KADOMIUMTANK ソフビブログ

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ヨネザワ怪獣ソフビクロニクル

2012年12月02日 | 当時物ソフビ



ガメゴン。恐竜で言えばヴェロキラプトルのような敏捷で躍動感のある
ポージングができる、ヨネザワ怪獣のオリジナリティを強くアピールする
精悍な表情の赤い怪獣。きっちりとディティーリングされた甲冑とみまがう
マツカサのようなウロコが特徴。




昭和の怪獣玩具の中で特異な造形とインパクトで今なお好事家の間でも
収集対象として名高いヨネザワ(米沢玩具)のオリジナル怪獣ソフビ。
本家マルサン・ブルマァクや、恐竜ソフビや中岡俊哉氏の原作を持つ(といわれる)
オリジナル怪獣の展開で知られる大協、パチテイストも明確にしつつブームに乗り
手堅いつくりの怪獣を大量生産したミウラトーイなどとはまた趣を異にする
ワイルドな造形が現代においてもマニアのココロを離さない存在となっています。

当時ヨネザワから発売されたスタンダードサイズの怪獣はサイドン、ガメゴン、
ダブラ、宇宙原人、ワニバの5種類。















ダブラ。ゴジラのような重厚な胴体に2つの小さい頭部を持った異形の怪獣。
胴体をメタリックグリーンとブルーで二分したペイントが施されており、
スカムテイストが横溢。









サイドン。頭の上には鬼のような角を2本、鼻の上にはケラトサウルスのような1本角。
凶暴さではガメゴンにひけをとらないであろうアシッドな表情がアピールポイント
となっている二足歩行の恐竜型怪獣。肉食竜のように上を向いたポーズで敵を威嚇する。顔の造形にはどこか獅子など民芸品の獣を思わせるいかつい凹凸が入り
強面感がある、背中のウロコの表現はソフビ造形の枠を超えた味を
かもし出していることなど、手にとってさまざまな角度に変えて眺めるごとに
興味深い造形ポイントを多彩に見出すことができる怪獣ソフビ。










ワニバ。シリーズ唯一の4足歩行の現存する爬虫類タイプの怪獣。ワニのような
姿に大きなセビレとツノを持ち、アメリカのSF映画に登場する突起を付けた本物の
爬虫類のような生命感を持った怪獣。ワニのようなザラザラした皮膚を持ち、
牛のような歯列が並ぶ表情のモンド感はサイドンにもひけをとらない。

ヨネザワ怪獣たちは当時の成形技術がまだ未途上のものだった上、
怪獣ソフビ製作のノウハウをもたないためか
首やカンチャク周りなどの造形が安定していないものが多く現存状態の良好な
ものが少ないです。
ソフビ成形も薄皮で破損しやすい状態であったため、当時品は遊んでいる間に
壊れたりなどして各家庭の判断で処分されるケースも少なくなく、ゆえに
現代では希少なソフビとマニアには見られています。同時に当時も怪獣ブームに乗って
売り切った販売形式であった気配で、再販などもなく結果、当初の販売分しか
出回らなかったのではないかと見る好事家が多いです。

ヨネザワが怪獣関係の商材に力を入れていたのは怪獣ブーム時のごく1~2年、
ごく短期間にとどまった様子でブーム便乗型だったのは明確。
ゆえにヨネザワ怪獣関係のおもちゃも今だその存在には謎の部分が多く、
ソフビ本体の収集だけにとどまらない、永久に答えが出ないであろうにも
かかわらず考察の余地を持つソフビシリーズとして末永く愛好の対象とできる
豊穣な魅力を持ち合わせています。

ウルトラ怪獣や東宝怪獣では出せなかったであろう荒々しくも勢いのある造形や表情に
独自の魅力を湛える彼らは、昭和の混沌とした怪獣ブームがもたらした
突然変異的なミリキと同時に、昭和でなくては生まれ得なかった、
そしていかにも時代のあだ花ともいえる
インパクトと新鮮さを見る者に提供する怪獣ソフビ玩具といえるでしょう。
昭和の怪獣ブームが持つカオスな空気そのものがヨネザワ怪獣のディティールに
刻まれているといっても過言でなさそうです。