幕内最多勝利数の軌跡 その６１

　寛政六(1794)年冬場所。

　西方の谷風・雷電に対して、東方で
「孤軍奮闘」的な感じの横綱小野川は、
10日間全休。
　横綱谷風は、当場所過半を休んで、
４日出場し４勝。通算２５８勝を記録。
　関脇雷電は、七日目幕内中堅の和田ヶ原
と預り相撲を取ったほか８勝“土つかず”の
好成績。

　扨て、天明二(1782)年以来ずっとトップ
ランナーを誇った谷風が翌七年旧正月九日
逝去。彼に替って最多勝利力士は果して…?

旧軍部に「空軍」なし

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　『相撲』最新号を街なかへ購入に
往復１時間を要して時間的余裕がな
い。
　それで、鳥渡ばかり相撲史から離
れる。

　さきに軍部━と、書いた。
旧大日本帝國には陸軍・海軍だけで、
「空軍」なんて存在せず、大戦争には
「制空権」なるものが“もの”を云う。

　たしか、数年前だったか、北がミサイル
乱射してた頃、米軍が北への「領空侵犯」を
やったことがあったんだ。
　ところが北からはなんの“反応”もなく、
その責任者の“粛清”なんて話も全然伝え
られなかった。
　つまりだな、北朝鮮の領空は「無防備」
だったことを露呈━多分、世界の指導者たち
は“認識”を新たにしたであろう…。

　池上彰氏は、北が米に対してトラウマ云々
と解説しているが、鳥渡ばかり違うと思う。
　「在韓米軍」の存在意義とは、北の“南侵”に
対する“抑止力”以外のなにものでもない。
　

海山太郎 列伝

　「海山 太郎」なる醜名の力士を列記
してみたい━。

①前頭筆頭・高知・海山太郎〔改名歴なし〕
　嘉永・安政・萬延・文久・元治・慶應・
明治・大正・昭和の実に９代を生きた稀有な
名力士なのである。〔尤も、嘉永は４箇月ほ
どかな。昭和は５日間にすぎないけど…。〕
　弟子の太刀山(東関)廃業して間もなく年寄
友綱も角界を去った。旧國技館建設にも尽力。

②関脇・高知・海山太郎(←鏡川)
　初代引退後３年足らずで入幕。弟子玉錦の
横綱姿をみることなく、昭和6.6.6に逝った。
年寄名は二所ノ関。

③関脇・香川・海山太郎(⇔神風正一)
　軍部〔陸軍か海軍なのか知らぬ。〕からの
“物言い”に因って改名した。特殊事情で、たった
２場所のみ。

④前二・佐賀・海山太郎(←大天龍光則)
　海山のとき最高位なので某書見出しは穏当。

相撲字で区別不能? 巳・已・己

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　悲運の松浦泻に次いで佐賀県出身で
入幕したのは、横綱大鵬の師匠となる
佐賀ノ花である。鰭之山・雪見山以来
３人めの佐賀出身大関だ。

　鳥渡ばかりの問題点とは…。

　手許のK社〔現在では映画製作も…。〕版
「漢和中辞典」に次の記述がある。

　古歌に「ミ・シは上、ヤム・イはスデニ
中ばなり、オノレ・ツチノト・コは下につ
く」と字形の相違を教えている。

　相撲番附文字の名人、鏡山(←式守)勘太夫氏
は知らなかったか…通用しなかったけど……。

　『近世日本相撲史』③あたりに「佐賀ノ花
勝己」とあるのはいただけない。
　鏡山氏以前の筆に成る番附には「…勝已」と
表記だとする。そして本名は「北村勝巳」と
したい。

謎の力士 梅ヶ崎

　明治・大正期に東京大相撲で入幕
した佐賀県出身入幕力士は皆無と云う
主旨を既述した。

　しかし、迂闊にも１人曖昧な力士が
いたことを忘れていた。

　明治二十八年…入幕の梅ヶ﨑初太郎だ。
幕末、慶應三年生れとされている。
　大横綱Ⅰ梅ヶ谷の弟子なのに、出身が
福岡県なのか・佐賀県なのか…はっきり
していない。歿年も未詳だ。

　拙稿「長崎県出身入幕力士一覧」では、
松浦川→時聲→錣山の出生地を「佐賀県境
附近?」と強引に決めてしまった。

　それで、梅ヶ﨑を「福岡県境附近?」と
して佐賀県出身入幕力士に加えることに
したい。

　尚、HPでの略歴には「佐賀県」とあるが、
「福岡県」はカットされたらしい。