大関谷風VS三段目鎌倉

　去る平成七年十月の拙作＆私家版『相撲史発掘』第20号
に掲げた「横綱谷風梶之助　詳細星取表」の対手括弧内の
“地位”に誤りがあった。
　天明六(1786)年十一月場所二日目で、「○鎌倉」の地位が
幕下〔番附外〕となっていたのは、三段目格の間違い。
　但し、当場所の番附に鎌倉は載っていないので、何枚目格
と推定するのは非常に難しい。翌天明七年五月場所〔興行
中止〕番附では東三段目３に鎌倉鉄之助の名がみえる。
　この鎌倉は同六年冬、大関谷風のほか幕内力士と…━。

初　日　前一　柏　戸
三日目　前五　出羽海　
六日目　関脇　宮城野
七日目　前三　関ノ戸

━いずれも歯が立たず黒星を頂戴している。
　天明七年冬かぎり江戸を去って、京阪の土俵へ…。

　誠に赤面・汗顔の至りだが、天明六年三月の初日、
●関ノ戸(西前二)─片男浪(東三段目2)が脱落していた。

売国奴の謀略

　『よくわかる慰安婦問題』から抜萃してみたい━。

〔前略〕韓国人慰安婦だけでなく、戦前の日本人娼妓ら
に対しても日本政府は公式謝罪し個人補償をしなければ
ならず、また責任者を処罰しなければならないはずだ。
また、同じことが一九七〇年代までの韓国の売春婦らに
対しても成り立つことになる。ところが、戸塚〔註＝…悦朗
弁護士〕が国連人権委員会に「性奴隷」として告発し続け
ているのは慰安婦だけである。ここにも戸塚の偽善が表
れている。〔中略〕慰安婦とさせられた女性も、戦前、吉原
など遊郭で働かされた女性もみな、著しく人権を侵された
歴史と貧困の被害者であり深く同情するという立場を貫い
てきた。そのうえで、慰安婦は軍の強制の犠牲者だから
人権侵害の度合は遊郭で働かされた女性よりも著しく重い
とする「性奴隷」説に反対してきた。〔中略〕外務省が日本の
名誉を守るための努力をすべきなのだが、それがまったく
なされていないため戸塚らの国際謀略が成功している。

　兎に角、公娼制度＞慰安婦問題であるはず。

20年前のあやまりを正す

　明治二十二、三年に北里柴三郎によって“菌”が発見
された破傷風で歿した元大関白川関右エ門の幕内(←
上段)対戦相手地位つき星取表を発表したのは、平成
五年…だから、もう20年前のことだ。
　問題は、明和六(1769)年冬場所━『日本相撲史』の
見出しには…十月、星取表中央に十一月…とあるので、
当初十月の予定が延びて十一月に開催された━と勝手
に判断したのであった。
　それで当該、詳細星取表の明和6.11
やややや　場所中に歿す
━と独断で記入しておいた。
　しかし、「十一月」は「十月」の誤謬であり、白川の
歿年月日は明和６.11.23〔勿論旧暦〕だから、当場所
10日間全休で、場所後に急逝が正しいわけだ。
　尚、大関のとき志賀右エ門じゃぁないから『江戸時代
相撲名鑑』の見出しはいただけない。

医博３代

　 北里　柴三郎
嘉永五(1852)年、熊本生れ。昭和六年歿(78歳)
　最大の業績はペスト菌の発見だが、破傷風菌も培養…。
244年前、大関白川は破傷風のため亡くなっている。

　　秦　佐八郎
明治六年、島根生れ。昭和十三年歿(65歳)
　細菌学者。梅毒の治療薬サルバルサンを……。

　小松　經雄

　秦は北里に師事し、小松は秦に師事していたらしい。

　尚、北里…は、東京大角力協會に要望書を…。そのなかには
“ゆるふん”で相撲を取るな云々。

人物像がすこしばかり…

　北里研究所の小松博士━この人物像がすこしばかり
わかってきた。彦山光三が「編輯兼發行人」の『相撲』へ
寄稿したり・座談会に出席した医博の小松經雄だった。
　昭和十二年の新年號「清水川關について」から━。

　清水川關を私が深く識る樣になつたのは、健康診斷の
ために北里研究所の附属病院へ訪ねて來た折からです。
〔中略〕彼が入口で小聲で看護婦と「ヒソ〵」話して居たの
は、私はよく、親方に公然言へぬ樣な病氣で診察をうけに
來たり、本當の事を言はなかつたりする若い者をどなりつ
けるので、彼も巡業中帰京して私を訪れたのでは、或は私
から頭ごなしに叱りつけられると杞憂したらしいのです。
併し會つて話を聞けば、其の心掛けは實に立派なもので
すし、又診察した結果何も人の前に恥づべき種類の病氣
ではなく、力士として公然堂々表口から來て治療を受けて
然るべき病氣なのです。〔後略〕

　昭和の名大関清水川元吉、後年寄追手風。「若気の至り」
で師匠から破門され、のち父親の自決をもって特例措置で
復帰をゆるされ、幕下筆頭から再出発━異色力士のひとり。