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ドリーム仮面/中本繁復活

2013年08月29日 | コミック・アニメーション



消えたマンガ家の復活。

2月からタコブログが停まってる間、タコもあちこちイベントには行ってはいたのですが
その中でもインパクトが大きく忘れがたかったのが、ビリケンギャラリーさんで
2月下旬に開催されていたこの個展。アーカイブ的に掲載しておきたい。



1972年に「ドリーム仮面」を「週刊少年ジャンプ」に
連載し、その後表立った作家活動はしていなかった
なかもとしげる(中本繁)さんの個展。

ビリケンさんからこの個展とタイミングを合わせ、
40年ぶりにドリーム仮面の物語を語り継ぐ完全新作絵本
「ドリーム仮面 ぼくだけの家」を出版し、健筆を振るっている。
ホンワカしててシュールで、不思議な漫画でしたね、ドリーム仮面。


90年代に大田出版の「消えたマンガ家」という単行本の中で
編集部の追跡調査があり、なかもと氏の消息が明らかになり、
建築関係の仕事をされながら、個人として漫画を描いておられたり
表現活動を続けていたことが判明したときは、何かホッとするものがありました。




ビリケンさんのこの個展では、なかもと氏本人が連日来廊されて
普段行っている子供さん相手の紙芝居を実演してくれたり
ウクレレを伴奏してくれたりするなどのサービス精神を発揮、
子供たちから悪夢を取り払ってくれる癒しのヒーロー、
「ドリーム仮面」の復活をアピールしてくれる一幕となりました。





当時のままのファンタスティックな絵柄を描き、
ドリーム仮面の「愛」「夢」を世に問うなかもとさん。
愛用のウクレレを携える。



絵本「ドリーム仮面 ぼくだけの家」の絵コンテ。
本と違う構成の部分もあり読み比べると面白い。



なかもとさんの不思議な作り物も一挙公開。
これは「飲みすぎをセーブする神社」らしいです。

神社に柏手をたたくと飲みすぎないようになるとの話。なかもと氏もお酒が
好きなので自分で神社を作って拝み、お仕事や作家活動に支障をきたさないように
体調を整えているのだそう。会場でもたくさんのヒトたちが願をかけていました。
「お酒は適量ですよ、でも禁酒も人生から楽しみを
なくすようなもので、ちょっとさびしいですものね」との話。

なーんとこの神社に拝んだら、自分も飲みすぎが治りました!
遅ればせながら今回の記事掲載はその報告みたいな部分もある。

さすがドリーム仮面の生みの親だけある!



1972年連載当時のジャンプに掲載されている「ドリーム仮面」。



ドリーム仮面の掲載されている頃は「侍ジャイアンツ」とか「マジンガーZ」の
永井豪ちゃん版を連載。グロゴスG3が裸の女の子を人質にして暴れてた頃です。
もう40年も経ってるんですね。。。

「当時はとにかく毎週ジャンプの漫画制作で夢中でがむしゃらだった」ようです。

ドリーム仮面も後半は悪夢との戦いで苦戦しやがて迫る子供たちとの別れを前に
苦悩もしていたんですが、それはなかもと氏自身の「漫画を子供たちに読んでもらう
ことでいっしょに遊んでいたい」という心の叫びをそのまま映していたのかも
しれません。ホンワカとした絵柄なのに連載終盤の重み、子供たちとドリーム
仮面のしばしの別れの物語は、今も印象に残っています。



こちらがビリケンさんから2013年に出版された
完全新作絵本「ドリーム仮面 ぼくだけの家」の表紙原画。
タコも買って来たんですが、2000年代にドリーム仮面が活躍しているという
事実がこうして絵本になったということが、本を開くたびに何か言葉にし得ない癒しへと
つながります。

当時ドリーム仮面を読んだ経験のあるヒト、そうでないヒトもフルカラーで展開する
ドリーム仮面の活躍にはインパクトを受けると思います。
子供たちの悪夢を取り除くためにドリームマシンなる機械でインナースペースに
入っていくというアイデアは洋画のSF作品で「潜脳」とでもいうプロットが
登場する遥か30年も先を行っていました。



連載当時にドリーム仮面にいたくインスパイアードされたヒトたちの創作も。
本ギャラリーではおなじみの作家さんによる
作品展示も。上は努さんのイラスト。努さんらしく、サイケな夢の中の
怪獣が描かれています。お姫様と王子様の悪夢に入って魔法使いと戦っている
ドリーム仮面といったところでしょうか。



こちらはきぐるみ怪獣アーチスト、PICOPICOさんが立体化した
ドリーム仮面と仲間たち。ドリーム仮面のキグルミってあったら
ゆるキャラみたいで人気でそうですね。





「消えたマンガ家」の文中でも登場した、当時ジャンプに連載していたときに感動して
「ドリーム仮面」を私家版にファイルして表紙をつけていた方の貴重な一品モノ
コミックスも展示。熱いな~。でもこの私家版がなかもとさんへのファンのよびかけ
にもつながったのですものね。









なかもとさんの「くるくる紙芝居」。ユニークでびっくりする
ギミック満載で動物たちが変身したり、動いたりとこれはライブで見ると面白い。
アナログならではの面白さ。これが漫画にも出てくるドリームマシンで見る
夢の中のセカイそのものなのかもしれません。
子供たちも、この紙芝居が巡回してくると毎回拍手喝さいで大喜びなんだそうです。

この個展のときも当時のジャンプ担当氏(「キン肉マン」や「1・2のアッホ」
の登場人物モデルにもなっているあの担当編集者さんです)も遊びに来て、
なかもと氏と楽しそうに旧交を温めておられたのも印象的でした。

このビリケンさんの個展の後も本格的な作家活動の再開が進んでおり、なかもと氏が
健筆を振るう姿が見られるのは喜ばしいですね。

そう、40年の時を経過して、なかもとさん自身がすでに
ドリーム仮面本人になっているのではないでしょうか。

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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
面白い記事でした。 (over023)
2013-09-22 14:14:17
検索の神様に ドリーム仮面を入力してみると
あるんですね、結構。
僕にとって漫画家になれる可能性を得たのが この作品でしたから 懐かしい限りです。
おとなしすぎて 永井先生と一緒に掲載されていると陰が薄い存在でした。
編集者は、マーケットを間違えたんじゃなかな。
今思うとですね。(笑) 
懐かしいテーマをありがとうございました。
返信する
Unknown (タコペッティ)
2013-09-22 22:57:29
>over023さん

はじめまして、このたびはご高覧恐縮至極。
ドリーム仮面とその作家さんの件は自分にとっても
伝えすにいられない
出来事だったなと思います。

over023さんのブログの記事も拝見しまして
重ねて恐縮です。
そうなんですか、ドリーム仮面は何か万人の
持ち得る、創作することの楽しみが
そのまま漫画になったような作風でしたものね。

ほかの漫画が絵が連載を続けていくうちに
磨かれて緻密になっていき気づくと読者には
近づき難いスキルからどこか遠い存在に
なっていくこともある中、このなかもとさんの
漫画はどこまでも読者に親しく身近で、
自分も氏のように漫画を描いてみたいと
思わせるような要素がたしかに
あります。でも同じような漫画を描くのは
じつは難しいんですよ、
やはりこの方でないとドリーム仮面は
書けない気がします。
だから一度は「消えた」んでしょうね。

自分も太田出版の「消えたマンガ家」でなかもとさんの
装束が明かされるまで、どうしているんだろう?と
漠然と考えていたことが何度かあったので、
over023さんホッとされたのはよくわかります。

この記事には詳しく描いてないんですが
ご本人によると、ドリーム仮面が終わったあとは
また週間雑誌で毎週漫画を描きたい
という想いと連載当時の苦しかったことが
ココロの中で行き交い、
逡巡の日々にとらわれていたようです。。。
ご本人はにこにこして話してくれたのですが
ゆえに30年以上前にあった逡巡の重みを感じました。

それとマーケティングの面ではたしかに
ジャンプの漫画としては当時でも異質ですね。
その後のジャンプ作品、「ついでにとんちんかん」や
大場つぐみさんの「ラッキーマン」を思わせるところが
ややありますが。。。あくまで自分の推測ですが、
いわゆるジュビナイル系の少年漫画がこの70年代
の中頃にははやっていたのでその流れで期待をかけて
掲載されたのではないかと思います。
今でいうアンパンマンみたいな作品が一般に
注目される前なので
(アンパンマン自体はあったが)「ドリーム仮面」は
何かジャンルの萌芽を持つコンテンツだった
ようにも思えます。

とりもなおさず、
ご本人の屈託のない現在の笑顔はそんな
苦悩の果てにもたらされたものといっても
過言でないようです。

しかし今はネットでこういう漫画の表舞台で見かけなく
なり、その後どうなったのか気になっている作家さんの
消息もある程度うかがい知れるようになったので
時に少年期のココロの霧が
晴れるような時がありますよね。

ビリケンさんのほうでなかもとさんの著作を扱って
いるので、また何か氏の活躍や進展があったら
自分も記事で紹介しようと思います。
このたびは記事を楽しんでいただき
ありがとうございます。自分もなかもとさんの
現在の元気な姿を当時の読者のヒトに
お伝えすることができて、とてもうれしいです。

over023さんのブログも自分的に興味のある
エントリが色々あるのでじっくり読ませて
いただきますね。
返信する
中本繁先生 (深川 姉御家)
2013-10-12 10:03:08
はじめまして。

検索したら、こちらが、ヒットして、読ませていただきました・・・

仕事中の中本さんに、昨日ばったり会いました。

実は、私の彼氏と、建築屋さんで

コンビで働いていまして、

すごい方なのですね~~、びっくりしました、

貴重な情報有難うございます。
返信する
Unknown (タコペッティ)
2013-10-12 10:29:20
>深川 姉御家さん
おはようございます。ブログにお越しいただき多謝です。
それはそうとこちらも中本さんの日常とつながる
意外なお話をお聞かせいただいてびっくりしています。

へえ~そうなんですか、彼氏の方が中本さんの同僚で
おられるんですね。最近出版されたドリーム仮面の
本も家を建てる話なんですが、普段の仕事の延長で
お話をイメージしたと上の記事の取材のときに
中本さんからお聞きしました。

本当にすごい方なんですよ。今も40年前と同じ絵や
お話を描くことができたりとか、
なかなかできないですものね。

そして建築屋さんで家を建てる仕事も
住む家族の夢をかなえる仕事なので
ドリーム仮面の任務の一環といっていいかも
しれません。
そして彼氏の方はドリーム仮面の良き相棒ということで
彼氏の方もすごいですね!

またイベント等でお見かけしたら中本さんの
近況など記事で紹介したいと思います。
普段はごく近くにいる方
なので不思議な感じがするかもしれませんが、
今後の中本さんとドリーム仮面の活躍を
ネットで見かけたら
是非彼氏の方といっしょに応援してあげてください。
返信する
Unknown (深川 姉御家)
2013-10-12 10:54:13
Unknown (タコペッティ)さま。

ご返信ありがとうございます。

とても、うれしいです。

中本さんは、深川姉御家に、サインや、本を

提供してくれてます。一度ご来店くださいましたが、

それからは

いつも、お店に来たいと言ってくださっているのですが

彼氏のほうが、恥ずかしいのか???、

完全に阻止されてます。

残念ですけどね。

しかし、今の、お住まいのドリーム仮面名刺など持って

いるので、ご連絡はできるのですけどねっ。

皆で、応援したいなっ☆と思いました。

いろいろと、有難うございます。感謝いたします。






返信する
Unknown (タコペッティ)
2013-10-12 11:22:49
>深川姉御家さん

どうも~。そうか、今検索jしたら、深川さんのところは
居酒屋さんだったのですね、何かそれっぽいお名前だと
思っていたら。下町のいい場所にあるんですね。

お店に中本さんを連れて遊びにくるには
彼氏のヒトもちょっと「照れ」があるのかな。
きっと場が楽しくなるでしょうけどね。

90年代後半に中本さんがどうしているかわからない頃に
捜索にきた雑誌社の記者さんがようやくたどり着いた
アパートの前にきたら手作りのちょっとしたおもちゃが
置いてあって「よかったらどうぞ」と
書いてあったという話などありました。
ひとつひとつのエピソードがホンワカする方
ですよね。。。きっと深川姉御家さんとのかかわりでも
今に新しいエピソードが生まれるんじゃないかと
思います。
こちらこそ、中本さんのリアルな日常が
うかがえるコメントをお寄せくださり
ありがとうございます。すでに応援になって
いますよ。きっと中本さんの近況を
知りたくてこのブログにきてくれた閲覧者の方にも
コメントが目にとまることでしょう。
返信する
古い記事にm(__)m ()
2014-03-09 17:28:07
つい懐かしくて。
夢のある作品でなんとなく好きでした。
それを高校の同級生に言った記憶があります。そうするとソイツが、この漫画家はいとこだと言いだしました。元々ホラ吹きのヤツ(笑)で信用は。。。ある日、いとこに書いてもらったと言う物を見せられ信用した…な事がありました。
その後、大学で私の後輩にその同級生が…1年も見ませんが。そして偶然入った喫茶店の店長に…その後一回も見ない(笑)…何が縁のあるヤツでした。
ごめんなさい、中本さんの話題ではなく、懐かしくて。
でも「いとこ」って本当かな(笑)。中本さんに北海道東部に実家があるなら…床屋さんが実家なら、行った事があります。
返信する
Unknown (タコペッティ)
2014-03-09 21:30:54
>nさん

こんばんわ。ご高覧多謝。

この作品の話を聞くと、各人それぞれの「当時読んだ
時の生活」「どこで何をしてたか」等に話が広がっていく
ことが多いですね。ふわんとした絵柄で読んだヒトの
キモチを受け止める、そんな作品だからなのだろうか、
と思います。
以前、なかもとさんの消息が当時の担当編集
者さんも不明だったときに
大田出版の「消えた漫画家」という記事の
スタッフの方たちが調べていき、
だんだん判明してくるくだりを雑誌で読んで20年以上の
空白が埋まる過程も忘れられなかったです。
この記事でほかの漫画家さんがすっかり漫画のセカイ
から離れていたり、すでに亡くなっていたりする中で、
しかもなかもとさんは当時から中断はあれど、
漫画を描くのをやめておられなかったのですから。

時の隔たりもそんな感じで突然、
埋まっていくことが多いですね。
きっとお知り合いの方たちと再会するときも
そんなキモチになるのではないかと思います・
不思議と身の回りでなかもとさんとつながっている
ヒトが多くて、この記事のコメントにも書き込んで
くださるんですよね。自分も
掲載してよかったと思います。
またビリケン関係でなかもとさんの近況や活躍が
あったら掲載しますね・
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