一口馬主とトライアスロンを楽しむ

一口馬主歴17年(現在は社台、サンデーのみ)。脱メタボで始めた運動が、今はトライアスロンを。お気楽な40代男のブログ。

チャイルド44

2011-07-16 21:15:44 | Books
先日、こんな本読みました。



この作品は、2009年の「このミステリーがすごい(海外編)」の1位のうたい文句で、本屋に売られていたのを購入しました。

これは、ソビエト連邦時代の1978年から1990年にかけて起こった、アンドレイ・チカチーロ事件をモデルにしたサスペンス。

アンドレイ・チカチーロ事件とは、ロシアの広い範囲で52人もの少年や少女、女性をレイプし殺害した事件。

昔、ロシアでそういった事件があったという話は何となくしってはいましたが、買うときにはそういう意識はなく、読んでいるうちにソ連時代に、おもに子供を狙ったとんでもない数の連続殺人事件をモチーフにしているのかな?と思う程度でした。

ただ、時代設定をスターリンが亡くなった1950年代に変えた事で、全体主義、密告奨励真っ盛りのソ連時代の主人公を取り巻く社会背景の恐怖を克明に描き上げ、この猟奇的事件とリンクさせることで、ホラーサスペンス張りの恐怖感を、読む物の心にストレートに打ち込んできます。

サスペンス自体のクオリティーは、まあ普通のように思いますが、ソ連時代の恐怖政治の恐ろしさ、社会構造の滑稽さを垣間見るという点では、一読に値するように思います。

そして、ソ連という大国がどうしてあのように脆く、一瞬にして崩れ去ったのか?旧東側諸国が次々と崩壊していったのか?等の、昔からなんとなく疑問に思っていたことが、ちょっとばかりスッキリした気分になりました。

この時代、この国に生まれて良かったとつくづく思います。

リンカーン・ライム

2011-05-28 11:30:46 | Books

リンカーン・ライム

みなさん、ご存知ですか?

ジェフリー・ディーバーという作家の小説の主人公の名前です。



今回読んだのは、ウォッチメイカ―という本です。

ミステリー小説です。

ウォッチメイカ―と名乗る連続殺人犯に挑む、ニューヨーク市警科学捜査顧問で四肢麻痺の鑑識の天才リンカーン・ライム率いる捜査チームとの戦い。

身の毛もよだつような、冷酷な殺人犯と、恐怖・・・としか言いようの無い犯罪シーンを克明に描き出す表現力。

それに対し、リンカーン・ライムの、どんな小さな手がかりからでも、犯人に結びつける知能と執念。

目まぐるしく変わる展開に、どんでん返しの連続。

息をもつかせぬスピーディーな展開と、個性豊かな捜査チームのメンバー。

素晴らしいの一言です。

リンカーン・ライムシリーズについては、なんかの折に聞いた事がありましたが、ここまで面白いとは!!

ジェフリー・ディーバーの虜になってしまいました。

このウォッチメイカーは、リンカーン・ライムシリーズの第7作目だそうです。

と言うことは、あと、6作品も今すぐにでも読める!!

久しぶりに、面白い本と言うか、作家に出いました。

また、翻訳の池田真紀子さんの自然な訳が、何の抵抗もなく物語りの中に導いてくれます。

これほど、作品の面白さに感激したのは、Bフリーマントルのチャーリーマフィンシリーズ以来です。

読書をソコソコでもされる方!

ジェフリー・ディーバーのリンカーン・ライムシリーズはお勧めです!!


それから、自分は、こういった作品を読み終えた後の楽しみとして、

巻末の解説を読む事を楽しみにしています。

自分の感想や印象と、読書の達人たちの解説とすり合わせる。

あそこで、達人達はこう捉えたか?するとその後の展開も納得がいくだとか。

この展開??は、登場人物のこういった心境があったから起こった展開!だとかの解説で、多くの???が、解説のお陰で溜飲を下げることが出来る場合が多々あります。

そして、今回のウォッチメイカーの解説者は、先日亡くなった児玉清さんでした。

児玉さんが、よく読書をされることは知っていて、解説を書かれていることも知っていました。

しかし、自分のツボに入った作品の解説で出会うのは初めてでした。

児玉清さんの解説を読んでみて、

読んでいて心地の良い、実に小気味の良いテンポの文章を書かれます。

いやみも無く、でしゃばる感じも無く、知性的で、清々しい文章です。

児玉さんの解釈に共感しきりで、思わず「そうそう」と口ずさむ自分が・・・

そして、今回知ったのは、児玉さんもリンカーン・ライムシリーズの大ファンであることと、J・ディーバーの虜になっている事でした。訳本まで待てずに、原書が出た時点で購入して読み漁るほどの虜だそうです。

これから、まだまだ続く作品が読めなくなってしまった事は、本当に残念なことと思われていることでしょう。

そして、新たな作品での児玉清さんの軽快な文章でつづる解説を読めない事は残念でならず、本当に惜しい方を亡くしたと思います。

改めて、亡くなられた児玉清さんのご冥福をお祈りいたします。