みり愛が出演

12月03日(土) 24 : 05 〜 [地デ] NHK総合『着信御礼!ケータイ大喜利』に、衛藤美彩が単独で出演。もう一人のゲストは、元ロッテの捕手、里崎智也さん

12月04日(日) 16枚目 橋本奈々未 個別握手会 in 東京・浅草橋「ヒューリックホール」

12月04日(日) 17 : 00 〜 17 : 55 [BS] BSフジ『FEEL THE KYUSHU 〜九州魅力満載コンテンツ大公開〜』に、衛藤美彩と川後陽菜が出演。みさ先輩は司会恵俊彰のアシスタント、川後Pはゲストとして登場する模様


乃木坂が出演する番組やイベントをさらに知りたい方は、以下のリンクをご利用下さい。

アレチの素敵な乃木坂業務連絡 08Nov16 〜 テレビ・ラジオ番組と重要イベントの日程 ['16Oct〜Dec]
アレチの素敵な乃木坂業務連絡 08Nov16 〜 テレビ・ラジオのレギュラー番組日程 ['16Nov]

「ブックマーク」内にある次のリンクは、乃木坂のスケジュールを、過去分も含めて、まとめたものです。「ブックマーク」は、PCでは左サイドバー、モバイルでは記事の最後に置かれています。

定期日程(@Nov16)
重要日程(Oct~Dec16)
重要日程(Aug~Sep16)
重要日程(Jun~Jul16)
重要日程(Apr~May16)
重要日程(Feb~Mar16)
重要日程(Nov15~Jan16)



日テレプラスで26日(土)に放送された『日テレ HALLOWEEN LIVE 2016』を観ましたが、1日目の最後に登場した乃木坂は、ここまでしてもらって良いんだろうか?と、やや心配になるくらい、破格の扱いを受けてましたね(笑)。

メンバーが舞台に現れる前、「OVERTURE」が流れ、正面の大型スクリーンに、なんと1人1人の名前と写真が映し出され、観客の気分を盛り上げていく。

ステージに出てくる時も、黒い悪魔と白い天使の二つのグループに分かれ、お互いを牽制し合うダンスによって、楽曲パフォーマンスを始める前に、長めのオープニングショーを披露。

登場シーンからして特別ですが、本編に関しても、曲数が多く、MCの時間も十分あって、複数アーティストによるフェスなのに、乃木坂の単独ライブと変わりません。


驚いたのは、代々木第一体育館を埋め尽くしたお客さんのほとんどが、パフォーマンスに合わせてサイリウムを振っていて、全員が乃木坂ファンじゃないのかと思うほど、ホーム感があった。

まあ、ここまでライブを盛況にしてくれるのだから、主催者が厚遇するのも、当然なのかなと、歌を聴きながら、つらつら考えていました(笑)。

恐るべし、乃木坂の観客動員力!ということでしょうか。

ちなみに、出演メンバーは16th選抜で、衛藤美彩のポジションに樋口日奈が入っていたと思います。

乃木坂の出演は金曜の夜なので、みさみさは、レギュラーMCを務める bayfm78 の『金つぶ』でしょうね。


一方、2日目の途中にパフォーマンスした欅坂は、「OVERTURE」はあったものの、乃木坂ほど凝った登場演出はなく、サイリウムを振っている人も、多くはあるけど、観客全員という印象ではなかった。

デビュー1年目の新人グループなので、十分と言っていい集客力だけど、乃木坂ほどの大型ライブを打つには、まだ少し時間が必要かもしれません。

両グループのCD売り上げ枚数が、現在、2倍以上違うのも、こういったファン人数の差を反映していると思います。


しかし、ステージの魅力という点で言えば、乃木坂より、欅坂の方に、断然惹き付けられました。

まず何と言っても、ダンスが素晴らしい。

キレがあって、よく揃っているし、振り付けやフォーメーション変化が、斬新かつダイナミックで、観ていてぐいぐい引き込まれます。


さらに、歌唱に関しても、「世界には愛しかない」は、生歌比率が高く、聴きごたえがあった。

「ポエタリーリーディング」は、ほぼ完全な生声で、歌部分も、多くが生歌という印象を受けました。

平手友梨奈なんか、曲最後の台詞を、名古屋弁のイントネーションで締めてましたからね(笑)。


良いんですよ、それこそが、生歌ライブの醍醐味でしょう。

歌唱については、大箱なので、声量がもう少し欲しいと思ったけど、多くのメンバーが音を外さず、上手く歌っていて、感心しました。

この曲も、かなり激しいダンスが入っているので、生歌は大変だったと思います。


ダンスにせよ、歌唱にせよ、欅坂のステージには、音楽性を真摯に追求しようとする姿勢があって、好感が持てたし、スキルがちゃんと伴っていて、ワクワクしながら鑑賞出来る、良いパフォーマンスでした。

乃木坂は、ダンスと歌唱に、もっと磨きを掛けて、パフォーマンスにおいて、何か「目玉」を作らないと、楽曲派のファンが、今後、雪崩を打って、欅坂に移ってしまうかもしれない。

欅坂は楽しいステージだったけど、乃木坂ファンとして、いろいろな心配が沸き起こって、複雑な気持ちになります。


一応、「サヨナラの意味」の演奏時間を載せておきます。

(表1) 「サヨナラの意味」のステージパフォーマンスが放送されたテレビ番組と演奏時間

凡例
演奏時間 @ ステージオンエア開始時刻のCD発売日に対する時間関係 [ステージオンエア開始時刻] (放送の種別) チャンネル名『番組名』

#「演奏時間」は前奏開始から後奏終了までの時間
#「CD発売日に対する時間関係」は、発売日の午前0時を原点にして計算し、単位は「日前」「日後」で、小数点以下2桁目を四捨五入
#「放送の種別」の「地デ」は、地上デジタル放送の意
# CD音源の演奏時間は4分53秒

02分31秒 @ 08.2日前 [10/31(月)20:23] (地デ) TBS『ハロウィン音楽祭2016』
02分31秒 @ 04.2日前 [11/04(金)20:03] (地デ) テレビ朝日『MUSIC STATION』
02分30秒 @ 02.3日前 [11/06(日)17:13] (地デ) NHK総合『シブヤノオト』
02分29秒 @ 02.0日前 [11/07(月)00:23] (地デ) テレビ東京『乃木坂工事中』
04分53秒 @ 04.0日後 [11/12(土)23:17] (BS) NHK BSプレミアム『乃木坂46SHOW!』
02分31秒 @ 06.8日後 [11/15(火)20:09] (地デ) NHK総合『うたコン』
02分31秒 @ 08.8日後 [11/17(木)19:20] (地デ) NHK Eテレ『Rの法則』
02分31秒 @ 08.8日後 [11/17(木)19:53] (地デ) 日本テレビ『ベストヒット歌謡祭2106』
03分30秒 @ 18.0日後 [11/26(土)23:27] (CS) 日テレプラス『日テレ HALLOWEEN LIVE 2016』

(今後の予定)
00分00秒 @ 20.8日後 [11/29(火)19:00] (地デ) 日本テレビ『ベストアーティスト2016』
00分00秒 @ 28.8日後 [12/07(水)19:00] (地デ) フジテレビ『FNS歌謡祭第1夜』
00分00秒 @ 35.8日後 [12/14(水)19:00] (地デ) フジテレビ『FNS歌謡祭第2夜』
00分00秒 @ 38.0日後 [12/16(金)23:00] (地デ) フジテレビ『堂本兄弟もうすぐクリスマスSP』

#「今後の予定」で示された時刻は、番組開始の日時


フルバージョンの4分53秒よりは短いけど、通常のテレビサイズ2分30秒よりは長い、3分30秒でした。

これくらいの長さがあれば、曲のパフォーマンスを堪能した気分になれるので、大晦日の紅白歌合戦でも、何を歌うにせよ、3分以上のステージは欲しいものです。


先日、開催されたAKB48の全国握手会について、「総監督」の横山由依が、「こんなにたくさんお客さんがいて嬉しい。やっぱりみんな46が好きなのかなって思ってたし」と、涙ぐんだとの話が、ネットに流れています。

『日テレ HALLOWEEN LIVE 2016』において、乃木坂・欅坂が相当な観客動員力を示したのとは逆に、最近のAKB48G、とくに「支店」は、ライブが「空席祭り」になったり、ファン人数の減少に苦しんでいるようです。

紅白歌合戦において、今年、乃木坂と欅坂が紅組の1枠ずつを獲得する一方、AKB48Gは、グループ全体で1枠に留まったのも、こういったファン人数の変化が背景にあるのかもしれません。


しかし、乃木坂が2014年の紅白に「落選」したとき、48Gは、前年からの3枠をそのまま維持しており、まだまだ勢いがあった。

その後、どういう経緯を辿って、46のファン数は増え、48は伸び悩むことになったのかは、今勢いのあるグループとっても、苦しんでいるグループにとっても、これから何をすべきかを考える上で、重要な情報だと思います。

今日は、ファン人数の変遷を、Billboard JAPAN Hot100 の「PC読み取り数」、通称「ルックアップ」を基に、振り返ってみます。


CDを購入したり、レンタルした後、多くの人は、収録曲を聴くため、それをPCに入れ、iTunesなどを使って取り込みます。

この時、曲名とアーティスト名をゲットするため、iTunes は、グレースノート社のデータベースに問い合わせるので、それぞれの曲について、何回アクセスがあったのか記録が残る。

「ルックアップ」は、このアクセス数に従って、曲に順位を付けたものです。


乃木坂のように、握手会参加券を付けることによって、大量のCDを売っている場合、まったく同じCDを何枚も購入する人が多く、収録曲がどれだけ聴かれたかを、売り上げ枚数から判断するのは難しい。

ところが、個別握手会に参加するため、同一のCDを100枚買った人も、曲に興味を持って1枚買った人も、PCに入れるのは共に1枚なので、「ルックアップ」は、曲に対する関心度、さらには、ファンの人数を反映する指標になります。

AKB48Gの「ルックアップ」を調べていると、もっとも多い売り上げ枚数を記録する、発売第1週において、この順位が下がってくると、観客動員力が落ちていく節があって、コアファンの人数を把握する、かなり良好な指標であることが分かってきました。


そこで、Billboard JAPAN の公式サイトで遡れる、乃木坂、欅坂、AKB48Gのすべての表題曲について、発売週の「ルックアップ」を調べ、シングルが進むにつれ、どのような順位変遷があったのかを表にしてみました。

まずは、現在、2つのシングルCDをリリースしている、欅坂のデータから。

(表2) 欅坂46表題曲の発売週における Billboard JAPAN Hot100「ストリーミング数」「ルックアップ」の順位とオリコンの成績

凡例
(BJ) Hot100 順位 [S]「ストリーミング数」順位 [L]「ルックアップ」順位 (OC) オリコン順位 売り上げ枚数 : 発売後経過週(チャートの日付) シングル番号 曲名

#「発売後経過週」は、CD発売週を「1週目」、その前週を「1週前」として数え、その週における順位や売り上げ枚数を示している
# この表では、すべて「1週目」の発売週を取り上げている
#「ルックアップ」は、CD収録曲のPCによる読み取り数
#「シングル番号」で「No.01」は1枚目、「No.02」は2枚目

(BJ) 01位 [S]01位 [L]01位 (OC) 1位 26.2万枚 : 1週目(2016/04/18付) No.01 サイレントマジョリティー
(BJ) 01位 [S]01位 [L]01位 (OC) 1位 32.3万枚 : 1週目(2016/08/22付) No.02 世界には愛しかない


デビューシングル「サイレントマジョリティー」と2枚目「世界には愛しかない」は、オリコン初動が、それぞれ26.2万枚と32.3万枚と、高い数字を記録しています。

そして、発売週における表題曲の Hot100 は、2作ともに1位で、「ストリーミング数」と「ルックアップ」も、1位を獲得。

1人で何枚も購入するファンがいるとはいえ、その週、26万枚や32万枚ものCDが世の中に出回ったのだから、表題曲のPC取り込み数が、1位となるのは、当たり前のように思えます。

しかし、乃木坂を含む他グループの成績を眺めると、「ルックアップ」でトップに立つのは、案外、大変なことで、デビューから2作連続の1位は、欅坂というグループが、多くのファンを呼び込み、非常に高い人気を持っていることを示しています。


ちなみに、「ストリーミング数」は、「シングルの全国売り上げ枚数、楽曲のダウンロード数、歌詞表示回数から推定したストリーミング数の合算」であると、Billboard JAPAN の公式サイトに書かれています。

どういうプログラムを使って「推定」しているのか分からないので、何とも言いようがないんですが、数値を導く際、CDの「売り上げ枚数」がとくに重視されているようで、AKB48Gと乃木坂欅坂の表題曲は、ほとんどが1位を取っています。

「ストリーミング数」算出における、CDセールス重視の発想が、48と46の総合1位を支えている気がします。


次は、SKE48です。

(表3) SKE48表題曲の発売週における Billboard JAPAN Hot100「ストリーミング数」「ルックアップ」の順位とオリコンの成績

# 表記法は、(表2)と同じ

(BJ) 01位 [S]01位 [L]01位 (OC) 1位 39.8万枚 : 1週目(2014/03/31付) No.14 未来とは?
(BJ) 01位 [S]01位 [L]05位 (OC) 1位 32.4万枚 : 1週目(2014/08/11付) No.15 不器用太陽
(BJ) 02位 [S]02位 [L]09位 (OC) 1位 38.6万枚 : 1週目(2014/12/22付) No.16 12月のカンガルー
(BJ) 02位 [S]02位 [L]03位 (OC) 1位 64.0万枚 : 1週目(2015/04/13付) No.17 コケティッシュ渋滞中
(BJ) 01位 [S]01位 [L]02位 (OC) 1位 37.0万枚 : 1週目(2015/08/24付) No.18 前のめり
(BJ) 01位 [S]01位 [L]07位 (OC) 1位 25.7万枚 : 1週目(2016/04/11付) No.19 チキンLINE
(BJ) 01位 [S]01位 [L]20位 (OC) 1位 25.2万枚 : 1週目(2016/08/29付) No.20 金の愛、銀の愛


14枚目表題曲「未来とは?」で1位を取った「ルックアップ」は、次の15枚目「不器用太陽」で5位、16枚目「12月のカンガルー」は9位にまで落ち込みます。

15枚目と16枚目の初動は、32.4万枚と38.6万枚で、いずれも30万枚を越え、15枚目から16枚目へアップさえしているのに、「ルックアップ」が5位、9位と下がっている。

ファン人数が減少して、少数のコアファンが、1人あたり大量の枚数を購入したとしか考えられません。


ファンが減った原因として思い当たるのは、2014年の夏、主要メンバーである松井玲奈が、生駒里奈との「交換留学」により、「夏のFree&Easy」の選抜フロントに入り、乃木坂「兼任」として、本格的に活動を始めたことです。

「大組閣」によって、松井珠理奈と人気を二分するほどのトップメンバーさえも、SKE48に専念させて貰えず、「異動」の対象になったことで、嫌気がさして、少なからぬファンがグループを離れた可能性がある。

実際、「兼任」が解除され、松井玲奈がセンターに復帰した17枚目「コケティッシュ渋滞中」では、「ルックアップ」は3位に反転上昇、さらに、彼女の卒業シングルとなった18枚目「前のめり」は2位となり、明らかな回復を見せています。


松井玲奈というメンバーが、SKE48のファン動向に、いかに大きな影響を与えていたかが分かる順位変遷です。

そして、やはりというか、松井玲奈が卒業した後の19枚目「チキンLINE」は、CDセールスそのものが、前作から10万枚以上減り、「ルックアップ」は7位に低下します。

さらに、20枚目「金の愛、銀の愛」は、初動こそ前作並みを維持したものの、「ルックアップ」が、なんと20位に落ち込んでしまった。


「ルックアップ」の順位が、ここまで大幅に下がると、ライブなどにおける観客動員力も落ち込んでいる可能性が高い。

最近、SKE48のメンバーが、人が集まらないので劇場公演以外、なかなかライブを打てないと嘆いたそうですが、「ルックアップ」の順位下落と符合する話です。

グループ人気の鍵を握っていた松井玲奈を、「組閣」の対象にしてしまい、その後、間を置かず、「総選挙」不参加、「卒業」という道を歩ませてしまったことが、SKE48を厳しい状況に追い込んだ原因かもしれません。


次は、NMB48です。

(表4) NMB48表題曲の発売週における Billboard JAPAN Hot100「ストリーミング数」「ルックアップ」の順位とオリコンの成績

# 表記法は、(表2)と同じ

(BJ) 01位 [S]01位 [L]02位 (OC) 1位 40.7万枚 : 1週目(2014/04/07付) No.09 高嶺の林檎
(BJ) 02位 [S]01位 [L]02位 (OC) 1位 42.0万枚 : 1週目(2014/11/17付) No.10 らしくない
(BJ) 01位 [S]01位 [L]01位 (OC) 2位 44.7万枚 : 1週目(2015/04/13付) No.11 Don't look back!
(BJ) 02位 [S]02位 [L]06位 (OC) 1位 37.1万枚 : 1週目(2015/07/27付) No.12 ドリアン少年
(BJ) 01位 [S]01位 [L]08位 (OC) 1位 30.7万枚 : 1週目(2015/10/19付) No.13 Must be now
(BJ) 01位 [S]01位 [L]03位 (OC) 1位 23.0万枚 : 1週目(2016/05/09付) No.14 甘噛み姫
(BJ) 01位 [S]01位 [L]16位 (OC) 1位 30.4万枚 : 1週目(2016/08/15付) No.15 僕はいない


2014年から15年に渡る「大組閣」の1年において、NMB48が、大きくファン人数を減らした節はありません。

9枚目「高嶺の林檎」は初動40.7万枚で表題曲の「ルックアップ」は2位、10枚目「らしくない」は42万枚の2位と、良好な数字が並んでいる。

とくに、SKE48「コケティッシュ渋滞中」と同日発売となり、44.7万枚もの初動を叩き出した「Don't look back!」は、ミュージックカードのこともあって、オリコンでは2位に甘んじたものの、「ルックアップ」は1位を獲得し、「コケティッシュ渋滞中」の3位を上回る成績を挙げています。


ところが、12枚目「ドリアン少年」は初動前作割れの37.1万枚で、「ルックアップ」が6位に低下、さらに、13枚目「Must be now」は、初動続落で30.7万枚の8位。

14枚目「甘噛み姫」は、3作連続の前作割れとなり、初動は23.0万枚まで下がってしまった。

「ルックアップ」は、何とか3位を確保したものの、2015年後半から、NMB48のファン人数が急速に減少を始めた可能性が濃厚です。

実際、渡辺美優紀の卒業シングル「僕はいない」は、オリコン初動こそ30.4万枚に回復したけど、「ルックアップ」が16位という、信じられない順位を記録しており、大規模なファン離れを示唆しています。

最近、NMB48のライブが、アリーナ席以外をすべて暗幕で覆う「空席祭り」となってしまったそうで、いよいよ観客動員力の低下が顕在化してきた感があります。


一体、2015年の後半から、何が起こったのか、NMB48の事情にあまり詳しくないので、よく分かりません。

ただ、山田菜々を始め、人気メンバーが次々に「卒業」した印象があって、メンバーの大量離脱が、ファン人数の急激な落ち込みを誘発したのかもしれません。

そして、「大組閣」の1年が終わった直後から、CDセールスと「ルックアップ」の同時低下がスタートしているので、NMB48にとっても、あの人事異動ゲームは、深刻な後遺症を残したように見えます。


SKE48とNMB48に比べると、HKT48は、まだ穏やかな順位変遷を見せています(笑)。

(表5) HKT48表題曲の発売週における Billboard JAPAN Hot100「ストリーミング数」「ルックアップ」の順位とオリコンの成績

# 表記法は、(表2)と同じ

(BJ) 01位 [S]01位 [L]02位 (OC) 1位 27.7万枚 : 1週目(2014/03/24付) No.03 桜、みんなで食べた
(BJ) 02位 [S]01位 [L]03位 (OC) 1位 27.8万枚 : 1週目(2014/10/06付) No.04 控えめI love you !
(BJ) 03位 [S]03位 [L]04位 (OC) 1位 27.8万枚 : 1週目(2015/05/04付) No.05 12秒
(BJ) 03位 [S]02位 [L]05位 (OC) 1位 28.1万枚 : 1週目(2015/12/07付) No.06 しぇからしか!
(BJ) 01位 [S]01位 [L]01位 (OC) 1位 23.9万枚 : 1週目(2016/04/25付) No.07 74億分の1の君へ
(BJ) 01位 [S]01位 [L]03位 (OC) 1位 27.0万枚 : 1週目(2016/09/19付) No.08 最高かよ


確かに、「大組閣」の人事異動が本格化する頃から、「ルックアップ」は、4枚目表題曲「控えめI love you !」3位、5枚目「12秒」が4位、6枚目「しぇからしか!」は5位と、じりじり順位を下げています。

しかし、7枚目「74億分の1の君へ」は、オリコン初動を下げながらも、「ルックアップ」は1位を獲得、8枚目「最高かよ」も、3位とまずまずの順位で、SKE48とNMB48のような急降下は起こっていない。

おそらく、主要メンバーの「卒業」が、比較的少ないため、グループを離れるファンも少なく、比較的、安定した人気を維持出来ているのでしょう。


もちろん、アイドルの人気は、一定水準を保つのではなく、シングルごとにアップさせて成功と言えます。

ただ、48Gを取り巻く環境が厳しさを増している今、まずはファン数を減らさないことが重要で、最低限のことはクリアしている印象を受けます。

まあ、シングルをリリースするペースが割りとゆったりしていることも、数字の悪化を防いでいるのかもしれません。


さて、「支店」グループのファン人数減少には、2014年から15年の「大組閣」と、人気メンバーの「卒業」が、深く関わっている可能性が見えてきました。

では、AKB48本体の「ルックアップ」は、どうなっているのでしょう。

ほとんどのシングルが初動ミリオンを達成しているので、表題曲の「ルックアップ」が1位に入らないなんて、あり得ないと思うかもしれませんが、不思議なことに、それが、そうでもないんですよ(笑)。

(表6) AKB48表題曲の発売週における Billboard JAPAN Hot100「ストリーミング数」「ルックアップ」の順位とオリコンの成績

# 表記法は、(表2)と同じ
# シングル番号と曲名が赤色のものは、「ルックアップ」が1位ではないことを示す

(BJ) 01位 [S]01位 [L]01位 (OC) 1位 103.3万枚 : 1週目(2013/12/23付) No.34 鈴懸の木の道で
(BJ) 01位 [S]01位 [L]01位 (OC) 1位 109.1万枚 : 1週目(2014/03/10付) No.35 前しか向かねえ
(BJ) 01位 [S]01位 [L]01位 (OC) 1位 166.2万枚 : 1週目(2014/06/02付) No.36 ラブラドール・レトリバー
(BJ) 01位 [S]01位 [L]01位 (OC) 1位 100.6万枚 : 1週目(2014/09/08付) No.37 心のプラカード
(BJ) 01位 [S]01位 [L]01位 (OC) 1位 113.0万枚 : 1週目(2014/12/08付) No.38 希望的リフレイン
(BJ) 01位 [S]01位 [L]02位 (OC) 1位 100.1万枚 : 1週目(2015/03/16付) No.39 Green Flash
(BJ) 01位 [S]01位 [L]03位 (OC) 1位 167.3万枚 : 1週目(2015/06/01付) No.40 僕たちは戦わない
(BJ) 01位 [S]01位 [L]01位 (OC) 1位 127.8万枚 : 1週目(2015/09/07付) No.41 ハロウィン・ナイト
(BJ) 01位 [S]01位 [L]01位 (OC) 1位 090.5万枚 : 1週目(2015/12/21付) No.42 唇にBe My Baby
(BJ) 01位 [S]01位 [L]01位 (OC) 1位 123.8万枚 : 1週目(2016/03/21付) No.43 君はメロディー
(BJ) 01位 [S]01位 [L]02位 (OC) 1位 144.1万枚 : 1週目(2016/06/13付) No.44 翼はいらない
(BJ) 01位 [S]01位 [L]01位 (OC) 1位 117.8万枚 : 1週目(2016/09/12付) No.45 LOVE TRIP
(BJ) 01位 [S]01位 [L]03位 (OC) 1位 118.0万枚 : 1週目(2016/11/28付) No.46 ハイテンション


Billboard JAPAN Hot100 のサイトで、発売週の順位を確認できるAKB48の表題曲は、34枚目「鈴懸の木の道で(以下略)」から、最新シングル「ハイテンション」までの13曲。

この中で、「ルックアップ」が1位に入らなかったのは4曲、39枚目「Green Flash」の2位、40枚目「僕たちは戦わない」の3位、44枚目「翼はいらない」の2位、そして46枚目「ハイテンション」の3位です。

面白いのは、2015年と16年の「総選挙」投票券付きシングルで、それぞれ167.3万枚、144.1万枚も初動を売り上げた「僕たちは戦わない」と「翼はいらない」が、1位を逃している。


これは、CDを買う人の目的が、握手会券や「総選挙」投票券の入手で、収録楽曲に対する関心が低いことを反映していると思います。

割安になっている握手会券を、少数のコアファンが大量に買うため、券だけ抜き出し、CD本体を捨ててしまう率が、通常より高いのでしょう。

CDの売り上げ枚数がミリオンを越えていても、収録楽曲があまり関心を持たれていない、なんてことが起りえるわけで、音楽指標として重要なのは、オリコンの数字ではなく、その内容であることが分かります。


ところで、100万枚以上を売り上げながら、「ルックアップ」が1位でない場合、どんな曲がそれを上回っているのでしょう。

上に挙げた4曲について、調べたものが次の表です。

(表7) AKB48表題曲の発売週「ルックアップ」が1位ではないケースにおいて、それより上位に入っている曲

凡例
チャート日付
(BJ) Hot100 順位 [S]「ストリーミング数」順位 [L]「ルックアップ」順位 (OC) オリコン順位 売り上げ枚数 : 発売後経過週 アーティスト名「曲名」

#「(OC) オリコン順位 売り上げ枚数」は、同日発売の曲のみ載せている

2015/03/16付
(BJ) 02位 [S]03位 [L]01位 : 2週目 嵐「Sakura」
(BJ) 01位 [S]01位 [L]02位 : 1週目 AKB48「Green Flash」

2015/06/01付
(BJ) 02位 [S]03位 [L]01位 : 2週目 嵐「青空の下、キミのとなり」
(BJ) 06位 [S]09位 [L]02位 : 4週目 西野カナ「もしも運命の人がいるのなら」
(BJ) 01位 [S]01位 [L]03位 : 1週目 AKB48「僕たちは戦わない」

2016/06/13付
(BJ) 07位 [S]15位 [L]01位 : 3週目 嵐「I seek」
(BJ) 01位 [S]01位 [L]02位 : 1週目 AKB48「翼はいらない」

2016/11/28付
(BJ) 02位 [S]03位 [L]01位 : 7週目 星野源「恋」
(BJ) 04位 [S]04位 [L]02位 (OC) 3位 004.0万枚 : 1週目 back number「ハッピーエンド」
(BJ) 01位 [S]01位 [L]03位 (OC) 1位 118.0万枚 : 1週目 AKB48「ハイテンション」


要するに、嵐ですね(笑)。

「Green Flash」は、2週目の嵐「Sakura」に1位を譲り、「僕たちは戦わない」は、2週目の嵐「青空の下、キミのとなり」と4週目の西野カナ「もしも運命の人がいるのなら」に1位と2位を許し、「翼はいらない」は3週目の嵐「I seek」に1位を取られている。

ジャニーズのグループは、楽曲の配信販売を行わないので、シングルCDの売り上げ枚数が多く、レンタルの回転率も高い。


とくに、ファン人数の多い嵐は、最近でも、初動で50万枚ほど売り上げ、レンタルも開始と同時にフル稼働するので、2週目、3週目であっても、「ルックアップ」で1位を獲得するのは、なかなか難しい。

こういった「強敵」がいる中、対抗する曲が、大方の購入動機が音楽とかけ離れている「総選挙」投票券付きシングルの表題となると、太刀打ち出来ず、100万枚を遥かに越えているのに、「ルックアップ」が2位、3位という、摩訶不思議な現象が起こる。

西野カナは、CDの売り上げ枚数は左程ではないけど、レンタル回転率が常軌を逸しているのだと思います。

まあ、間違いなく、曲が売れている歌手ということです(笑)。


しかし、最新シングルの表題曲「ハイテンション」では、今までと違ったことが起こっています。

まず、嵐が関係していません(笑)。

「ルックアップ」の1位は、7週目の星野源「恋」です。

TBSドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」(逃げ恥)がヒットして、主題歌である「恋」は、もの凄い勢いでレンタルされているのでしょう。


問題は、2位が同日発売のback number「ハッピーエンド」ということです。

AKB48の表題曲が、同日発売のアーティストに、「ルックアップ」で負けるのは、初めてのことです。

しかも、「ハッピーエンド」のオリコン初動は4.0万枚で、「ハイテンション」118.0万枚の30分の1程しかない。


back numberも人気のあるバンドで、レンタル回転率は高い筈ですが、いくらなんでも、30倍の売り上げを持つAKB48が、発売週の「ルックアップ」で、それを上回れないというのは、俄には信じられません。

「ハッピーエンド」の4万枚という数字から考えて、AKB48Gのシングルを買ってくれるコアファンの人数は、10万人を大きく割り込んでいる可能性があり、場合によっては、5万人に近い水準ですらあり得ます。

1人が平均20枚買えば、それで100万枚になるので、5万人は荒唐無稽な推測ではないけど、「支店」を含めた48G全体のコアファン人数としては、かなり衝撃的な数字です。


もし、コアファンの人数が全国で5万から10万だとすれば、2017年の「総選挙」開票イベントは、会場をあまり大箱に設定すると、埋めきれない危険がある。

さらに、「支店」の人気メンバーが参加しない、純粋なAKB48だと、さらにファン数が少なくなるので、「本店」の単独ライブは、慎重に計画しないと、「空席祭り」になってもおかしくない。

同日発売のback numberに、「ルックアップ」の上位を譲ったことは、AKB48のファン層が、厚みを失いつつある証拠で、直面する状況の厳しさを、あたらめて思い知らされます。


最後は、乃木坂です。

(表8) 乃木坂46表題曲の発売週における Billboard JAPAN Hot100「ストリーミング数」「ルックアップ」の順位とオリコンの成績

# 表記法は、(表2)と同じ
# シングル番号と曲名が赤色のものは、「ルックアップ」が1位ではないことを示す

(BJ) 01位 [S]01位 [L]02位 (OC) 1位 39.5万枚 : 1週目(2013/12/09付) No.07 バレッタ
(BJ) 01位 [S]01位 [L]01位 (OC) 1位 45.8万枚 : 1週目(2014/04/14付) No.08 気づいたら片想い
(BJ) 01位 [S]01位 [L]04位 (OC) 1位 42.2万枚 : 1週目(2014/07/21付) No.09 夏のFree&Easy
(BJ) 01位 [S]01位 [L]01位 (OC) 1位 47.9万枚 : 1週目(2014/10/20付) No.10 何度目の青空か?
(BJ) 01位 [S]01位 [L]01位 (OC) 1位 50.0万枚 : 1週目(2015/03/30付) No.11 命は美しい
(BJ) 01位 [S]01位 [L]01位 (OC) 1位 60.9万枚 : 1週目(2015/08/03付) No.12 太陽ノック
(BJ) 01位 [S]01位 [L]01位 (OC) 1位 62.7万枚 : 1週目(2015/11/09付) No.13 今、話したい誰かがいる
(BJ) 01位 [S]01位 [L]01位 (OC) 1位 75.0万枚 : 1週目(2016/04/04付) No.14 ハルジオンが咲く頃
(BJ) 01位 [S]01位 [L]01位 (OC) 1位 72.8万枚 : 1週目(2016/08/08付) No.15 裸足でSummer
(BJ) 01位 [S]01位 [L]01位 (OC) 1位 82.8万枚 : 1週目(2016/11/21付) No.16 サヨナラの意味


発売週のHot100をチェックできるのは、7枚目「バレッタ」から16枚目「サヨナラの意味」までの10曲。

その中で、「ルックアップ」が1位でなかったのは、7枚目「バレッタ」と9枚目「夏のFree&Easy」の2曲です。

つまり、乃木坂は、10枚目「何度目の青空か?」以降、発売週の「ルックアップ」が7作連続の1位を記録しており、欅坂の2作連続1位と共に、分厚いファン層を持っていることが分かります。



しかし、2013年終わりの7枚目と2014年夏の9枚目は、「ルックアップ」1位を逃していて、この頃、乃木坂は、まだまだファン数が十分ではなく、人気を固めきれていなかった。

以下に、どんな曲が「ルックアップ」で上位に入ったのかを載せています。

(表9) 乃木坂46表題曲の発売週「ルックアップ」が1位ではないケースにおいて、それより上位に入っている曲

# 表記法は、(表7)と同じ
#「(OC) オリコン順位 売り上げ枚数」は、同日発売の曲のみ載せている

2013/12/09付
(BJ) 02位 [S]02位 [L]01位 (OC) 3位 05.8万枚 : 1週目 Perfume「Sweet Refrain 」
(BJ) 01位 [S]01位 [L]02位 (OC) 1位 39.5万枚 : 1週目 乃木坂46「バレッタ」

2013/12/09付
(BJ) 02位 [S]02位 [L]01位 (OC) 3位 04.9万枚 : 1週目 μ's「KiRa-KiRa Sensation!」
(BJ) 03位 [S]03位 [L]02位 (OC) 6位 01.6万枚 : 1週目 いきものがかり「ラブソングはとまらないよ」
(BJ) 06位 [S]08位 [L]03位 : 2週目 miwa「君に出会えたから」
(BJ) 01位 [S]01位 [L]04位 (OC) 1位 42.2万枚 : 1週目 乃木坂46「夏のFree&Easy」


「バレッタ」の「ルックアップ」2位については、1位に入ったのが、初動で5.8万枚を売り上げた、同日発売のPerfume「Sweet Refrain 」で、その楽曲人気の高さを考えると、乃木坂はデビュー2年目ですから、致し方ないと思います。

しかし、「夏のFree&Easy」の「ルックアップ」4位は、かなり危機的な状況を示唆している。

9枚目発売週の「ルックアップ」1位は、同日発売、初動4.9万枚のμ's「KiRa-KiRa Sensation!」で、ラブライブ系ユニットの曲です。

さらに2位は、これまた同日発売で初動1.6万枚のいきものがかり「ラブソングはとまらないよ」。

「夏のFree&Easy」の初動は42.2万枚で、26倍も大きい。

しかも、発売第1週なので、いきものがかりのレンタル回転率がいかに高くとも、26倍の差を埋めるほど、莫大な読み取り数になるとは思えず、乃木坂のコアファン数が、かなり少なかったと考えざるを得ません。


「夏のFree&Easy」は、初動が前作割れした初めてのシングルで、「ルックアップ」の4位落ち込みと併せて、9枚目で、ファン人数が急激に減少した可能性がある。

原因として考えられるのは、6枚目「ガールズルール」から始まった、握手会成績を重視した選抜起用、すなわち「握手会主義」に、嫌気の差したファンが、乃木坂を離れたことです。

握手会主義の徹底により、メンバーとファンは、CDの売り上げ枚数を伸ばすよう煽られ、8枚目「気づいたら片想い」は、AKB48「総選挙」のような状況を呈したものの、結局、握手会人気の順番はさほど変わらず、トップセールスを誇る西野七瀬が、センターに抜擢された。


握手会主義の流れは、9枚目「夏のFree&Easy」にも持ち込まれ、西野七瀬のセンター続投となり、加えて、「兼任」の松井玲奈が参加して、フロントの1枠を占めることになる。

「煽り」商法と理不尽な「人事異動」に辟易したファンが、乃木坂に見切りをつけ、グループを去り、その結果、初動の前作割れと「ルックアップ」の4位転落を招くことになった。

そういう解釈は、結構、妥当じゃないでしょうか。


当時の乃木坂ファンは、大きく二つのカテゴリーに分けられる気がします。

生田絵梨花、生駒里奈、星野みなみがフロントを務めた「生生星」時代に、南流石のダンスと杉山勝彦の楽曲に惹かれて、ファンとなった人たち。

もう一方は、握手会などのイベント参加を通して、「推し」メンバーを直接応援するファンで、松村沙友理、白石麻衣、橋本奈々未の「御三家」や西野七瀬の握手会人気を支える中核になっていた人たち。

前者は、楽曲への強いこだわりがあり、「生生星」を好む傾向があるものの、CDの複数枚購入に積極的でなく、「推し」のためにお金を注ぎ込むという発想は少ない。

対して後者は、積極的にCDを購入し、その「実績」によって、「推し」のポジションを上げることを厭わない。


「ガールズルール」以降に行われた握手会主義の徹底は、前者タイプのファンにとって、気持ちの良いものではなく、南流石と杉山勝彦も、なぜか乃木坂に関わらなくなり、楽曲そのものも、以前とは異なる方向に進み始めた。

そこに、公式ライバルだった筈のAKB48と、「大組閣」という名のメンバーシャッフルを強行したわけで、ついて行けないファンが続出しても不思議ではない。

9枚目「夏のFree&Easy」におけるファン人数の減少は、主に、「生生星」時代の楽曲を好み、握手会主義やAKB48との「同化」を嫌う人々の離脱が原因じゃないかと思います。


もし、10枚目以降も、握手会成績のトップメンバーがセンターに抜擢され、人事面と楽曲面で、AKB48との同質化が進んでいたら、乃木坂はさらにファン数を減らし、弱体化していたかもしれない。

ところが、初動前作割れという未曾有の危機に直面したからか、乃木坂は、珍しく最善手を打つことになる(笑)。

10th選抜における、生田絵梨花のセンター抜擢です。


当時、いくちゃんは、最高部数を全完売するメンバーではなく、握手会主義の観点からすると、「異例」の起用だと言えます。

しかし、「生生星」の1人で、高い歌唱力を持つ生田絵梨花をセンターに据え、「何度目の青空か?」の出だしを、彼女の生歌でスタートさせるスタイルは、乃木坂に嫌気が差しつつあった楽曲派ファンを引き止める効果があった。

しかも、紅白への初出場を目標に掲げたことが、崩壊しつつあったファン層を再び団結させ、グループの一体感を取り戻す契機となった。


ただ、握手会成績がトップクラスのメンバーを支えるファンには、すんなり納得出来ない面がある。

そこで、不満を緩和するため、センターを、西野七瀬と白石麻衣で挟む、今に続く基本パターンが編み出された。

楽曲派ファンの離脱を抑え、握手会人気トップメンバーのファンが頷ける選抜フロントを作り、紅白を目指したことが、乃木坂最大のピンチだった9枚目を乗り切る原動力になったのだと思います。


そして、乃木坂は、AKB48Gの「組閣」や「総選挙」には参加せず、以前のように、独立性を保つことが暗黙の方針として確立した。

つまり、9枚目と10枚目は、新しい乃木坂を生み出す切っ掛けとなったシングルで、(表8)が示すように、その後、最新の16枚目に至るまで、表題曲の発売週「ルックアップ」は、1位を逃したことがなく、ファンの大幅増加を示唆するシングルはあっても、「夏のFree&Easy」のように、大量離脱を感じさせるシングルはありません。

AKB48Gが、「大組閣」と「卒業」に揺れ動く中、乃木坂が安定したファン層と独立したコンセプトを維持したことで、前者から後者へのファン移動が加速した面はあると思います。


しかし、AKB48の例を見ても分かるように、初動が80万枚を越えているから、「ルックアップ」の1位が安泰とは限らない。

とくにパフォーマンスがマンネリ化して、歌唱にも、ダンスにも、斬新さが乏しくなりつつある現在、楽曲派ファンが、欅坂へ大挙して乗り換える可能性は高まっている。

さらに、乃木坂の強みだった、主要人気メンバーが「卒業」しない状況が、深川麻衣と橋本奈々未の相次ぐ「卒業」によって、変わりつつあります。


これらの不安因子が、17枚目以降のシングルで、深刻さを増していくと、「ルックアップ」の順位下落を伴う、初動前作割れが、再び発生するかもしれない。

メンバーの「卒業」はどうしようもないけど、音楽面でのテコ入れは可能で、フロントの選び方を含め、17枚目から「次」を見据えた策を打って欲しい。

48Gの楽曲指標が示すように、ファン人数の減少が加速し始めると、それを留めるのは至難の技で、まだ数字が良好なときに、改革を試みるのがもっとも効果的じゃないでしょうか。


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