大正二年一月十七日づけ『時事新報』相撲記事つづき
▲米國大使と鳳 アンダーソン氏は夫人同伴、秘書官等
同道、七日目にも来観する相で、六日目桟敷を申込んで
来たが其主眼は鳳対常陸の一番にあるのだ相な
▲酔漢四階に狂ふ 午後三時半土俵は今小常と緑嶋が
東西から場に登つた所、東側の四階の欄干に白シヤツの
上へ紺の腹掛一つの先生が手を掛けて突立ち、素頓狂な
銅羅声で「ヤアー小常陸イ確かり遣れ頼むぞ々々々」と
危なく転げ落ち相な体に、満場の視線が【5字判読不能】
に向く当人いよいよ猛り狂ふ「【3字判読不能】負たら
スコズコ逃る、勝つたら威張るンだ」と我鳴り散らし立ち
狂つて居たのを茶屋の出方数名が漸つと賺して館外へと
連れ出した其れから中入後にも東桟敷と東二階とがワアー
ツと総立ちの喧嘩があつた薮入で威勢のよい口の荒らい
職人連が多かつたからである
アンダーソンなる名前は多いらしく…人物像を調べる
ことができない。
いつの世にも…質(たち)の悪い酔払いがいるもの━
酔漢に対して寛大なのは…考えもの。
▲米國大使と鳳 アンダーソン氏は夫人同伴、秘書官等
同道、七日目にも来観する相で、六日目桟敷を申込んで
来たが其主眼は鳳対常陸の一番にあるのだ相な
▲酔漢四階に狂ふ 午後三時半土俵は今小常と緑嶋が
東西から場に登つた所、東側の四階の欄干に白シヤツの
上へ紺の腹掛一つの先生が手を掛けて突立ち、素頓狂な
銅羅声で「ヤアー小常陸イ確かり遣れ頼むぞ々々々」と
危なく転げ落ち相な体に、満場の視線が【5字判読不能】
に向く当人いよいよ猛り狂ふ「【3字判読不能】負たら
スコズコ逃る、勝つたら威張るンだ」と我鳴り散らし立ち
狂つて居たのを茶屋の出方数名が漸つと賺して館外へと
連れ出した其れから中入後にも東桟敷と東二階とがワアー
ツと総立ちの喧嘩があつた薮入で威勢のよい口の荒らい
職人連が多かつたからである
アンダーソンなる名前は多いらしく…人物像を調べる
ことができない。
いつの世にも…質(たち)の悪い酔払いがいるもの━
酔漢に対して寛大なのは…考えもの。