富山市八尾町。
養蚕と農業を生業としてきた山あいの静かな町だが、
この地に、9月1日からの3日間、全国から20万人を超える人がやってくる。
立春から二百十日、この頃に吹く激しい風を静めるためにいつしか始まったという「おわら風の盆 」。
哀愁をおびた胡弓と三味線の音色、それに合わせて歌われる恋の歌、おわら節。
そのおわら節にのせて三日三晩踊り明かす。
そんな地域の祭りが広く知られることとなり、今では全国各地からどっと人が押し寄せ、
熱烈なリピーターも多いという。
踊り手たちは二十五歳以下の未婚の男女。
男女それぞれ踊りが異なり、いずれも四季の生活を所作で表現している。
その踊り、男性はあくまでも強くたくましく、女性は優雅でしなやかなのだが、
全体としての調和がとれていて、まるでひとつのドラマを見ているようだ。
この祭りに通い始めてすでに10年は経っていると思う。
山が近く、三本の川に囲まれている地形のせいか、
必ずと言っていいほどにわか雨が降り、
年によっては雷雨で踊りが中断されたこともあった。
ところが、今年に限っては終始快晴。
ここちよい秋風を感じながら、祭りを楽しむことができたのだが、
それも、きっとこの子たちのおかげ。
踊りに込めた強い願いが空にも通じたものと感謝した次第だ。