ZOLLMENさんから2010年に発売されたファンシートイシリーズ「メゴ(MEGO)」。
インディーズソフビのムーブメントも何年も続くと多彩なメーカーさんからの
発売アイテムの中にあって、ひときわ極北と称すべきアイテムも
時折出てくるものです。そしてインディーズソフビが今なお好事家をひきつけるのには
コアなお客さんが手にした時に想像力を惹起する、いわば
「異端のミリキ」とでもいうものが特筆されなくてはならないところDeath。
そしてそういうアイテムはお客サイドの想像力によりアイテムのミリキが
補完されます。
このファンシートイ・メゴもそんな印象を強く持てるオリジナルソフビです。
まず、このメゴが「存在しないキャラクター番組のパチもの玩具」になっている
(のではないかという仮定ですが)という点がZOLLMENさんの異能ぶりを
示すところでしょう。
それは一体どういうことでしょうか。
「ファンシートイ」シリーズはマイナーな怪獣キャラクターのイメージを
昭和当時パチモノ業者がいかにもやりそうな「キワモノ的なアプローチ」をフルに
投入してZOLLMENオリジナルとして仕立てたソフビシリーズというところでしょうか。
そこには昭和のソフビTOY独特のキッチュさを性的、政治的にインモラルなメタファーを
こめて作る(ポリ玩具独特の成形時にできる穴をキャラクターの肛門に見立てて
ディティーリングする、卍マークや自爆テロなどをモチーフに取り込む)など、
曲者な仕上がりからアウトサイダー変態ソフビTOYとでもいうべき
異能のポジションを好事家の間にアピールしたシリーズ、といえます。
「メゴ」に配置されたサブリミナルなパチ・ゾッキキャラとしての
造形ポイントをみていきましょう。
このメゴは昭和のマイナー猿怪獣のモチーフを取り込んで作った「ファンシートイ」
シリーズで、メインのロビン一家のサブキャラ的な位置づけで製品化した
気配があります。
メゴ・ピンクとパープル。個々のキャラの名称はありません。
ぼんやり考えですが、この2体は没になったあるTV番組である「原始人類のファミリー
コメディ」をイメージしたのではないかと思います。
メゴ・ピンクの目の塗装はなんとなくサブリミナルにその点を想起させます。
メゴ・ピンク。
原始人特有の記号的なメインウェポンである棍棒を手にしています。
このモデルは当初EXOHEADさんにより製作された原型とは顔のつくりが
かなり違っているようですが、
初期のレトロ風造形として猿として作られた時点と比べると
アメリカの60~70年代頃のプラTOY風にだいぶグニュった造形へと
変更されています。
しかしこの造形の変更はこのキャラのパチもの風味をかえってよく出した結果へと
働きかけたように思えます。
同時のこのメゴのファーストカラーはフラワームーブメント時代の洗礼を
受けたおもちゃのカラーをどことなく想起させます。
メゴ・パープル。こちらは宇宙の未開の惑星の洞窟に巣食う単眼の猿人をイメージした
顔のディティールが施されたバリエーションタイプです。
ピンクとは持っているアイテムが違い、こちらは地虫のような細長い生き物が
付いています。
どちらかというとピンクは日本のソフビファン向け、パープルは
海外のソフビファンにアピールする風貌をしているように思えます。
このメゴは2体とも顔の部分の蓄光素材が別パーツになっており、胴体部分を互換して
いるのですが、この方式だと顔の違うメゴを何体でも製作可能なので、
もしかすると元ネタどおり7体の猿怪獣?原始人?をリリースするつもりだったのでは
ないか?などとかんぐったりもしてしまいます。
でも実際にその未製作で終わったTV番組が日の目を見ていたら、こんな感じの
キャラクターが集団で登場したモンドなキグルミドラマになったのではないかと
思います。
ある意味ZOLLMENさんの目線では「元から存在しない架空TVコンテンツの
パチモノ玩具としての製品化」をしたというところではないでしょうか。
原型師のEXOHEAD氏のブログを見ると原型の発表段階でピンクの顔の造形が異なり、
もしかすると「ファンシートイ」枠とは別個の猿怪獣として販売しようと
していたのではないか。
どうも原型製作以降にファンシートイシリーズに組み込むことにしたような
感じもうかがえるのですが、実際のところはよくわかりません。
昭和のチープなポリ玩具などでは本家の版権TOYではリリースされなかったアイテムが
(多くは作り手のパチ業者がよくわかってないために適当に雑誌などの写真を見て
見栄えのするキャラをセレクトをして)
製品化される事態が時にあるのですが、この「ファンシートイ」シリーズは
「発売時に経緯があった」架空のストーリーをも製作時に標榜した気配を漂わせます。
メゴのボディにあるディティールもポリエチレン玩具のブロー成形で出るっぽい
ざらざらした風合いにしている辺り、そこもいわば仮想のポリ玩具
を作ろうとした気配もうかがえる。たとえるなら映画にわざと白黒で撮影して
フィルムキズを入れて古い年代で作ったような
演出を施すのに近い印象を持たせます。
そもそも「存在しない番組のパチものをつくる」ことが、作り手がメゴを作る
ときに標榜していたとしたら。本当にそうであるならかなり狂っています。
ヌボーッとした、ソフビアイテムとしては無駄に大きくかっこよくない
スーパーロボットを、作りこんだディティールでわざわざ製品化した56や、
マルブルテイストで重度のシャム双生児の怪物・バジラを作る辺り、
やはりZollmenアイテムは独特の狂気や変態性を打ち出し、常に孤高・極北を
標榜することで、ソフビ界に独自のポジションを築いてきたといえるでしょう。
その面ではメゴもストレンジな発想から生まれたとしても違和感がないところですね。
この「ファンシートイ」もまたパチ怪獣ソフビシリーズとしての孤高標榜性というか
好き者にとっては評価ポイントとなるシリーズとなっています。
ZOLLMENアイテムには初期のガルタンから、「パチものの擬史運動」とも
いうべきソフビコンテンツ製作に一貫して作り手が取り組んでいることが
あらためて特筆されるところです。そこには受け手のみならず、作り手までが
過去に奇矯なパチ玩具を生み出した昭和のダークサイドに魅せられ取り込まれたゆえの
きわめて自家中毒的作風がもたらしたもの、というところなのでしょうか。
その点を明確に解読するには、今後作られるアイテムをさらに見とどけないことには
現時点でまだ決め手に欠けている感じがします。
現代において「昭和のパチモノ暗黒マーケットをディティールのみならず
キャラクターのバックボーンにイメージさせたアイテムを作る
メーカー」という作風に偏執的に取り組み「ファンシートイ」で
明確にそのポジションを獲得した印象のあるZOLLMENさん。
ソフビメーカーとしての新たな動きにも期待したいところDeath。
◎◎サントラ系でよく聴くやつ。大体テレ東系。
【Dorsey Burnette - Peaceful Verde Valley 】
国内版DVD化おめ。
http://www.youtube.com/watch?v=ye-IpUccRYA
【SQUIRM (1976) - End Credits Song "Shadows" 】
外人さんたちもわからないらしい。
この情報化の時代にあってもいまだシンガーの名前不明なのか。。。
タコもエンディングテロップを目を皿のようにしてみたけど
記述がないんですYO。70年代の洋画はそういう劇中曲の提供データが
表示のない映画がありマニア泣かせだ。
暴力温泉芸者の中原昌也曰く「ディジー・チェンソーのナンバーを
ぶっ壊れたCDプレイヤーでかけたような、気が狂いそうなイイ曲」。
http://www.youtube.com/watch?v=oAnBpDx5eVo
【Brave New Love/Alien (The Blob Soundtrack) 】
「宇宙からの不明物体ブロブ」エンディングテーマ。
ハードロックバンドのエイリアンが曲を提供。
「ブロブ」の国内ソフト化はいまだに果たされてない。
80年代のSF映画ではチャック・ラッセル監督の演出のキレがよく
「エイリアン2」に次ぐ名作だと思うんだが。
http://www.youtube.com/watch?v=1PDIDUz4FE8
【The last shark Opening Theme】
東京12チャンネルがテレビ東京にネットワークを拡大したときに
記念でオンエアした「ジョーズ」を模倣したイタリア製のパチ映画。
子供時分にどうしてこれがテレビ局の記念映画に選ばれたのかわからず、
特にすごく面白いというわけでもないのだが、今でも時々見返す、変な
個人的ポジションに置かれた映画になっている。
http://www.youtube.com/watch?v=mwqDq2cSD_M
【炎のいけにえ Finale /The Victim /Macchie solari(1974)Finale 】
作曲エンニオ・モリコーネ。名作映画・大作映画の曲もたくさん担当している
モリコーネだが、変態猟奇殺人サスペンス映画の時こそ
名匠モリコーネの流麗なナンバーの浄化作用はすばらしいものがある。
http://www.youtube.com/watch?v=1Sbxlrf-E-E