春章画「谷・小野の仕切」天明末期?

　日本文化のひとつに「浮世絵」があり、
それが多色刷━いわば総天然色なのを
「錦絵」と称する。
　相撲史研究において、「写真」なるものが
なかった時代、錦絵は貴重な資料なのだ。

　拙作『相撲史発掘』次号折込みが片面に余
白を生じて━否、全然白紙なので、「なんで東・
西が“逆”なのか?」パート２を掲げることに
した。前回は、時代がまったく異なる２種を
俎上に載せたが、今回は同時代両力士の２種
を採りあげる。

　その一は、寛政元(1789)年冬場所七日目の
谷風・小野川 横綱伝授披露の図であり、左側
に東…関の小野川が…、右側に西…関の谷風
が配置された勝川春英えがく錦絵。
　その二は、谷風・小野川が土俵上で仕切り
の構え━当時、立合いに掌をつかなくてOKの
解説をした記事も。勝川春章が絵師である。
この図は、左側に谷風、右側に小野川が配置。

　問題は、寛政四年歿の…春章が制作した年代
が曖昧模糊なのだ。どうやら、寛政期に非ず、
天明末期の七～八年の作品らしい。谷風・小野川
がともに東西関脇で対峙した頃〔大関は看板的〕
と思われる。

全敗が消えた星 その251

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　昭和四十年名古屋場所、初日から十一日目
までの星取表を真っ黒に塗り潰したのは、元
関脇の前田川だった。
　翌十二日目、白星を得て連敗脱出━幕内全敗
が消えている。
　当場所、中堅力士で地味な存在の宇多川が
二日目から14連敗など、新旧交替を思わせた。

　鳥渡ばかり話題を変えれば、いつだったか、
宇多川が本姓の宇田川と誤記された番附が出
たが、気づいた関係者は急遽訂正して発行。
だから誤記番附が少数のため“骨董価値”に
…。残念ながら当方所蔵は訂正されたもの。

次号コラム 「出投げ」と「捻り」について

　決り手の約３割は「寄切り」だが、現代相撲では
「寄出し」の方が多いと思う。「寄出し」・「押切り」・
「突放し」が決り手名称から除かれたのを故 小坂
秀二氏は批判していた〔協会「取締」最長記録をもつ
春日野親方(元横綱栃木山)も訝しく感じていたらしい〕。
けれど、昔の決り手はもっと杜撰だった。例えば、昭和
三十四年まで上手出投・下手出投を区別せず何れも
「出し投げ」と記録された。更に、同三十八年の彦山光三
選抜175技より━【中略】──昭和十年頃まで、読み方の
異なる「頭捻」を含み計１４技も名称を一緒くたにして
「ひねり」と表現。当時の記者だって有能の士が存在
したはずなのに…遺憾至極でやりきれなく思っている
次第。

三役陣の出欠情況 その90

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　文化六(1809)年春場所の三役陣。

東大関　柏　戸　10日間を皆勤
西大関　雷　電　五日目のみ不出場
東関脇　鬼面山　七日目　　〃
西関脇　玉　垣　10日間を皆勤
東小結　大　岬　　　〃　全休
西小結　戸田川　　　〃　　〃

　雷電・鬼面山とも「や」は相手に休
まれたのかも…〔現代ならば不戦勝〕。

　両小結は前場所につづいて欠場。体調
不良だったのか・否か…?

最早「専守防衛」では危ない

　なんでアメリカ合衆國は北朝鮮非民主主義国家
への“軍事対応”を躊躇しているのか。その理由
は次の３点に要約されるであろう。

①朝鮮半島の地形は凹凸が激しく、中近東の砂漠
地帯での“地上戦”よりも甚だ過酷になり、米軍に
限らず相当な犠牲者を生ずる━ことを覚悟せねば
ならない。だから半島有事における「地上戦」は絶
対回避したいのがアメリカの本音だ。

②仮に、北の“軍事施設”のみを潰滅させたいと
意図しても、仮想敵国北…は“地下要塞化”を徹底
しており、偵察衛星でもすべて“把握”するのが困難
なのである。〔偵察衛星画像解析度は凄い━或る人
物が某建物に入った場面までわかる。けれど“地下”
の容子まで窺い知ることは不能。〕

③兎に角、先制攻撃をやれば北が報復攻撃するのは
100％確実で、大韓民國・日本に相当な被害を生ずる
ので、同盟国の“絆”としては念頭におくはず。

　いくら中華人民共和國が「対話」による平和的解決
と強調しても、第１当事者たる北朝鮮にその意思が
ない。親父の金正日は度々中國を訪問したが、今の
独裁者は“外交”をてんでやらないに等しい。

　アメリカは、全土が北の核搭載ミサイルの標的に
なるまで、「戦略的忍耐」をつづけることはできまい。
　「アメリカファースト」だから同盟国がどうなっても
自国の“国益”を優先するはずであろう。