ぶんやさんち

ぶんやさんの記録

河野駐ロシア大使の更迭問題について

2010-12-23 13:57:38 | ときのまにまに
今朝の朝日のトップ記事は「河野駐ロシア大使の更迭」という記事であった。朝日は「河野氏は11月のメドべージェフ・ロシア大統領の北方領土訪問の際の対応が疑問視されており、事実上の更迭と見られる」と解説している。確かにあの時の駐ロシア大使の行動は情けなかった。とは言え、私たち一般国民としては、あの時のことも、今回の人事についてもほとんど何もわからない。
ところが、幸いなことに、今日、反骨の元外交官、天木直人氏がメールマガジンで、次のような解説をしてくれている。メールマガジンであるのであまり広く伝えられないと思われるので、主旨を簡単にまとめておく。

タイトルは「河野駐ロシア大使の更迭を私はこう見る」。
天木氏は先ず、更迭の理由が朝日新聞の解説の通り、つまり「北方領土問題の際の情報収集能力の不足」だとすると、それは「民主党政権の政治主導が間違って使われたと思う」と言う。
現在の「対ロシア外交」は河野大使を更迭したぐらいで改善されたり強化されるような生やさしいものではない。ロシア外交における情報入手能力のなさは、大使の能力不足というよりも「大使館全体の劣化の問題」と「それを放置してきた外務省本省の責任」である。従って、今、政府がなすべきことは大使の更迭程度のことでは済まされない。もし、これであの事件を締めくくろうと思っているとしたら、それは国民を欺く政治的パフォーマンスにすぎない。今、もっとも緊急の課題は「外務省の組織改革と人事の抜本的刷新」である。
外務官僚の人事を握っているのは外務大臣であり、大臣が人事権を正しく使えば政治主導の外交ができる筈である。問題は現在の外務大臣のその能力が不足している点にある。
そこから天木氏は元外務省の高級官僚であった経験から、次のように言う。
「河野大使は外務省の主流を歩んできた一人だ。省内で嫌われているわけではない。本来ならば外務省は組織をあげて河野大使を守るべきなのに、次官や幹部が覚悟を決めてその更迭に反対した気配はない。下手に逆らって自らもまた不利な人事をこうむる事を恐れるのである。そんな不甲斐ない外務官僚だからこそ、面従腹背がさらに進む事になる」。これは天木氏にしか言えないことであろう。
この人事の結果、「外務官僚と民主党政権との関係はさらに離れることになる。(中略)今度の駐ロシア大使の更迭はまたしても前原外相の勇み足であると思う」。
最後に天木氏は次のようなことを呟く。
「ひょっとしてその政治パフォーマンスの代償として、河野大使をこの後さらに厚遇する事を考えているのかもしれない。そうであればそれこそ茶番である。河野大使のその後のポストについても目を離せない」。


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