じゅりりんのめげずにいくのだ*

ドールハウスやちっちゃいもの、ガーデニング、手芸など趣味や日常を中心に時々思い出わんこも登場します。

『名画で読み解く』シリーズ 中野京子

2018-05-24 16:48:49 | 芸術・芸能・漫画

こちらはお正月明けに読んでいたシリーズで、
一応記事にしたものの途中でブログも休んでしまったし、
大方忘れたし(コラコラ)、没にするつもりだったんですが、
とても面白い本だったのでやっぱり紹介させてください♪


昨年、上野で開催され大変な話題となっていた「怖い絵展」をきっかけに読んだ
中野京子さんの『怖い絵』シリーズが面白かったので、
他の作品も読んでみようと手にしたのが『名画で読み解く』シリーズ

そもそも「ハプスブルク家」とはなんぞや?と常々思っていたのがきっかけです。
「怖い絵」シリーズの中にもハプスブルク関係は時々ありましたが、
いったいどうなって始まってそこまでの繁栄を誇ったのか?
もう少し詳しく知りたいと思ったのです。
こちらは近隣のヨーロッパ王朝のものもシリーズで出ているので関係性も確認出来て一石二鳥です。

『名画で読み解く ハプスブルク家12の物語』中野京子
   

『名画で読み解く ブルボン王朝12の物語』中野京子
   

『名画で読み解く ロマノフ家12の物語』中野京子
   

『名画で読み解く イギリス王家12の物語』中野京子
   

シリーズ通して、すんごい面白かったですっ
名画で読み解く・・とある通り、王朝の始まりから終わりまで(イギリスは続いてますが)、
絵画をからめながら歴代の皇帝と事件などが語られていくので歴史がとても分かりやすい!
何となく覚えてる名前とか事件とか「へぇ・・・そういうことだったのか~・・・」と何度もうなづいてしまいました。

しかしヨーロッパの王朝の気持ち?はまだなんとなくわかる。
わからないのがロマノフ王朝、ロシア
暗殺に次ぐ暗殺。
もう皇帝にならない方がいいんじゃないかと思うくらい暗殺。
(実際、暗殺を恐れて皇帝になりたくなかった皇帝もいる)
皇帝は暗殺されなくても今度はお妃様が暗殺される。
(有力貴族が後釜に自分の娘を嫁がせて実権を握りたいから)
秘密裏に行われるものだから実は生きているのでは?との噂が絶えず、
私はあの時の生き残りですと偽物が次々登場するのも特徴。
そもそも秘密裏だから暗殺であって暗殺は日本でもどこの国でもあるけれども、
他国とは明らかに毛色が違うのですよ・・。
ロマノフ朝最後の皇帝も幽閉された挙句、
一粒でも種を残したら復活してくるからと可愛い娘さん達まで一家全員暗殺・・というかもはや虐殺。
そして皇帝以外は元気で暮らしていますよと嘘を言う。
なんか・・今のロシア政権にもそんな暗殺の噂が絶えないけれど
これはもう脈々と受け継がれてきたロシアの気質なんだろうかとさえ思ってしまう。
そんで、高貴な血を汚したくないばかりに近親婚を繰り返していたスペインハプスブルク家だったら絶対しなかった小国のお姫さまや平民との結婚。
大貴族の娘さんだったお妃様をわざわざ離縁して何処の馬の骨ともしれぬ愛人を正室にむかえたりする。
その辺はおおらかと言うべきか・・
しかもお妃から転身、王位まで頂いて優れた政治腕力を発揮したりするんだから見る目があったというべきなのでしょう。

ハプスブルク家が知りたくて読み始めたシリーズだけれど
ある意味ロマノフ家が一番面白かったかも?
ロシアは、昔からロシアだったんだなぁ・・・としみじみ思った次第です。
そんでイギリスはやっぱりイギリスで、チャールズ皇太子はしっかり血を受け継いでるんだな~・・と。
そんでおフランスはやっぱりおフランスで当時であっても近隣諸国の憧れの的で
フランス語で読み書きをするのがステイタスだったという。

中野先生のまとめによると、
オーストリア・ハプスブルク家は「結婚外交によるアメーバ的領土拡大」
スペイン・ハプスブルク家は「日の沈まぬ国を打ち立てながら血族結婚の繰り返しの果てに断絶」
ブルボン家は「華麗なる宮廷文化とそれが招いたフランス革命」
ロマノフ家は「徹底した秘密主義と農奴制の反動によるロシア革命」
イギリス王家は「歴代女王時代がもたらした繁栄と君臨すれども統治せずの成功」
・・・とのことでした。

読むならやはり発行された順(↑上記順)に読むのがベストです!


そしてさらに補足する意味で読んだのが下記のシリーズ。

『残酷な王と悲しみの王妃』 中野京子
   

『残酷な王と悲しみの王妃 2』中野京子 
   

残酷な・・の一冊目の表紙にもなっているのが、ベラスケスの描いた「ラス・メニーナス」
スペイン国王フェリペ4世の娘である王女マルガリータを中心にその女官たちを描いたものです。
マルガリータの絵はこれらの本の中にその成長過程も度々出てくることもあってか、
歴史的にはとくに何もない王女なのですが、私的にはこのマルガリータに一番心が動いたの。
15歳でオーストリア・ハプスブルク家のレオポルト1世(母親の実弟)の元に嫁ぎ、
夫婦仲はよく毎年のように子を授かるも残ったのは女児1人・・
ただでさえ弱い体・・お産がもと
で21歳やそこらで亡くなってしまう。
結婚当初に描かれた楽しそうにお芝居の登場人物の扮装をする(その画はベラスケスではありませんが)
その束の間の幸せに思わず涙が出てしまうのですよ・・

そんなわけで、このGWはその時代を切り取っていたベラスケスの絵が見たくて
上野の国立西洋美術館で開催中の「プラド美術館展ーベラスケスと絵画の栄光」を観に行ったのでした


余談なんですけれども、私はラヴェルの「なき王女のためのパヴァーヌ」という曲が大好きで、
20代の頃の一時期、毎晩この曲をかけながら寝ていたくらいで、
実はこの曲はラヴェルがベラスケスの描いたマルガリータ像からインスピレーションを得て作曲したとされていると知った時は、心の底から感無量で
した・・・



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