ぶんやさんち

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筑前町立大刀洗平和記念館

2009-10-18 20:04:45 | ときのまにまに
九州道を福岡から鳥栖を経て熊本を通過して鹿児島まで約4時間から5時間、この自動車道路がこれが九州のほぼ中央からやや西寄りを走る南北の直線とすると、鳥栖(トス)から西に向かって走るのが長崎道で約1時間で長崎県(佐世保)に至る。同じく鳥栖から東に向かって走るのが大分道で日田を経て約1時間半で大分県(別府)に至る。大雑把なイメージとしては九州道、長崎道、大分道が鳥栖を中心とした大十字架形を形成している。
さて、九州の高速道路網の要所が鳥栖で、ここから東に向かって15分ほど走ったところに「大刀洗」という印象的な地名の場所がある。インターチェンジでいうと「筑後小郡」、このあたりは果樹園を中心としたのどかな田園地帯である。

        

現在、このあたりをドライブしても完全にその痕跡は残されていないが、かつて大刀洗には東洋一と称された日本帝国陸軍の大刀洗飛行場があったと聞く。ここには全国から集められた特攻隊員が出撃基地である知覧(鹿児島県)に向かう前に、決意を固め、準備した場所でもある。太平洋戦争の末期、最終決戦のための最重要基地として期待されたが1945年(昭和20年)3月、アメリカ軍の大空襲により壊滅的な被害を受けた。現在、その跡地はキリンビールの福岡工場となっており、工場前にはコスモスの花が咲き乱れている。
特攻隊の出撃基地としては大刀洗飛行学校の分校であった知覧(現南九州市)の方が注目され、「知覧特攻平和会館」が設立されたにもかかわらず、本校の大刀洗には何もないのはおかしいということで、一個人の努力により、当時無人駅化していた甘木鉄道太刀洗駅の旧駅舎を利用して資料館が運営されていたが、今年の10月3日に筑前町立の「大刀洗平和記念館」として開設された。

        


今年の夏、指宿に旅をした際に知覧特攻平和会館を訪れたということもあり(2009年8月27日ブログ参照)、大刀洗の方も見学しておかねばと思い、立ち寄った。開設して1ヶ月もたっていないという関係もあり、館内は参観者でかなり混み合っていた。面積や規模という点では知覧と比較しても仕方がないことであるが、知覧とは全然異なる。何が違うのか。まず、展示物のほとんどがコピーであること。零戦ばかりが目立ちすぎ「平和」とか「反平和(=戦争)」というメッセージ性が乏しいこと。何よりも決定的なことは、知覧には「霊(=気)」があふれていたが、ここにはそれが全くないことである。知覧には館内にも間の外にも魂が漂っていた。何ともいいようのない、解決不能の気が、そこを訪れる人々を圧倒していた。もっとも、ある意味ではそれも仕方がないことであろう。知覧では「特攻隊」ということに徹底的に焦点が合わされていたが、ここでは特攻隊以外のことにも目配りされている。それは飛行場そのものの規模と性格によるのであろう。そこが違う。

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