ぶんやさんち

ぶんやさんの記録

張り手はみっともない

2008-03-13 10:35:02 | ときのまにまに
大相撲を見ていて、前々から気になっていること、それは張り手の多用ということである。小学校の頃、その当時は進駐軍の命令で日本古来の武道というものがほとんど、学校教育の現場で禁止されており、唯一、相撲だけは「武道」というよりも、農民や庶民の娯楽の一貫として許可され、むしろ奨励されていた。それで、その頃はどこの小学校でも立派な土俵が設置されていた。その頃のことであるが、大人の相撲には「張り手」という手があるということを聞き、驚いたことがある。今でもそうかも知れないが、小学生の相撲では張り手は禁じ手であった。
相撲は狭い土俵の中で、お互いに至近距離で相対し、しかも両手を土に付けて立ち上がり始まる。ということは、相手の顔面は手の届くところに突き出され、それを平手打ちするということは、いかにもイージーで、非常に卑怯な手である。言い替えると、張り手という手は、手の打ちようのない相手に対して出される最後の手段である。というよりも、そんな手は想定していないというのが相撲本来の姿であろう。
張り手を出すということは、勝負の前に負けているということを自ら表明しているようなもので、横綱は決してしてはならないし、横綱に対してもしてはならない卑怯な手である。意表を突くといういわば奇襲作戦が必要なときには、「猫だまし」という手がある。これは、する方にもスキができるし、相当に高い技術を必要とする。そして何よりも見ていて美しい。しかし、張り手は汚いし、みっともない。一度でも張り手をしたら、その力士は一生恥じるべきである。相撲協会が禁じ手にしてなくても、自ら禁じ手とすべき種類のものだろう。それが、最近、しばしば見られ、相撲そのものが汚されたような気がする。

最新の画像もっと見る